人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

モーツアルト「ピアノ協奏曲第21番K.467」を聴く~野原みどり+新日本フィル

2012年03月23日 06時52分34秒 | 日記

23日(金)。昨夕、東京文化会館で新日本フィルのコンサートを聴いてきました これは2012年都民芸術フェスティバルの一環として開かれるもので、指揮は手塚幸紀。プログラムは①メンデルスゾーン「序曲フィンガルの洞窟」、②モーツアルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」(ピアノ:野原みどり)、③ベートーヴェン「交響曲第6番ヘ長調”田園”」の3曲です

都の助成事業ということもありチケット代が3,800円~1,800円と安価なためか、2303人収容できる東京文化会館は8~9割方埋まっています。自席は1階17列1番、中の島のかなり前方左通路側です

この日のコンサートマスターは崔文殊。いつものように椅子を高い位置に調整して、ほとんど中腰状態でスタンバイします 指揮者・手塚幸紀の登場です。久しぶりに手塚を見て「ずいぶん老けたなあ」という印象を持ちました。下のチラシの写真は何年前のものでしょうか 手塚は新日本フィルの創立以来20年間、指揮者団の一人としてタクトを振ったので、このオーケストラにとってかなりの貢献者です。そうしたことからでしょう。オケのメンバーから尊敬の念を抱かれている様子が伺えます

メンデルスゾーンはドイツ生まれのユダヤ人ですが、後にプロテスタントに改宗しました 彼は「真夏の夜の夢」や「交響曲”イタリア”」などの自作で名を成したほか、バッハの「マタイ受難曲」を作曲者の死後初めて再演してバッハ復興に大きく貢献、さらに1835年にはライプチッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者に就任し、現代に至る名声を確立しました

「フィンガルの洞窟」は、メンデルスゾーンがイングランドからスコットランドを旅したときに、ヘブリディーズ諸島の孤島スタファ島を訪れ、そこに英雄フィンガルに因んだ洞窟があり、その景観に感銘を受けて作曲したものです 波が寄せては返す動きを管弦楽が描写していきます。オーケストラは色彩感豊かにその抒情を描いていきます

上手からピアノが中央に運ばれ2曲目のモーツアルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」の準備が整います。ピアニスト野原みどりがシルキーなブロンズ色のドレスで指揮者とともに登場します 緊張しているせいか表情はやや硬い印象です。第1楽章のオーケストラの出だしもやや硬い印象です 演奏が進むに連れて緊張がほぐれてくるようでした。第2楽章アンダンテは、ただひたすら美しいメロディーに身を委ねるだけです 理屈はいりません。この曲を作ったとき、モーツアルトはコンスタンツェと結婚、音楽活動も絶好調の時期でした。第3楽章アレグロはそんな彼の心理状態を反映したかのような愉悦に満ちた音楽です。野原のピアノとオーケストラは、そんな喜びを素直に表現します

野原みどりは終演後、自分だけでなく、オーケストラも立たせるよう指揮者に促すなど、なかなか気配りの出来る礼儀正しいピアニストだと思いました

さて、休憩後はベートーヴェンの交響曲第6番”田園”です。第3番を”英雄”、第5番を”運命”、第9番を”合唱付き”と呼んでいますが、作曲者自身が表題を付けたのはこの第6番”田園交響曲、あるいは田舎の生活の思い出”だけです

手塚は譜面台に譜面を置いてはいるもののページをめくることはありません 軽快なテンポで第1楽章が始まりますが、なぜか指揮者の動きに違和感があります。しばらく考えて、やっと分かりました 彼は足を固定したまま動かないのです。踵を付けて両足をハの字に開いた状態で、いわば直立不動の姿勢で指揮するのです。新日本フィルにゆかりの指揮者・小泉和裕と同じ指揮スタイルと言ってもいいでしょう 小泉は肩幅くらいに足を開くところが違いますが・・・・・・

第1楽章の途中、前の列(16列)4番の席の中年女性がペットボトルのお茶を飲みだしたのには驚きました どこの会場でも「ケータイ電話のスイッチをお切りください」とともに「会場内での飲食はご遠慮ください」のアナウンスがあるものです それを、楽章間でもない、演奏の真っ最中堂々と飲むのですから信じられません。この日のコンサートは都の主催の特別公演で、オケにとっては”一見(いちげん)さん”を定期会員に引き込む絶好のチャンスなのですが、こういう人には定期会員になってほしくないですね

手塚の指揮は、ある楽器(とくに管楽器)を突出させないように全体のバランスをとっているように感じます 強いて言えば河村幹子の吹くファゴットがいい意味で突出していただけで、ほかの管楽器は弦楽器のアンサンブルの中に溶け込んでいました。こうしたアプローチは手塚の指揮の特徴かもしれません バランスの良さという点では、第5楽章でヴァイオリンがメロディーを奏でる傍らでチェロやヴィオラがピチカートで支えるところなど、すごくいいなあ、と思いました。ベートーヴェンは何と素晴らしい音楽を書いたのでしょうか

アンコールにはシューベルトの「ロザムンデ」間奏曲第3番が演奏されましたが、穏やかないい音楽です 新日本フィルは定期会員でもあり、室内楽シリーズの会員でもあるので、普段から馴染みの顔ぶれが演奏したので身近に感じることが出来ました

 

 

            

      

コメント (2)
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