人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

第89回アカデミー賞3部門受賞作「ムーンライト」を観る~モーツアルト「ヴェスペレK.339」から「ラウダーテ・ドミヌム」が流れる

2017年04月19日 07時58分22秒 | 日記

19日(水).4月も下旬に入ろうとしている今,東京は夏で北海道は冬のようです それにしても帯広の雪は ゆき過ぎ ではないか,と思います 春,何が気に入らないのか突然怒り出す”異常気性”の人を見かけますが,いま日本列島は”異常気象”で 希少な現象が続きます

ということで,わが家に来てから今日で932日目を迎え,トランプ大統領が北朝鮮の弾道ミサイル発射後初めて発言し,北朝鮮の金正恩委員長に対し「行儀よく振る舞いなさい」と語ったというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        トランプはレッドラインを示さなかったけど,その時は北朝鮮にとってデッドラインだろう

 

                     

 

昨日,夕食に「サバの塩焼き」「野菜とウィンナのスープ(トマトベース)」「生野菜サラダ」「アボガドのにんにく和え」を作りました 魚はすっかりローテ―ション入りしました 「アボガド~」は先日ご紹介した「世界一美味しい煮卵の作り方」の超簡単料理の一つです 調味料はごま油,醤油,砂糖,にんにく(チューブ入り)ですが,食が進みます

 

       

 

                     

 

昨日,TOHOシネマズ シャンテで第89回アカデミー賞受賞作「ムーンライト」を観ました これはバリー・ジェンキンス監督による2016年製作のアメリカ映画(111分)です

マイアミを舞台に,一人の黒人少年の成長を,少年期,ティーンエイジャー期,成人期の3つの時代構成で描いています 下のポスターの顔は,左側が少年期,中央がティーンエイジャー期,右側が成人期の顔の合成になっています

 

       

 

マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは,学校ではリトル(ちび)と呼ばれていじめに遭い,家庭では麻薬常習者の母親ポーラから育児放棄されていた そんなシャロンに優しく接してくれたのは,近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と,唯一の男友達のケヴィンだけだった.フアンはシャロンをわが子のように育てようとするが,その一方でシャロンの母親に麻薬を売っていることに罪悪感を覚えていた やがてシャロンはケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが,その気持ちが受け入れられないことに気付き,誰にも打ち明けられないでいた そんなある日,シャロンは自分をいじめていた”レゲエ野郎”を椅子で殴り刑務所に入れられる 成長して麻薬の売人になったシャロンは,ケヴィンから久しぶりに電話をもらい会いに行く決心をする.ケヴィンは料理の腕を磨き小さなレストランを経営していた

この映画を観ようと思ったのは,先日 当ブログの読者Nさんからメールが届き,「『ムーンライト』を観たが,誰にでもお薦めという作品ではないけれど,今 アカデミー賞を受賞せざるを得なかった作品だった ちなみに,あるシーンで『ヴェスペレK.339』から『ラウダーテ・ドミヌム』が使われていた」と書かれていたからです これを知ったからには(性格上)観ないわけにはいきません コンサートのない日を狙って観に行ってきたというわけです

そのシーンは,シャロンが少年時代に仲間と紙を丸めたボールでサッカーをやっている場面でした ソプラノによって清らかで美しい音楽が歌われます

「ヴェスペレK.339」はモーツアルトが24歳の時 1780年に作曲されました 「ヴェスペレ」とは,カトリック教会の聖務日課において日没時に執り行われる祈り=「夕べの祈り」を意味します モーツアルトは2曲のヴェスペレを作曲していますが,K.339はザルツブルク時代最後の教会音楽に当たり,「ラウダーテ・ドミヌム(主を讃えよ)」はK.339の第5曲に当たります 

歌詞は「もろもろの種族よ,主を讃えまつれ,もろもろの民よ,彼を讃えまつれ,われらに賜る そのいつくしみは大きいからである.種のまことはとこしえに絶えることがない.聖父と聖子と聖霊とに栄あらんことを.初めにありしごとく,今もいつも 世々にいたるまで.アーメン」というものです

所有する約700枚のモーツアルトのCDの中からやっと探し出したのがフェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送管弦楽団によるモーツアルトの「大ミサ曲K.427」にカップリングされている「ラウダーテ・ドミヌム」(1962年録音)でした ヴォルフガング・マイヤーのオルガン,ヘルムート・ヘラーのヴァイオリン,RIAS室内合唱団をバックにソプラノのマリア・シュターダーが歌っています 

 

       

 

バリー・ジェンキンス監督が,なぜあのシーンでこの曲を使ったのか分かりませんが,あるいは 一人の貧しい黒人少年の行く末を案じて祈りを込めたのかも知れません 映画が終わって 家に帰って何度も繰り返し聴きました たった5分程の曲ですが,モーツアルトの魅力が凝縮された作品です 3分強の晩年の「アヴェ・ヴェルム・コルプスK.618」に通じる天国的な透明感のある傑作です

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