人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジェフリー・ディーヴァ―著「ポーカー・レッスン」を読む~ディーヴァーは短編でも面白い!

2013年08月20日 07時01分06秒 | 日記

20日(火)。昨日の朝日朝刊「ひと」欄にロシアのマリインスキー・バレエ団に正式入団する初の日本人・石井久美子さん(18歳)が紹介されていました

同バレエ団は世界5大バレエ団の一つで200年以上の伝統を誇るロシアのバレエ団です バレエとしては遅い8歳の時からレッスンをスタート、16歳の時にオーディションに合格し、サンクトぺテルベルクの名門バレエ教室に留学したとのこと 「切羽つまる」を「キリバネつまる」、「正直」を「ショウナオ」と読んで母親にあきれられたという”天然ボケの、愛されキャラ”のようです しかし、ことバレエとなれば話は別で、「バレエは自分との闘い。表現力を磨いて、納得できる踊りをしたい」と真剣な眼差しで語る、と紹介されています

 

          

                (8月19日付朝日新聞朝刊より)

 

娘も小学校時代にバレエ教室に通っていましたが、中学校に入ってから見切りをつけたのか止めてしまいました 「継続は力なり」と言われますが、それだけではないでしょう 世界に通用するような人は、生まれついた才能に加えて、人が見ていないところで血の出るような努力をしているものです。それを声高に言わないだけの話です

 

  閑話休題  

 

同じ19日の朝日夕刊「芸術・文化」欄に、きゃりーぱみゅぱみゅの記事が載っていました クォリティ・ペーパーを標榜する朝日の記者が無謀にも現代の若者音楽界を牽引するきゃりーに取材を申し込んだようです彼女の歌う「にんじゃりばんばん」や「インベーダーインベーダー」はてっきり彼女自身が作曲したのだと思っていたら、中田ヤスタカという人が作詞作曲したとのことです

そう言えば、先日テレビ関係の人と話をしている時に、彼のケータイの着メロが鳴ったのですが、それは何と「にんじゃりばんばん」だったのです。マスコミ界とか芸能界とか、そういった方面の人は、そんな傾向があるんだろうな、と思った次第です

彼女は「『きゃりーは頭にリボン』とか『派手な服を着てヘンな歌を歌ってる子』とか、そういうイメージに、絶対、縛られたくない 別にそれだけじゃないし」と語っています 私は『頭にリボン』『派手な服を着てヘンな歌を歌っている子』だから受けているのだと思いますが・・・・・・ その一方で『別にそれだけじゃない』部分も見せてほしいと思います。それにしても、朝日が”時の人”を取り上げたら、もう今の人気は絶頂にあって、後は下がるだけというケースがままあるので(要するに朝日は現代若者気質を把握するのが”遅い”)、きゃりーにはそのジンクスを跳ね返して頑張ってほしいと思います

 

          

                 (8月19日付朝日新聞夕刊より)

 

  も一度、閑話休題  

 

ジェフリー・ディーヴァ―著「ポーカー・レッスン」を読み終わりました ディーヴァ―なので長編だと思って買ったのですが、16の小説から成る短編集でした 「章と節」「通勤列車」「ウェストファーレンの指環」「監視」「生まれついての悪人」「動機」「恐怖」「一事不再理」「トンネル・ガール」「ロカールの原理」「冷めてこそ美味」「コピーキャット」「のぞき」「ポーカー・レッスン」「36.6度」「遊びに行くには最高の街」が収録されています

このうちディーヴァ―の小説でお馴染みのリンカーン・ライムが活躍するのは「ロカールの原理」ですが、個人的には、電車内で携帯電話を使っていた男を待ち受ける悲運を描いた「通勤列車」、逮捕した男の動機がやっと判った時には自分の家族の命が危ないことに気づく「動機」、ポーカーのプロと、彼に弟子入りした少年との頭脳戦だと思ったら実は二人ともコケにされていたという「ポーカー・レッスン」がとくに面白かったです

ディーヴァ―は「ボーン・コレクター」「コフィン・ダンサー」「魔術師」「ウォッチメイカー」「ソウル・コレクター」など、長編が圧倒的に面白いのですが、短編集であるこの「ポーカー・レッスン」も十分楽しめました

 

          

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映画「愛、アムール」を観る~シューベルト、ベートーヴェン、バッハが流れる中で

2013年08月19日 07時00分17秒 | 日記

19日(月)。16日付日経夕刊「あすへの話題」というコラムで、ヴァイオリニストの千住真理子さんが『卵』という題でエッセイを書いていました 要約すると、

「夏バテには生卵だ。コップに2~3個割り入れかき混ぜず、調味料も入れず丸のみだ。その日一日力尽きないし、食欲がなくてもつるりと飲み込んでしまえばいい。映画『ロッキー』の影響だ。1個から試して、3個、4個と試した。かなりバテた時には1日6つ飲んだこともあったが、さすがにお腹を壊した 時間のある時には、丸のみでなく卵ご飯にする。ご飯を多めに盛って卵2つ、更に納豆も加えてかき混ぜ、海苔で包みながら食べるのが私流だ。喉ごし良く、栄養もあり、満腹感も得られて食事時間も短縮できる 日本人は昔から生で食す習慣があるからか、日本の卵は安心して生のまま頂ける。こんなに新鮮で美味しい卵は、日本ならではでないか

「なるほど、これが千住真理子の夏バテ解消法か」と感心しました。今や卵かけご飯専用の醤油まで売っている日本です。昔から「卵は物価の優等生」と言われてきたように、とにかく安いですし 私も小さい頃、風邪をひいた時に生卵を丸のみしたのを覚えています。ただ、悪玉コレステロール制御の薬を常用している現在では、出来るだけ卵は控えるようにしています それでもたまに、卵かけご飯の魅力に勝てない時があります。日本人ですかねえ

 

  閑話休題  

 

昨日、暑さ真っ盛りの中、高田馬場に出かけ早稲田松竹で「愛、アムール」を観ました この映画はミヒャエル・ハネケ監督、2012年フランス・ドイツ・オーストリア映画です

 

          

 

パリの高級アパルトマンで悠々自適の生活を送る音楽家ジョルジュと妻アンヌでしたが、ある日、妻の発病でこれまでの生活が暗転します アンヌは自宅で過ごしたいとして病院への入院や介護施設への移転を拒み、ジョルジュは自宅で男手ひとつで彼女を介護することになります 自分の力では何も出来なくなり、記憶が次々と薄れていくアンヌをジョルジュは辛抱強く介護します 誰もが直面する「老い」と「死」のテーマに二人の老優が静かに挑戦しています 

さて、この映画では最初にタイトル・ロールが映し出されますが、バックに音楽は流れません。静かに幕が開いていきます。それは、返ってドラマの中で使われる音楽を否が応でも引き立てることになります

シャンゼリゼ劇場で若手ピアニストがシューベルトの「4つの即興曲作品90」の第1番を弾くシーンがありますが、カメラは聴衆を映すだけで、演奏しているピアニストは映しません。それが逆に、冒頭の力強い和音を印象付けることになります そのピアニストはかつてアンヌの弟子だった男性であることが後で分かります。彼は劇中アレクサンドルと呼ばれますが、実は本名で、アレクサンドル・タローというヨーロッパで活躍中のピアニストだそうです

アレクサンドルが老夫婦のアパルトマンを訪ねた時、アンヌに「小さい頃、ベートーヴェンのバガテルを弾かされて、先生に『なぜこんなつまらない曲を練習しなければならないのか』と食って掛かって叱られたことがあります 先生、覚えておいでですか?」と訊くと、アンヌはニッコリ笑みを湛えて「パガテルを弾いてちょうだい。ト短調の」とリクエストします ピアニストは、「今ですか?しばらく弾いていないのでうまく弾けるかどうか・・」と言いながらもベートーヴェンの「6つのバガテル作品126」の第2曲「アレグロ」を弾きます。早いパッセージと遅いパッセージが交互に現われる曲です

次に、アンヌが自室で寝ている時にジョルジュがピアノを弾くシーンがあります。その時彼が弾いていたのはシューベルトの「4つの即興曲作品90」の第3番です

そして、介護に疲れたジョルジュはアンヌがピアノを奏でている幻想を見ます。その時アンヌが弾いていたのはバッハ/ブゾーニによるコラール「主イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわる」BWV639です この曲は印象的です。ベートーヴェンでもシューベルトでもないバッハの宗教曲を彼女が奏でているという幻想です。バッハと言えば神を連想します。いよいよ彼女は神の世界に旅立つことを決意したのか、とも想像できます

最後はジョルジュが予想外の決意をして実行に移しますが、誰がジョルジュの行為を非難できるでしょうか人間だれもが避けられない「老」と「死」、現代社会が抱える”老老介護”の深刻な問題を目の前に突き付けられます ハネケ監督は、声高に問題提起をするのでなく、あくまで”静かに”語りかけます

エンドロールも音楽がなく、静かに文字だけが流れていきます。並みの監督ならここでシューベルトの即興曲の何番かを流すところでしょう。ハネケ監督の美意識の高さを感じます

 

          

 

家に帰って、CDでシューベルトの即興曲、ベートーヴェンのバガテル、バッハのコラールを聴きました シューベルトとベートーヴェンはイエ―ノ・ヤンドゥーの演奏、バッハはアンヌ・ケフェレックの演奏です

 

          

          

          

          

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映画「25年目の弦楽四重奏」を観る~ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第14番作品131」がテーマ

2013年08月18日 07時03分17秒 | 日記

18日(日)。昨日、角川シネマ有楽町で「25年目の弦楽四重奏」を観ました 前から観たいと思っていたのになかなかチャンスがなかったのです たまたま17、18の土日はコンサートの予定が入っていないので、これ幸いに出かけました

 

          

 

物語は結成25周年を迎えた弦楽四重奏団のチェリストが難病を患い、引退宣言したことから、残されたメンバーの間に不協和音が生じていくというドラマです

フーガ弦楽四重奏団は、第1ヴァイオリンは冷徹なまでに完璧な演奏を追求するダニエル、第2ヴァイオリンはいつしか自分も第1ヴァイオリンを弾きたいと思っているロバート、ヴィオラはロバ―トの妻でカルテットに深みを与えるレイチェル、そしてチェロは学生たちにチェロを教える立場にあるベテランのピーターから成ります

ある日、チェリストのピーターは医師からパーキンソン病を告知されます。自らの運命を受け入れたピーターは後任のチェリストを指名し、メンバーに引退することを宣言します

残されたメンバーに動揺が生じます。今まで第1ヴァイオリンのダニエルの影に隠れて彼を支える立場に甘んじていた第2ヴァイオリンのロバートは、これを機会にダニエルと第1ヴァイオリンを交替で演奏したいと言い出します。しかし、ダニエルはもちろん、ロバートの妻であるヴィオラのレイチェルまでも、ロバートは第1ヴァイオリン奏者には向かないと主張し、不協和音が生じます

一方、第1ヴァイオリンのダニエルは、ヴァイオリンのレッスンを受けにきたロバートとレイチェルの娘・アレクサンドラといい仲になり、ロバートとレイチェル夫婦との間に不協和音が生じます

そうした中、チェロのピーターは薬の力で最後の演奏会に参加することを決意し、他の3人と共にベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番嬰ハ長調作品131に挑みます 通常の弦楽四重奏曲は4楽章から成りますが、この曲は”アタッカ”(休みなく演奏し続ける)による7楽章から成ります

映画の随所にベートーヴェンのこの曲が流れますが、それぞれの楽章が効果的に使われています まず、フーガ弦楽四重奏団が演奏する第1楽章冒頭を弾くシーンです 「アダージョ・マ・ノン・トロッポ・エ・モルト・エスプレッシーヴォ」のこの楽章は、最初に第1ヴァイオリンが崇高なメロディーを奏で、次いで第2ヴァイオリンが同じメロディーを引き継ぎ、それはヴィオラに、そしてチェロに引き継がれます まるでフーガのようにヤーロン・ジルバーマン監督は、この弦楽四重奏曲に触発されてこの映画を作ったといいますが、このカルテットの名前「フーガ」は、この作品の第1楽章冒頭のメロディーから採ったのかも知れません

ベートーヴェンのこの曲は途中で誰かの楽器の音程が狂っても止めるわけにはいきません そういう意味では、彼らの人生も途中で止めるわけにはいかず、それぞれの人生を生きていかなければなりません 4人が演奏する中で修正していかなければならないのです。この映画ではチェロのピーターが最後の演奏会の途中で弾けなくなり、聴衆に向かって引退を宣言し、後任の新しいチェリストを迎え曲を最後まで続けます。そのことによって新しい弦楽四重奏団の誕生を知らしめます

さて、映画を観ている一般大衆のわれわれには、代わってくれるプレーヤーがいるのだろうか そんなことを考えさせられたひと時でした

 

          

 

この映画で一つだけ知りたいと思ったのは、4人に不協和音が生じたときに、チェロのピーターがLPレコードでメゾ・ソプラノの歌を聴くシーンがあるのですが、あの歌は誰の何という歌なのかということです。内容は「昔のように戻ってほしい」というような歌詞だったと思います。リヒャルト・シュトラウスの歌曲のような感じでした後でネットで調べていたら、ピーターの亡き妻ミリアム役でその歌を歌っていたのは、あのアンネ=ゾフィー・フォン・オッタ―であることが判りましたが、誰の歌かは判明しませんでした フォン・オッタ―はかつての面影がなくまったく判りませんでした なお、劇中で実際の演奏をしているのはブレンターノ弦楽四重奏団で、ピーターの代わりにチェロに加わったのはブレンターノ弦楽四重奏団のニナ・リーという女性で、実名での出演だということでした

この映画を観終わって、まっさきに思ったのはベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番作品131を全曲通して聴いてみたいということでした。家に帰って聴いたのはハーゲン弦楽四重奏団の演奏(1996年録音)です。聴きながら、あの場面、この場面を想い起しました

 

          

 

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読売日響サマーフェスティバル”三大協奏曲”を聴く~メンコン+ドヴォコン+チャイコン

2013年08月17日 07時01分37秒 | 日記

17日(土)。昨日のブログで米著名投資家ジョン・ポールソン氏のファンドが米ピアノメーカー・スタインウェイ社を買収するという日経の記事を紹介しましたが、そのボールソン氏が昨日の日経紙上に登場していました 16日付の日経朝刊は「金のETF市場縮小~WGC調べ 短期投資家が放出」という見出しで概略次の通り報じています

「金の上場投資信託(ETF)から投資資金が大量に流出している 著名投資家が運用するファンドも同時期に金ETFを放出していたことが判明。著名投資家ジョン・ポールソン氏が運用するファンドが米証券取引委員会に提出した保有有価証券報告書によると、代表的な金ETF「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の保有残高は6月末時点で約31トンと3月末比約5割減少。金市場は4~6月に23%値下がりした

ポールソン・ファンドが31トンの金ETFを売却したということは、グラムに換算すると、31×1,000×1,000=31,000,000グラムとなります 最近の東京商品取引所の金相場は1グラム4,200円程度なので、これを掛けると1,302億円になります ポールソン・ファンドがスタインウェイ社を買収する金額は5億1200万ドル(約500億円)ということでした。金ETF(SPDR)の売却によって得た資金で買収する可能性が大きいですね。Steinway を Paulson が Dramatick に Revival するための資金ですか・・・・・・ちょっとムリがあるか

 

  閑話休題  

 

昨夕、東京芸術劇場で読売日響サマーフェスティバル”三大協奏曲”を聴きました プログラムは①メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」(vn:小林美樹)、②ドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」(vc:ドミトリー・フェイギン)、③チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番変ロ短調」(p:田村響)、指揮は広上淳一です

 

          

 

池袋のコンサートホールで開演18時半はサラリーマンにとっては厳しい時間です。すべりこみセーフでしたしかし、すでに会場はほぼ満席。自席は2階M9番、2階左サイドから舞台を見下ろす席です

オケがスタンバイします。読響は女性比率が低いオケです。見渡すと女性は全体の4分の1程度です このオーケストラはあまり聴く機会がないのでメンバーがよく判らないのですが、首席コントラバス奏者の西澤誠治さんは判ります。バッハ・コレギウム・ジャパンでもお馴染みの人です この日のコンマスはダニエル・ゲーデという人ですが、初めてお目にかかります

最初のソリスト、小林美樹が淡いピンクのドレスで登場します 以前彼女を見た時は感じなかったのですがかなり背丈があると思います。背の低い指揮者・広上淳一と比べてしまうからでしょうか 広上はタクトを持たずに登場です。この人の特徴は両手で指揮をすることです

広上の合図でメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲第1楽章が開始されます。すぐに哀愁に満ちた小林のヴァイオリンが入ってきます 美しいメロディーは留まるところを知らず朗々と続きます。それは楽章をまたいで、何かに憧れているような第2楽章へ、そして弾むような第3楽章へと続きます 小林は淀みなく美しい音楽を奏でていきます

彼女のヴァイオリンの弓が上がると、会場一杯の拍手 と2階中央席から「ボー」の掛け声がかけられました。ボーっていったい何よ・・・・と思って右側センター席を見ると、居ました東響サントリー定期公演で、私の3つくらい後部座席に座っている男性です 「オヌシも来ておられたのか」と一人ごちてしまいました

背の低い広上は背丈のある小林と並ぼうとしません。指揮台の上に留まるか、降りてオケの中に埋もれるかのどちらかです 気持ちは分かります  男の価値は背の高さではありません。顔です

次いでドミトリー・フェイギンが登場します。彼は1968年モスクワ生まれですが、現在、東京音楽大学教授として後進の指導に当たっています 指揮者の広上淳一が東京音大卒で、現在同大学の教授を務めている関係で、彼に声を掛けたのかも知れません

広上の合図でドヴォルザークの「チェロ協奏曲」が始まります。この曲は冒頭からスケールの大きな曲です。ドヴォルザークがアメリカにいたときに書かれた曲ですが、古今のチェロ協奏曲の名曲中の名曲です 故郷ボヘミアの香りが高く、感動的なメロディーが次々と現れます。フェイギンはていねいにドヴォルザークの世界を描いていきます

広上淳一の指揮ぶりは、分かり易く言うと「ソフトバンクの孫正義代表が指揮をしているような」感じです 一度でも彼の指揮を見た人なら同意してくれるのではないかと思います。ゴメンナサイ、孫さん、広上さん・・・・どっちに謝ろうか・・・・・

休憩後はチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲」です。拍手の中、茶髪の男が威勢よく舞台に登場しました 「あれっ、サンドウィッチマンの伊達君じゃないか」と一瞬思いましたが、それは何と田村響その人でした。一般人の田村響に対するイメージは”短髪で真面目な好青年”と言ったところではないかと思うのですが、この日の彼は相当なイメージ・チェンジです

ホルンの勇壮なメロディーと力強いピアノの連打によりチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番が始まりますなかなか男性的な力の入った演奏だな、と思っていると、ミスタッチがあり、おやっと思いました その後、演奏の途中でハンカチで汗をぬぐっていましたが、あれは冷や汗だったのか・・・・・・その後は迫力のある演奏で聴衆の心を掴みましたが、第3楽章に入ってから再度ミスタッチがありました。どうも先を急ぎ過ぎているのか、調子は絶好調とは言えないようです

それでも最後は圧倒的な迫力で締め、拍手喝さいを浴びました 広上とハグをして健闘を分かち合いました。広上はこの時ばかりは(前の2人ほど背が高くない)田村と並んで聴衆の歓声に応えました

この日の3曲はどれもが名曲中の名曲なので、誰が演奏してもそれなりにサマになるのですが、逆に、誰が演奏しても個性を発揮するのが困難なのではないか、と思います そんな名曲に挑戦した3人のソリストに拍手を送りたいと思います

 

          

 

  も一度、閑話休題  

          

テンプレートに「前日」のアクセス状況(閲覧ページ、訪問者)を掲載することにしました。ランキング欄の<日別>というのはgooブログを開設している191万7,296ブログ(前日)中の順位、<週別>というのは直近の日曜日から土曜日までの合計値による191万4,945人中の順位です

皆さま、これからも気軽にtoraブログをご訪問ください。コメント大歓迎です

 

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スタインウェイの身売り話+今野浩著「工学部ヒラノ教授」を読む~工学部の教え7カ条

2013年08月16日 07時00分32秒 | 日記

16日(金)。昨夕の日経夕刊に「ピアノ老舗スタインウェイ身売り先変更」という小さな記事が載りました 記事を要約すると、

「高級ピアノメーカー『スタインウェイ・アンド・サンズ』を傘下に持つ総合楽器製造会社、米スタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツは14日、米著名投資家ジョン・ポールソン氏のファンドに総額5億1200万ドル(約500億円)で会社を売却すると発表した スタインウェイは、1853年にドイツ移民の家具職人がニューヨークで創立した老舗ピアノ企業。ドイツのベヒシュタイン、ヤマハ傘下のオーストリアのベーゼンドルファ―と並ぶ世界の三大ブランドとされる スタインウェイは7月に別のファンドへの売却を決めていたが、ボールソン氏側の提案額が上回ったために売却先を変更した

そうだったんですか、スタインウェイの身売り話が進んでいたのですね クラシックに限らずピアノのコンサートと言えば、必ずといって良いほどスタインウェイが舞台中央に構えています その歴史と伝統と権威のある老舗のスタインウェイが身売りとは驚きを禁じ得ません ボールソンがどこの誰かは知りませんが、だれに売却されるにしても”質”は落とさないでほしいと思います

 

  閑話休題  

 

今野浩著「工学部ヒラノ教授」(新潮文庫)を読み終わりました 今野浩さんは1940年生まれ。東京大学工学部応用物理学科卒業、スタンフォード大学大学院オペレーションズ・リサーチ学科博士課程修了。工学博士。筑波大学助教授、東京工業大学教授、中央大学教授等を経て、現在東京工業大学名誉教授です

今野さんは人生70年のうち3分の2を工学部という組織で過ごしてきたと言いますが、ヒラの教授から名誉教授に至るまで、大過なく勤め上げることができたのは「工学部の教え7カ条」に従って、自らを律してきたおかげだと書かれています 工学部7カ条は以下のとおりです。

第1条 決められた時間に遅れないこと(納期を守ること)

第2条 一流の専門家になって、仲間たちの信頼を勝ち取るべく努力すること

第3条 専門以外のことには、軽々に口出ししないこと

第4条 仲間から頼まれたことは、(特別な理由がない限り)断らないこと

第5条 他人の話は最後まで聞くこと

第6条 学生や仲間をけなさないこと

第7条 拙速を旨とすべきこと

 

          

 

大学スゴロクは助手に始まり、専任講師⇒助教授⇒教授⇒学部長⇒副学長⇒学長で上がりといいます そして、日本の大学では、国立が65歳停年(お役所言葉では定年ではなく停年という)、私立が65歳~70歳のどこかで定年というのが普通、定年を過ぎたスター教授には「特任教授」というポストが与えられているといいます

今野さんは、「学生から見れば60歳はシーラカンス、70歳はビーラカンス、80歳はエーラカンスだ。エーラカンスは転んで頭を打てば一貫の終わりだし、ビーラカンスは大腿骨骨折で寝たきりになる可能性もある 20代の若者がこのような”危なっかしい人”の研究指導を受けたいと思うだろうか」と言います

助手や助教授はもちろんのこと、教授もいかに雑用が多いかということも書かれています 雑用の際たるものは入学試験だと言います。文科省は「入試こそ大事な仕事だ」と主張するが、問題を作ったり採点したりするのは研究活動の時間を削られる雑用の最たるものだ、と言います

理系の教授にしては、かなり文章がこなれていて、分かり易い言葉使いで書かれています

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アダム・ジョンソン「半島の密使(上・下)」、有川浩「キケン」、中山七里「魔女は甦る」を買う

2013年08月15日 07時00分35秒 | 日記

15日(木)。13日は地下鉄がそれほど空いていませんでした さすがに昨日は若干空いていましたが、お盆と言っても、最近は一斉に休みを取るケースが少なくなっているのかも知れません 学生が夏休みなのは助かりますが。さて、お盆最終日の今日はどうでしょうか

昨夕、X部長が「30分だけ」と言うので、いつもの4人で地下のRで飲みました 結局、生ビール1杯だけでは済まず、日本酒の冷酒を飲むことになりました われわれがRで飲む時のつまみはいつも決まっていて、枝豆+冷やしトマト+エイヒレの3点セットです。「いつもの」と注文すると自動的に出てきます。タイムキーパー役のK君がいたので45分で引き揚げました

 

  閑話休題  

 

本を4冊買いました 最初の2冊はアダム・ジョンソン著「半島の密使(上・下)」(新潮文庫)です。言うまでもなく「半島」とは朝鮮半島のこと。北朝鮮を舞台にした小説を書くのはSF小説を書くのに等しいと言われているそうです 「訳者あとがき」によると、この作品は2013年のピューリッツァー賞を受賞したとこことです。読み応えがありそうです

 

          

          

 

3冊目は有川浩著「キケン」(新潮文庫)です。有川浩はこのブログでも紹介した「県庁おもてなし課」でお馴染みの著者です キケンとは「機械制御研究部」の略とのこと。どんな危険な物語なのか、楽しみです

 

          

 

4冊目は中山七里著「魔女は甦る」(幻冬舎文庫)です。中山七里はこのブログでも紹介した「さよならドビュッシー」「おやすみラフマニノフ」でお馴染みの著者です この作品は「さよならドビュッシー」よりも前に書かれた”原点”と言うべき小説とのことです。これも楽しみです

 

          

 

これらの本については、いずれこのグログでご紹介していきます

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これがエレーヌ・グリモー?~NHK・FMで聴いたブラームスの第2ピアノ協奏曲

2013年08月14日 07時00分18秒 | 日記

14日(水)。昨日の日経朝刊「文化欄」に奈良県立医科大学名誉教授の大崎茂芳さんの「クモの糸たぐり35年~人はぶら下がれるのか?粘って独自の技編み出す」というエッセイが載りました 要約すると、

「クモの巣は粘着性のある『横糸』や、巣の骨格となる『縦糸』など様々な種類の糸からできている。人がぶら下がれるようなものを作るには、粘着性のない糸だけを取り出す必要がある クモの命綱ともいわれる、強度の高い『けん引糸』を、できるだけ長く採集するのがベストだ。試行錯誤しながら巻き取り機を自作して改良を重ねた ある日、ドライブ中にヴァイオリン曲を聴いている時に、クモの糸でヴァイオリンの弦が作れるのではないかと思い付いた ヴァイオリン教室に通い、弦の張り方やチューニング方法を学び、出来るだけ長いけん引糸を採集して2010年9月に弦を完成した。音楽家に弾いてもらうと『軟らかく深みがある。今まで表現できなかったものができるようになり、音楽が変わるかもしれない』とさえ言われた その評価は周波数分析などでも裏付けられた。ヴァイオリニストからも弦を分けて欲しいと要望が多く寄せられる。この弦は繊維間に隙間のない、独特の最密充填構造に仕上がっている。世界中の科学者や企業から、この構造に関する問い合わせも多い。オーケストラの中で、素晴らしい音色を披露するのが現在の目標だ

大崎さんはクモの糸でハンモックを作り、ぶら下がることに成功したそうです 彼の体重は65キロだそうですから、クモの糸は相当丈夫なようです。それにしても、クモの糸だけで作られた弦を張ったヴァイオリンでバッハの無伴奏とかモーツアルトのヴァイオリン・ソナタとかを聴いてみたいものです

 

  閑話休題  

 

昨夜何気なしにNHK・FMをつけたら、ブラームスのピアノ協奏曲第2番の第1楽章が聴こえてきましたしばしその演奏から耳を離せませんでした。素晴らしい演奏に・・・と言いたいところですが、「何とひどい演奏だ」というのが正直な感想です。一言でいえば「ドンシャリ」という感じ。不自然な強弱をつけて演奏するじゃじゃ馬ピアニストを指揮者が押さえきれないまま演奏が進んでいく感じです 何とか最後まで聴いて演奏家の名前を待ちました。アナウンサーが「ただ今の演奏は、ピアノ=エレーヌ・グリモー、ディビット・ジンマン指揮NHK交響楽団の演奏でした」とアナウンスしたので、「ヘエー、あのグリモーが・・・・・・」と驚きました。

グリモーはフランスのピアニストですが、オオカミと一緒に暮らしていることでも知られています 彼女はブラームスの「第1ピアノ協奏曲」を98年にCDに入れていますが、その演奏はバックに巨匠クルト・ザンデルリング+スターツカペレ・ベルリンが付けています。堂々たる演奏です。巨匠の腕の中で安心して伸び伸びと演奏しているグリモーがいます

 

          

 

2004年5月にサントリーホールでラヴェルの「ピアノ協奏曲」を演奏した時に、ブラームスのピアノ小品集のCD(95年11月録音)にサインをもらいましたが、あの時のラヴェルも指揮者がチョン・ミュンフンということもあって軽快で溌剌とした演奏でした

 

          

 

それが、今のグリモーはどうしてしまったのでしょうか。指揮者との相性が悪いのか、たまたま彼女の体調が悪かったのか、かつての実力が落ちているのか・・・・・ちょっぴり心配です。オオ・カミヨ!

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あなたはS席45,000円のコンサートに行きますか?~ルツェルン祝祭管弦楽団コンサート

2013年08月13日 07時02分49秒 | 日記

 

13日(火)。昨日はガス器具交換工事の立会いのため休暇を取りました 業者に午前11時から工事開始と伝えていたのに、10時前に来たので慌てました。当初10時だったのを11時に変更したことが現場に伝わっていなかったようです 大急ぎで台所回りを片付けて受け入れ態勢を整えました

交換したのはガスコンロ、ガスオーブン、レンジフードファン、ガス風呂給湯器です。ガスコンロは3つの内2つしか使用できず、最後の1つもチャッカマンで点火しないとガスが点かない、しかも、火を点けるとボッとバックファイアーがあり危険極まりない状態だったのです オーブンは点火できません。ガスぶろ給湯器は追い炊きが出来ません。19年も使用していると、もう限界に近いのかも知れません

という訳で、ガス器具をそっくり取り替えることにしたのです。当初、工事は4時間以上かかると脅かされていたのですが、私がテレビで高校野球を観ている間に2時間半で終了しました 聞くところによると、こういう工事は職人さん次第で、手際の良い職人だと最短時間でテキパキと済ませてくれるが、要領の悪い職人に当たると4時間も5時間もかかってしまうということでした。私はラッキーでした

工事が予想より大幅に早く終わり、時間がたくさん余ってしまったので、映画でも観に行こうかと思ったのですが、外は灼熱だし、家で音楽を聴きながら本を読むことにしました すると、夕方5時半過ぎに、急に雨が降ってきて遠くの方で雷の音が聴こえました だんだん雷の音が近づいてきたので、ステレオのスイッチを切って、雨音と雷の音に耳を傾けることにしました 雷雨は自然の音楽です。いいチャンスです

そういえば、雷雨の音を入れたCDがありました。波が浜に寄せては返すだけのCDもありました。いずれも自然の音を材料としたヒーリングCDです

さて、新しいガス風呂給湯器、お風呂が沸くと女性の声で「お風呂が湧きました」と教えてくれるのです。秀樹還暦!ちがった、ヒデキ感激です。ガスコンロもすぐに点火します。さらばチャッカマン

 

  閑話休題  

 

コンサート会場の入り口で渡されるチラシの中に「ルツェルン祝祭管弦楽団」のチラシが入っていました。10月15日と17日が①シューベルト「未完成交響曲」と②ブルックナー「第9交響曲」、10月20日と21日が①ベートーヴェン「エグモント序曲」、②同「第3ピアノ協奏曲」(ピアノ:ラドゥ・ルプー)、③同「第3交響曲」というプログラムで、会場はサントリーホールです

さて私がここでこのオーケストラのコンサートを取り上げたのは、その入場料金に驚いたからです。前者がS席42,000円、A席36,000円、C席25,000円、D席18,000円で、後者がS席45,000円、A席39,000円、B席33,000円、C席28,000円、D席21,000円となっているのです。だれが見たってこれはオペラの入場料金です

 

          

 

高額料金の根拠は、指揮者がかつてベルリン・フィルの芸術監督だったクラウディオ・アバドであること、「ルツェルン祝祭管弦楽団」が常設のオーケストラでなく、臨時に編成されるオケで、世界各国のオケの首席クラスのメンバーが参加していること、2013年はルツェルン・フェスティバルの創設75周年の節目に当たること、などが挙げられます

今年11月にはベルリン・フィルもウィーン・フィルも来日するので、これら世界を代表するオーケストラと比較してみます。

ベルリン・フィルはサイモン・ラトルと共に来日しストラヴィンスキーの「春の祭典」やブルックナーの「第7交響曲」を演奏します。会場はサントリーホール。料金はS席40,000円、A席35,000円、C席26,000円、D席21,000円となっています

ウィーン・フィルはクリスティアン・ティーレマンと共に来日し「ベートーヴェン・チクルス」を演奏します。会場はサントリーホール。料金はS席35,000円、A席30,000円、B席25,000円(第9を除く)となっています

臨時編成オケ「ルツェルン祝祭管弦楽団」の方が、世界のベルリン・フィル、ウィーン・フィルよりも入場料が高いことが分かります

さて、いったい誰がS席42,000円のコンサートに行くのでしょうか。多分、招待券をもらって提灯記事を書く音楽評論家たちは間違いなく聴きに行くでしょう 次に、給料をもらって仕事で聴きに行く新聞社の文化部記者や編集委員たちもほぼ間違いなく聴きに行くでしょう お金の使い道に困っている富裕層も行くでしょう しかし、しがないサラリーマンである私は、オペラでもないコンサートに42,000円も投資することは出来ません 第一、その良さを判断できる確かな耳を持っているわけではありませんので もったいないです。同じ投資するなら4,200円のコンサートに10回行きます

いずれにしても、日本は恰好のクラシック音楽市場ですね 呼び屋さんに踊らされて高い料金を払って海外オケの来日公演を聴きに行く人が後を絶たない限り、この現象は続くでしょう

 

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モーツアルトの「交響曲第35番”ハフナー”」とオペラ・アリア集(日本語版)を聴く~東響

2013年08月12日 07時00分18秒 | 日記

12日(月)。昨日午後3時からミューザ川崎で「フェスタサマーミューザ」フィナーレ・コンサートを聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第35番二長調K.385”ハフナー”」、②同「オペラ・アリア名曲集」です。演奏は秋山和慶指揮東京交響楽団、ソプラノ=半田美和子、メゾ・ソプラノ=小川明子、テノール=経種廉彦(いだねやすひこ)、バリトン=大山大輔です

 

          

 

本番に先立って午前11時半から公開リハーサル(ゲネプロ)がありました。私は先日と同じ2階のセンターブロック5列14番席を確保しました。うだるような暑さの外からコンサートホールに入って舞台上のオーケストラを見ると何故か元気になります

1階席と2階のセンターブロックを中心に聴衆が入っています。5分前に着席すると、すでにオケの面々が自由な服装で各自練習中でした コンマスはベージュのワンピースが似合う大谷康子さん。拍手に迎えられて指揮者の秋山和慶さんがオレンジ色のポロシャツで登場し、会場に向かって「おはようございます」とあいさつ、さっそくリハーサルに入ります

最初にハフナー交響曲の第1楽章から入ります。ゲネプロなのでほとんど止めないで通して演奏、繰り返しの部分で止めて第2楽章に入ります。アンダンテのこの楽章では、何度か途中で止めて繰り返し演奏を求めていました アレグロ楽章より、ゆったりしたアンダンテ楽章の方に神経を使っているようです。第3楽章メヌエットはサラッとおさらいし、第4楽章プレストでは途中何度か止めて繰り返し演奏しました

次いで歌劇「フィガロの結婚」序曲を軽快に演奏、歌手陣を入れて「フィガロの結婚」のアリアをひと通りおさらいしました。女性陣は本番と同じ衣装で、男性陣は普段着で望みます。バリトンの大山大輔が進行役も兼ねています

12時20分から12時35分まで休憩をとり、後半は歌劇「魔笛」と「ドン・ジョバンニ」のアリアをおさらいしました。歌手陣は絶好調です

1時22分にリハーサルが終了。ビル内のコーヒー店でカフェラテを飲んで2時半に会場に戻りました ロビーの端に「フェスタサマーミューザ」に登場した指揮者陣のサイン色紙が飾られていました

 

          

 

さて本番です。自席は1階C8列30番、センターブロック右端から3つ入った席、会場は舞台の左右とP席がガラガラですが、他は結構埋まっています

舞台に登場したオケの面々を見ると、男性陣は黒の長袖Yシャツ、女性陣はコンマスの大谷康子さんと一部の女性を除き黒のパンツルックです。どうせならパンツルックで統一した方が断然カッコいいと思います

交響曲第35番ニ長調K.385”ハフナー”は、ザルツブルクの富豪ハフナー家の息子ジークムントⅡ世が貴族に叙せられたことを祝って作曲されたものです そのため祝祭的で明るく弾むような曲です。秋山和慶の指揮は、いつでも明快です。これほど飾りのない、それでいて表現すべきことは過不足なく表現している指揮者も珍しいのではないでしょうか 私が長い間、東京交響楽団の定期会員になっているのも、この人の指揮で聴きたいという理由が大きいのです。実に気持ちのいい指揮ぶりです

          

          

                   (これは昨年のです)

 

休憩後はモーツアルトの序曲とアリア集です。進行役の大山が登場して

「きょうは中山梯一、鈴木敬介の日本語訳詞によるオペラのアリアを聴いていただきます。それでは本日の出演者をご紹介します

とあいさつ、第4回藤沢オペラコンクール第1位のソプラノ半田美和子、第4回日本歌曲コンクール第1位のメゾ・ソプラノ小川明子、イタリア声楽コンコルソ金賞受賞のテノール経種(いだね)康彦を紹介、最後に大山が自己紹介をしました

「フィガロの結婚」序曲は軽快です。短い序曲の中に3時間に及ぶオペラのエッセンスが凝縮されています「さあ、これから楽しいオペラが始まるぞ」というワクワク感に満ちています

次いでフィガロの中からアリアを4人の歌手が交替で歌います 最初にマルチェリーナ(小川)とスザンナ(半田)による「お先へどうぞ」が面白可笑しく、フィガロ(大山)による 「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」が軽快に、ケルビーノ(小川)による「恋とはどんなものかしら」が初々しく、伯爵夫人(半田)による「楽しい日々はどこへ」がしみじみと歌われ、伯爵夫人(小川)とスザンナ(半田)による「手紙の二重唱」が軽やかに、最後にフィガロ(大山)による「まなこを開け」が力強く歌われました 「手紙の二重唱」で感心したのは、伯爵夫人の歌う言葉をスザンナが手紙に書き取るシーンで、半田スザンナは、イタリア語では横書きのところを、日本語の歌なので平仮名を書くように縦に文字を書いていたところです。細かい演出をしているな、と感心しました

次いで「魔笛」に移りましたが、大山は「昼間のコンサートなので夜の女王は登場しません」と言って会場を湧かせました。最初にタミーノ(経種)による「麗しいお姿」がロマンティックに、パミーナ(半田)とパパゲーノ(大山)による「恋を知るほどの男には」が高貴に、パミーナ(半田)による「愛の喜びは露と消え」が哀しく、パパゲーノ(大山)とパパゲーナ(半田)による「フィナーレ」が賑やかに楽しく歌われました 最後は誰が誰を歌っているのか定かではありませんでしたが、このフィナーレは素晴らしい音楽です。フィガロのフィナーレもそうですが、ワクワクするオペラの最後を飾るのに相応しい音楽です

フィナーレで、世を儚んで首を吊ろうとするパパゲーノが「3つ数えるうちにだれか助けて」と言い、パンフフルートを吹いて「1」、「2」と数えても何の反応もないので、チャルメラのメロディを吹いて「2.5」と言うと会場は大爆笑でした

最後は「ドン・ジョバンニ」です。曲の紹介をするとき、大山が何かを落としました。「ドン・ジョバンニは世界中で2065人もの女性を落としましたが、私はカフスを落としました」とシャレを言って笑いを取り、「これで2065人を超えることができるかな・・・・」とか何とかブツブツ言っていました

最初にツェルリーナ(半田)とドン・ジョバンニ(大山)による「手を取り合って」が魅惑に満ちて、ドンナ・エルヴェラ(小川)による「さあ、この裏切り者を避けて」が力強く、ドンナ・アンナ(半田)、ドンナ・エルヴェラ(小川)、ドン・オッタヴィオ(経種)、ドン・ジョバンニ(大山)の四重唱による「お気の毒な方、この人の不貞の心を」が見事なアンサンブルで歌われました

そして、大山ドン・ジョバンニが「みんながワインで酔いしれる盛大な宴を用意しろ」を超早口言葉で歌って拍手喝さいを受け、さきほど落としたカフスを拾い上げて走って舞台を去りました 「これから10人口説き落としてカタログに2066人目以降を書き加えるぞ」という宣言です。それで息が切れるのではないかとの大方の心配をよそに、大山ジョバンン二は休む間もなく、マンドリンの伴奏に乗せて「セレナーデ」をロマンティックに歌い上げました。このマンドリンの素晴らしかったこと 聴衆は二人に大きな拍手を送りました

次いでドン・オッタヴィオ(経種)による「恋人を慰めて」が切々と歌われ、最後に全員が登場してフィナーレを歌い上げました

今年のフェスタサマーミューザがモーツアルトで終わったのは良かった 来年も是非聴きに行きたいです。とくにゲネプロ付のコンサートは良い企画だと思うので来年も続けてほしいと思います

 

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百田尚樹著「モンスター」を読む~ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」も登場

2013年08月11日 07時01分02秒 | 日記

11日(日)。昨日は暑かったですね。都心で最低気温が29度とか言ってました 出来るだけ外に出ないようにしました。家でCDを聴きながら新聞や本を読んで過ごしましたが、ポゴレリッチのCDをショパンを中心に片っ端から聴きました。ポゴレリッチは強烈な個性ですね

 

          

 

          

 

          

 

          

 

          

          

百田尚樹著「モンスター」(幻冬舎文庫)を読み終わりました 百田尚樹は1956年、大阪生まれ。放送作家として「探偵!ナイトスクープ」などの番組で活躍後、2006年に「永遠の0(ゼロ)」で作家デビュー、大きな話題を呼びました

瀬戸内海に面した小さな田舎町で瀟洒なレストラン”オンディーヌ”を経営する絶世の美女・鈴原美帆は、他人には言えない秘密を抱えていた 彼女は幼いころ”ブルドッグのように醜い”と言われ、深く傷つきながら育ってきた。そんな彼女は幼稚園の時に憧れていた英介に、いつの日か再会し結ばれたいと思っていた しかし、醜い顔では英介は振り向いてくれない。そこで、彼女は二重瞼の手術を手始めに、鼻を、口を・・・・と整形手術を繰り返し、まったく別人の絶世の美女になります ”町一番の美人”を売り物に、かつて自分をけなしていた男たちを引き付け、次々と復讐を果たしていきます。最後に、英介も彼女の前に現われます。二人は結ばれるのか・・・・・・・

この本の中にクラシック音楽が1度だけ登場します。美帆のレストランに英介が訪ねてきた時のシーンです

その時、店内の音楽が変わった。私は音楽に耳を傾けるように目を閉じた。

「この曲ー好きな曲なんです」

「ラフマニノフですね」と英介は言った。「ピアノ協奏曲第3番」

私はうなずいた。

「ぼくも大好きな曲です」

「まあ!」

私は小さく声を上げたが、英介がこの曲を好きなことは知っていた。高校時代、この曲について友人に熱く語っていた英介の姿は、今も鮮明に覚えている

ここで著者が同じラフマニノフのピアノ協奏曲でも有名な「第2番」でなく「第3番」を選んだのは、次のような英介の回想があるからです

彼はかつてこう言った。

「この曲を聴いていると、青春の悲しさを感じるんだ。二度と戻らない、ある懐かしさを感じて胸が一杯になる」

 

          

 

浪費家の、もとい、小説家の中村うさぎさんが巻末に解説を書いています

「人間というものはさもしい生き物だ。外見よりも中身が大事、などと真顔で綺麗ごとを言う者ほど、美貌という餌を前にすると恥も外聞もなく食らいついてくる 私事で恐縮だが、昔から自他ともに認める面食いである私は、それを公言すると必ず「男を外見でしか判断しない軽薄で愚かな女」という批判や軽蔑を浴びたものだ。だが、本当に中身だけで相手を選んでいる人に、私はほとんど会ったことがない

これを読んでいて思ったのは、時々「美女と野獣」を絵にかいたようなカップルに出会うことがありますが(どうして、あんなブ男に絶世の美女がくっついているのか)、あれって、男が女を外見で選んでいるのに対して、女が男を内面で選んでいるのか?それとも、だまされたのか?ということです 

最近はプチ整形が流行っているようで、みんながみんな同じような顔になっていくような気がします。自分から進んで個性を喪失しているのではないかな

 

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