人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

道尾秀介著「月と蟹」を読む~哀しみを抱いて生きている少年の物語

2013年08月10日 07時01分09秒 | 日記

10日(土)。昨夕、仕事に打ち合わせでX部長と地下の0で40分、次いでN監査役を加えてRで40分飲みました。入居飲食店舗の両方で飲むこの配慮 涙がチョチョ切れます。自画自賛です 幸か不幸か、ビールを飲むと風邪による喉の痛みが消えてスイスイと入っていくので困りました そんな訳で今朝も喉の痛みは消えていません

 

  閑話休題  

 

道尾秀介著「月と蟹」(文春文庫)を読み終わりました 道尾秀介の作品はこのブログでも何冊かご紹介しました。あらためて紹介すると道尾秀介は1975年生まれ。2004年に「背の眼」でホラーサスペンス大賞を受賞し、デビューしました。その後、数々の推理小説を発表してきましたが、ついに2011年、この「月と蟹」で直木賞を受賞しました 彼の作品は、思わず引き込まれてしまう魅力に溢れています

舞台は海辺の町、小学生の慎一と春也はヤドカリを神様に見立てて願い事遊びを思い付き、遊ぶ ヤドカリを部屋のキーの上に固定し、下からあぶることによって、中のヤドカリを外に追い出す遊びだ。その儀式で、願い事をするとそれが叶うことを発見する。慎一は幼くして父親を亡くし、母親と祖父の3人で暮らしているが、母親が密かに付き合っている同級生・鳴海の父親を抹殺してほしいと祈る 

少年期の微妙な心の変化が繊細な文章表現で書かれています。伊集院静氏が「解説」で次のように書いています

「道尾秀介の描く少年は、哀しみを抱いている。もっと正確に、いや私の直感であるが、”少年たちは哀しみを抱いていることに戸惑っている”」

これを読んであらためて気付いたのは、道尾秀介はほとんど少年を主人公にして小説を書いているということです 彼の小説を読んで裏切られたことはありません。お勧めします

 

          

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百田尚樹「モンスター」J・ディーヴァ―「ポーカー・レッスン」今野浩「工学部ヒラノ教授」を買う

2013年08月09日 07時00分29秒 | 日記

9日(金)。昨夕、ミューザ川崎で日本フィルのコンサートを聴きました

と書きたいところですが、当ビル地下のNクリニックで診てもらったら、喉が赤いとのことで、やはり夏風邪を引いたようです 喉は痛いわ、前夜の暑気払いの飲み疲れが残っているわ、腰痛で腰と背中が痛いわで、夕方になってもボーッとして気力が湧かないのです コンサートに行っても余裕を持って聴ける状態ではなさそうなので、諦めました 行き先が川崎ほど遠くなかったら聴きにいったかも知れません

聴く予定だったのは「フェスタサマーミューザ」の一環で、ピエタリ・インキネン指揮日本フィルのコンサートで、プログラムは①ワーグナー「楽劇”ニュルンベルグのマイスタージンガー”~第1幕への前奏曲」、②モーツアルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」(ピアノ:原田英代)、③ベルリオーズ「幻想交響曲」です

「幻想交響曲」は先週火曜日に準・メルクル指揮PMFオーケストラで聴いたので未練はないのですが、モーツアルトのピアノ協奏曲は聴きたかった。とても残念です

 

  閑話休題  

 

という訳で、帰りがけに本を3冊買いました 1冊目は百田尚樹著「モンスター」(幻冬舎文庫)です。百田尚樹は「永遠の0(ゼロ)」がベストセラーになった人気作家です。絶世のブスが整形手術を繰り返して絶世の美女に変貌し、ある目的を達成するまでの物語です

 

          

 

2冊目は、ジェフリー・ディーヴァ―「ポーカー・レッスン」(文春文庫)です。私は2人のジェフリー、つまりジェフリー・ディーヴァ―とジェフリー・アーチャーの小説が好きです。この「ポーカー・レッスン」は名探偵リンカーン・ライムが活躍する小説で、文庫オリジナルとのことです

 

          

 

3冊目は、今野浩著「工学部ヒラノ教授」(新潮文庫)です。著者の今野浩さんは1940年生まれ、現在東京工業大学名誉教授です 大学工学部の平(ヒラ)教授の苦労話がユーモアたっぷりに披露されているとのことです

 

          

 

も一度、閑話休題  

 

日経の夕刊文化欄がここ数日クラシック音楽に力を入れています 6日には編集委員によるPMFオーケストラのコンサート評を、7日には指揮者・大野和士の「都響の音楽監督就任へ」と題するインタビュー記事を、8日には作曲家・望月京(みさと)の「現代音楽を聴くヒント~サティ、先鋭と秩序同居」のエッセイが載っています。私が日経を定期購読する理由は、一つは経済記事を読むためですが、もう一つは夕刊の音楽関連記事・エッセイを読むためです

7日の大野和士へのインタビューでは、彼が2015年から東京都交響楽団の音楽監督に就任し、子供向けの音楽教育を充実させることを考えていることが分かります また、8日の望月京のエッセイでは、12音技法によって、1オクターブに含まれる12個の構成音の登場頻度が均一化されたが、頻度の格差によってもたらされていた調整感は失われたこと、「難解な現代音楽」と言われる「無調音楽」でもエリック・サティの音楽はゆるゆると心地よい響きであること等が分かります

日経にはこの路線で突っ走ってほしいと思います

 

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クラシックソムリエ検定試験に思う~音楽に直接関係ない問題が多い?

2013年08月08日 07時01分20秒 | 日記

8日(木)。昨夕、清掃業務を委託しているT社の4人の面々と西新橋のSで暑気払いで飲みました 夏風邪気味で最悪のコンディションでしたが、今更予定変更もできないので、あまり飲まないようにすればいいだろうと思って参加しました。が、飲んでいる時は良いのですが、やはり後がいけません。喉が痛いのです 今朝も、唾を呑み込む時に痛むのです。今日はクリニックに行こうと思います。ともあれ、T社の皆さま、ありがとうございました

 

  閑話休題  

 

昨日の朝日朝刊「文化」欄に「クラシックソムリエ検定挑戦 難問・珍問に頭抱え」という記事が載りました検定試験を受けたという同紙記者の記事を要約すると、

「クラシックの知識を問う第2回クラシックソムリエ検定試験が先月、東京、大阪、金沢で行われた 検定は一般財団法人日本クラシックソムリエ協会の主催。入門編のエントリークラスと中級のシルバークラスがあり、試験はともに100問、4択のマークシート方式で制限時間は60分、1問10点で1,000点満点 エントリークラスは特に合否はないが、シルバークラスは800点以上で合格となる 協会によると平均点はエントリーが812点、シルバーが626点とのこと。つまり平均点を取っていてもシルバークラス検定には合格できないのが実情のようです

記事で紹介されていたエントリークラスの問題は次のようなものです

問1:モーターボートや自動車に凝り、自動車事故にも遭ったことがあるイタリアのオペラ作曲家はだれか。

①ロッシーニ

②ヴェルディ

③プッチーニ

④ドニゼッティ

また、シルバークラスの問題は次のようなものです

問2:ディズニーの音楽アニメーション映画「ファンタジア」において、音楽の指揮と編曲を務め、スクリーンに出演もしてしまった指揮者はだれか。

①レナード・バーンスタイン

②ゲオルグ・ショルティ

③レオポルド・ストコフスキー

④サイモン・ラトル

私は、問1は③か④かで迷いましたが、結局ヤマカンで④とし、問2は知っていたので③としました。(正解は問1が③プッチーニ、問2が③レオポルド・ストコフスキー)。つまり、入門編で間違えて、中級編で正解したという結果でした

なお、無謀にもこの記事を書いた記者が作った問題があります。次の通りです。

問:米国が1977年に打ち上げた惑星探査機ボイジャーは、宇宙の知的生命体へ地球を紹介するレコードを積んでいます。そのレコードに、バッハの曲の演奏が収録されたピアニストはだれか。

①アンドラーシュ・シフ

②グレン・グールド

③ルドルフ・ゼルキン

④バン・クライバーン

これは知っていました ②が正解です

私は学生時代から試験というものが嫌いなので、今のところこの検定試験を受けるつもりはありませんが、「音楽に直接関係ないじゃん」「別にどうでもいいじゃん」的な問題が少なくないのかな、と思ったりしています

 

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映画「ザ・マスター」を観る~使用音楽はショパンのエチュード「別れの曲」

2013年08月07日 07時00分18秒 | 日記

7日(水)。今朝起きたら喉が痛いのです。多分、軽い夏風邪だと思います。今夕は仕事上の暑気払いで飲まなければないので、ほどほどにしたいと思います 関係者の皆さま、ご理解・ご協力をお願いいたします

 

  閑話休題  

 

昨日の日経「夕刊文化」欄に同紙K編集委員のクラシック・コンサート評が載っていました 私も聴いた7月 30日のPMFオーケストラのコンサートです 当日は準・メルクルの指揮でブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番(Vn:レーピン)とベルリオーズの幻想交響曲が演奏されましたが、K氏が捉えた感想が書かれています。内容はともかく、こういう人はウラヤマシイと思います。高い給料をもらって会社の経費か招待券かで好きなコンサートを聴いて、好き勝手なことを書いて世間に名前を売っているのですから

しかし、ウラヤマシイと思うと同時に、聴いた音楽のことを仕事で書くのは嫌だな、とも思います 褒めることは出来ても「大した演奏ではない」とけなすことは難しいでしょうね。編集委員とはいえ所詮サラリーマンですから、無難なコメントしか書けないでしょうね やっぱり、自分で稼いだ給料を投資してチケットを買って、聴いて感じたことを自由に書くのが一番だと思います もちろん、よほどひどい演奏でない限り「大した演奏ではない」などとは書きませんが

 

  も一度、閑話休題  

 

一昨日、早稲田松竹で「リンカーン」と「ザ・マスター」を観ました 今日はポール・トーマス・アンダーソン監督「ザ・マスター」をご紹介します

物語は第2次世界大戦後の1950年代。帰還兵のフレディ・クエルは戦地で患ったアルコール依存症を克服できず、職場で暴れ、そこに居られなくなる 放浪の果てに彼は、密航した船で「ザ・コーズ」という新興宗教団体に出会い、指導者である”マスター”ことランカスター・トッドに迎えられる。マスターは、独特のやり方で悩める人々の心を解放し、カリスマ的な人気を得ている指導者だった フレディは次第に彼の右腕として活躍するようになる。しかし、実はマスターは妻の影響下にあった。マスターに反抗する勢力を暴力で押さえつけようとするフレディ、アル中のフレディを排除しようとるする妻、彼をかばおうとするマスター、この3人の三角関係が微妙に揺れ動いていく

この映画で使われていた唯一のクラシック音楽はショパンのエチュード作品10-3「別れの曲」です 女性シンガーがジャズ・ナンバーとして歌っていました

この映画は実際に存在する新興宗教団体「サイエントロジー」にインスパイアされたと取りざたされるなど、大きな話題を呼んだとのこと サイエントロジーとは何なのか、よく判らないのでウィキペディアで調べたら次のように書かれてました

「サイエントロジーは、ロン・ハバードが創始した新宗教である。アメリカに本拠を置いている。使用されている用語など、見たところは伝統的な宗教よりも自己啓発セミナーに似ている 個人の精神性と能力と倫理観を高めることによって、より良い文明を実現しようと主張する宗教団体である」、「ロン・ハバードが1950年に出版した『ダイアネティックスー明確な思考を取り戻せ』はアメリカ合衆国でベストセラーになった

この解説を見ると、映画の舞台が1950年代であることや主人公が新宗教団体の教祖であること、教祖が教義本を出版していることなど、いくつか共通点があります 日本にも支部があるようです そう言えば、十数年前に日本でも「自己啓発セミナー」が流行った時期がありましたね 私はそういうのにはまったく興味・関心がありませんでしたが、知り合いの何人かは参加していたようです 各自かなりの額を主宰者に投資していたようですが、その果実はいかほどだったでしょうか。非常に疑問です

2012年制作。138分。「リンカーン」と「ザ・マスター」の2本立ては早稲田松竹で9日(金)まで

 

          

 

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スピルバーグ監督「リンカーン」を観る~その時の音楽はベートーヴェン「エグモント序曲」か?

2013年08月06日 07時00分19秒 | 日記

6日(火)。目覚まし時計が壊れました。指定の時間になってもアラームが鳴らないのです これは非常に困ります。私は前の晩にどんなに飲んだくれて帰ろうが、翌朝は6時前には起きてブログを書き始めます 早い時は5時に起きます。したがって、前の晩には翌朝起きる時間のアラームを設定しておくわけです。それが、時間になっても鳴らないのです 6時半ごろになってから目が覚めて時計を見ると唖然とします またかよ 誰か責任とれよ とツッコミを入れたくなります

という訳で、新しい目覚まし時計を買いました 今までのはアナログのごく普通の目覚まし時計でしたが、今度のはデジタル電波時計で温度計と湿度計まで付いています 定価は3,000円でしたが、店頭割引で1,600円台で買えました。経過は順調です きちっと朝6時にはピピピという高音で起こしてくれます。まさに目覚ましい時計です 間違っても「寝ているやつはホッ・トケイ」とは鳴りません

 

  閑話休題  

 

昨日、早稲田松竹でスピルバーグ監督「リンカーン」と、アンダーソン監督「ザ・マスター」を観ました 今日は「リンカーン」をご紹介します

この映画は2012年、スティーヴン・スピルバーグ監督によるアメリカ映画(150分)です。言うまでもなくエイブラハム・リンカーンは第16代アメリカ合衆国大統領ですが、彼はインディアンに対しては徹底排除の方針を採った一方で、黒人奴隷解放を実現し世界の偉人の一人として讃えられています この映画ではリンカーンが、白人も黒人奴隷も法の下の平等を謳うアメリカ憲法修正案を議会で通し、暗殺されるまでの、最後の28日間を描いた作品です 政治家としてのリンカーンだけでなく、夫としての顔、父親としての顔、あらゆる方向からアプローチして歴史に残る大統領の素顔に迫っています

さて、私が映画を観ていつも気にかけているのは音楽です。どんな音楽が、とくにどんなクラシック音楽が使われているのか、です

この映画では2回オペラのシーンが出てきます。1回目はリンカーン夫妻がオペラ劇場の桟敷席で舞台上の男女のデュエットを聴いているシーンです。その時歌われていたのが何のオペラの何のアリアなのか残念ながら判りませんでした

2回目は、彼の子供が大衆的なオペラ劇場で喜劇風のオペラを観ているシーンです。その時流れていたのは、喜歌劇とは関係のないベートーヴェンの「劇音楽:エグモント序曲」だったと思います 劇音楽「エグモント」は16世紀のオランダの英雄エグモント伯を描いたゲーテの道徳的悲劇への付随音楽です その音楽が流れているところへ「リンカーンが暗殺された」というニュースが飛び込んできます。エグモントの音楽はそれを予知するために流されていたのだろうか、と想像します

この作品は2012年度アカデミー賞に12部門ノミネートするなど世界中で話題になった映画ですが、スピルバーグ監督はこの作品を12年に渡って温め続けてきたそうです なかなか強い大統領が出現しないアメリカに喝を入れようとしたのかもしれません

 

          

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室積光著「史上最強の内閣」を読む~北朝鮮が中距離弾道ミサイルを日本に発射!

2013年08月05日 07時00分18秒 | 日記

5日(月)。3日付の日経朝刊「文化欄」に同紙文化部記者が書いた「現代映す交響曲 大ヒット~佐村河内守のロマン派風新作~ストレス社会に共感呼ぶ」という記事が載りました 記事によると、

音楽評論家の山崎浩太郎は「ゲーム『バイオハザード』の劇伴を作曲してきた佐村河内作品に、『エヴァンゲリオン』の映画監督・庵野秀明と似たものを感じる ともに1960年代生まれで、幼い頃から好きだったものを、まねやパロディーではなく自然に自作に取り入れている 精神的苦悩が反映された音楽は多くの人がストレスを抱える現代に共感を得やすい」と語る

一方、音楽評論家・林田直樹は「メディアの力も大きい。音楽は歴史的に放送メディアと強く結びついてきたカラヤンやバーンスタインからビートルズに至るまで”メディアが育てた芸術家”とも言える」と語る メディアの影響力ということで言えば、全国放送のNHKが佐村河内守の半生を取り上げたことがブームのきっかけになったことは間違いないでしょう

2009年に佐村河内守の「交響曲第1番」が芥川作曲賞の候補になった時、ただ一人この作品を推した作曲家・三枝茂彰は「ネット社会では大衆が評価を決める 佐村河内作品は、21世紀の芸術の一つの方向性を現しているのではないか。現代はコンセプトよりも『伝える力』が必要な時代」と語る

記者は「日本に突如現れた19世紀ロマン派風の音楽は、現代の社会や芸術のありようを多面的に映している」と結んでいます 現代はメディアとインターネットの力を抜きにして音楽事情を語ることはできません 佐村河内守の「交響曲第1番」のCDの売り上げは17万枚を超え、今年から来年にかけてのコンサートは50回といいます。年末恒例の第9公演に匹敵するほどの回数です。秋以降は新作のピアノ・ソナタのコンサート・ツアーも控えています。これらはメディアやネットの力がなければ実現不可能です

今や音楽家たちは、コンサートで音楽を聴衆に伝える前に、そのコンサートの存在自体をメディアやネットを駆使してより多くの一般大衆に伝えることが求められています その上で数多くの音楽家集団・個人の競争の中で”選ばれる存在”でなければなりません。現実は厳しいです

 

  閑話休題  

 

室積光著「史上最強の内閣」(小学館文庫)を読み終わりました 著者の室積光は1955年、山口県生まれ。映画・テレビの俳優を経て、作家になったという変わり種です

北朝鮮が、日本に向けた中距離弾道ミサイルに燃料注入を開始した 果たして中身は核なのか。不人気な自由民権党の浅尾総理(明らかに当時の自由民主党の麻生総裁をもじっている)は、危機一髪の有事を前にして、京都に隠されていた「本物の内閣」に政権を譲ることを決意した 指名された影の内閣は、京都の公家出身の二条友麿首相を筆頭に、世襲議員たちでは太刀打ちできない国家存亡の危機に対処すべく密かに準備されていた最強の内閣だった

内閣官房長官:松平杜方、総務大臣:高杉松五郎、法務大臣:島崎楼村、外務大臣:坂本万次郎、財務大臣:浪花秀吉・・・・・・だれをとっても日本を代表する偉人たちの名前をもじった錚々たるメンバー そして、内閣官房情報調査室のトップは服部万蔵で、まさに伊賀忍者・服部半蔵をもじった名前の逸材

北朝鮮の動きを察知しようとする動きの中で、東京ネズミ―ランドで北朝鮮のシン・チョンイル将軍の長男シン・ジャンナムの身柄を拘束したという情報が入る。実際にありましたね、そういう事件が そのシン・ジャンナムが六本木のクラブに入り浸っている様子が実に面白可笑しく、思わず「ありそ~」と叫びそうになります

さて、いよいよ北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射しました。さて、そのミサイルはどうなったのか それを影の内閣はどうしたのか。読んでいると「そ、そんなアホな・・・・」と面喰うことが少なくありません しかし、理屈の通じない国、北朝鮮に対する日本のシャドー・キャビネットの活躍ぶりには思わず拍手を送ってしまいます

この小説で政権を投げ出して影の内閣に全権を委譲したのは麻生総理をもじった浅尾総理でしたが、その麻生氏は憲法改正がらみで「ナチのやり口を見習え」とか発言して国際的にもサンドバック状態にあります この人はまったく過去の経験に学ばない人ですね。いっそのこと誰かに副総理の権限を委譲したらどうでしょうか。この小説に出てくる影の内閣に西郷利明が国家公安委員長として登場します。さしあたって彼に代わってもらったらどうでしょうか

とにかく面白い。国際政治を笑い倒す数少ない痛快小説です。お勧めします

 

 

          

 

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クリスティアン・アルミンク、新日本フィルとマーラー「交響曲第3番」で有終の美を飾る!

2013年08月04日 07時01分08秒 | 日記

4日(日)。昨日、すみだトりフォニーホールで新日本フィルの第513回定期演奏会を聴きました 10年間、新日本フィルの音楽監督を務めてきたクリスティアン・アルミンク最後のコンサートです 演奏するのはマーラーの「交響曲第3番ニ短調」。アルト独唱は藤村実穂子、女性合唱は栗友会合唱団、児童合唱は東京少年少女合唱隊、コンサートマスターはチェ・ムンスです

 

          

 

開演30分前からアルミンクによる最後の「プレトーク」がありました。彼は語ります

「なぜ私が最後の演奏会でマーラーの交響曲第3番を振るのかというと、10年前に新日本フィルの音楽監督に就任した時の演奏会のプログラムがマーラーの第3番だったからです マーラーのこの曲についてはプログラムに詳細に解説が書かれているので多くは語りませんが、この曲は物語性をもっていて、それが私の10年間の指揮者としての活動を振り返る上で最適な音楽だと思いました これまで、ルネッサンスから現代まで400年に亘る音楽を取り上げてきましたが、プログラミングについては、目新しいものを聴いていただくようにと意識してきました。毎年、新しいテーマ設定をして年間を通して演奏してきました 特に印象に残っている演奏として、オネゲルの劇的オラトリオ『火刑台上のジャンヌ・ダルク』やフランツ・シュミットのオラトリオ『七つの封印を有する書』などが挙げられます。リヒャルト・シュトラウスの歌劇『ばらの騎士』(2008年か?)も印象に残っています。最後に、このオーケストラにとっても、皆さまにとっても輝かしい未来が待っていることを祈っていますアフヴィーダ―ゼーエンは日本語では『さよなら』のことですが、ドイツ語のそれには『次にお会いするのを楽しみに』という意味が込められています。それでは皆さま、アフヴィーダーゼーエン! さよなら

プレトークが10分程で終わったので、ロビーに出ました。CD売り場に、先日第2ヴァイオリン奏者・篠原英和さんの「プレトーク」打ち上げ会にお見えになっていた新日本フィル事業部のNEさんの顔が見えたので声をかけました

tora   「こんにちは。先日はお世話様でした

NEさん 「こんにちは。ブログ拝見しました。私たちのこともイニシャルで書かれていて・・・・

tora   「本名を出すのはまずいと思いまして・・・・

NEさん 「それはまずいです

tora      「アルミンク、今日が最後ですね

NEさん 「今日はきっと良い演奏になると思いますよ

tora      「楽しみにしてます。明朝7時にはブログにアップします

NEさん 「ありがとうございます

爽やかなNEさんでした 残念ながら新日本フィル事業部のもう一人のNHさんにはお目にかかれませんでした。お元気でしょうか

開演時間になりました。最初に女声合唱約70人が舞台の最後列にスタンバイします。そして、オケの面々が登場し所定の位置に着きます。コンマスのチェ・ムンスの合図でチューニングが始まります 弦の首席を見ると第2ヴァイオリンに見慣れない女性が座っています。出演者一覧で確かめると千葉清加とありました。他の女性奏者がロングスカートの衣装の中、パンタロンのようなパンツルックです 女性はこっちのスタイルの方がカッコいいと思うのですが、マイナーな考えでしょうか? そのすぐ近くには室内楽シリーズのプレトークを長年務められた篠原英和さんがデンと控えています

アルミンク最後の演奏会とあってか、管楽器陣を見渡すと、オーボエ:古部賢一、フルート:荒川洋、ホルン:井出詩朗、クラリネット:重松希巳江、ファゴット:河村幹子といった錚々たるメンバーがそろっています。チェ・コンマスの隣は西江辰郎王子です

この曲は2部構成で、第1部が第1楽章「力強く。決然と」、第2部が第2楽章以降で、第2楽章「メヌエットのテンポで。きわめて中庸に。急がず!」、第3楽章「コーモド。スケルツァンド。急がずに」、第4楽章はアルト独唱が入り「とてもゆっくりと。神秘的に。一貫してpppで」、第5楽章はアルトに児童合唱と女声合唱が加わり「テンポは快活に、表情ははずんで」、第6楽章は「ゆっくりと。落ち着いて。感情を込めて」となっています

マーラーは当初、この曲に標題を付けていました 全体のテーマとしては「夏の夜の夢」(他にもいくつかある)、そして第1楽章は「夏が進み来る(バッカスの行進)、第2楽章は「野の花が私に語ること」、第3楽章は「森の動物たちが私に語ること」、第4楽章は「人間が私に語ること」、第5楽章は「天使たちが私に語ること」、第6楽章は「愛が私に語ること」と付けました。しかし、後にすべて破棄されます

 

          

 

会場一杯の拍手に迎えられてアルミンクの登場です。この人は必ずタクトを持ちます。楽員とのコンタクトには必携の道具なのでしょう アルミンクのタクトが振り下ろされ第1楽章が開始されます。ホルンが、トランペットが、トロンボーンが厚みのある重厚な音楽を奏でます 管楽器はもちろん、弦楽器も打楽器もかなり力が入っています。アルミンクの集大成を飾るべく全力を挙げて演奏する姿が見えます

第1楽章が終わって、しばらくアルミンクは間を置きました。これは遅刻して入場するお客さんを受け入れる間でもありますが、それよりも、ここで第1部が終了し、これから第2部へ入る区切りでもあるからでしょう

第2楽章が管楽器の荘重なメロディーで始まります。これを聴くとその昔、ケン・ラッセル監督映画「マーラー」(1974年。イギリス)で観たあるシーンが思い浮かびます。記憶が正しければアルマ・マーラーが海岸で繭のような中で蠢いている場面です

この楽章が終了すると、アルト・ソロの藤村実穂子がパープル色のシックなドレスで登場、指揮者の斜め前方にスタンバイします そして、2階のパイプオルガン右下のバルコニーには少年少女合唱団28人がスタンバイします

第3楽章は、舞台裏のトランペットと舞台上の弦楽器や管楽器との会話がすばらしく、心に沁みます。これを聴くと、マーラーの音楽は楽器と楽器の会話で成り立っているのではないかと感じます

マーラーは1893年から、ザルツブルク郊外のアッタ―湖畔のシュタインバッハに構えた”作曲小屋”で交響曲を作曲、第3番は1895年から翌年にかけて作曲しました 大自然を前にしてマーラーは弟子で指揮者のブルーノ・ワルターに「見るべきものは何もない。僕がみんな曲に書いてしまったからね」と語ったと言われています。彼が書いてしまったのは、自然との会話だったのではないか、と私は思います

第4楽章に入ります。アルトのソロで「おお、人間よ、心せよ!・・・」で始まる独唱が始まります。バイロイト音楽祭でワーグナーのヒロインを9シーズン連続で歌った経験をもつ藤村実穂子の歌声はまったくムリがなく、自然に会場の隅々まで楽々と届きます 何と深い声なのでしょうか。彼女は感情を込めて歌い上げます

次いで、間を置かずに第5楽章に突入します。少年少女合唱団が鐘の音を模倣し、女声合唱が最後の晩餐でのイエスを、アルト独唱がペテロを歌います。この音楽は軽快です

そして第6楽章の”すべてが許された世界。すべてを達観した世界”とでもいうべき静かで穏やかな音楽が奏でられます 最初は弦楽器のみで、途中から管楽器が加わります。それは”浄化された世界”です

10年の長い年月の間には、アルミンクと新日本フィルの間には色々とあったことでしょう 2年前の3.11東日本大震災を受けて発生した福島原発事故の際には、当初予定されていたアルミンク+新日本フィルによる新国立劇場での「ばらの騎士」は急きょ中止になり、日程をずらして別の指揮者で代替公演が挙行されました アルミンクは放射能汚染を恐れて急きょ帰国したからです。当事者ではないので明確なことは分かりませんが、原発事故がある程度落ち着いた後アルミンクが再来日した際には、新日本フィルの団員との間にわだかまりがあったやに聞いています そうしたことを乗り越えてこの日を迎えた訳です。マーラーのこの第6楽章は、そうしたすべてを洗い流すような、すべてを許すような音楽として、この日のプログラムとして最良の選択だったと言えるでしょう

アルミンクのタクトが宙に上がり最終楽章のフィナーレが終わっても、誰一人、あわてて拍手をする者はいませんでした この時、背筋が寒くなるような感動を覚えました。彼のタクトが下ろされ、弦楽器の弓が下ろされて初めて、堰を切ったように拍手 とブラボーの嵐が舞台上のアルミンクと藤村実穂子、合唱、オケに押し寄せました アルミンクは、トロンボーン、トランペット、ホルン、クラリネット、オーボエ、バスーン・・・・と管楽器の首席を立たせ、女声合唱を、そして少年少女合唱を立たせて賞賛を送ります

藤村実穂子、そしてコンマスのチェをはじめ弦楽器の首席奏者一人一人とハグをして健闘を称えます。チェがアルミンクに花束 を贈呈した時は会場が興奮の坩堝と化し、ほとんど会場全員総立ちのスタンディング・オベーションでアルミンクを讃えました こんなに圧倒的なスタンディング・オベーションは見たことありません 私はこれまでスタンディング・オベーションをしたことが一度もないのですが、今回は会場の雰囲気に乗せられて立ち上がって拍手を送りました 前の人達が立っているので舞台が見えないのですよね

聴衆が半数近く会場から出た後、なおも拍手が続く中、チェ・ムンスがアルミンクを連れて再度舞台に登場しました。お互いに肩を組んで、ハグを繰り返して、これまでの友好関係を確かめ合いました。聴衆はさらにヒートアップ、一段と大きな拍手を送りました 

あらためてコンサートのチラシでアルミンクの10年間を振り返ると、「プレトーク」は自ら出演するすべての定期演奏会の開演前に、延べ119回実施 また、公演回数は定期演奏会が118回、名曲シリーズが49回、特別演奏会が70回、墨田区での公演5回の計242回だったということです。長い間お疲れ様でした

最後に、アルミンク指揮新日本フィルによるお薦めCDをご紹介しておきましょう。それはヴェルディの「レクイエム」です この演奏は2010年9月10日、11日の、すみだトりフォニーホールでのライブ録音ですが、私も11日の当日会場にいました。ノルマ・ファンティー二の素晴らしいソプラノが印象に残っています そう言えばこの時の合唱も栗友会合唱団でした

 

          

          

                 

アルミンクは夕べ、錦糸町のどこかでチェ・コンマスはじめオケの仲間たちと打ち上げで盛り上がったのではないかと想像します オケのレパートリーを拡大し、室内楽シリーズを提唱するなど、音楽監督として新日本フィルに新鮮な刺激を与え、全体のレベルアップを図ってくれたアルミンクには、あらたなステージに向けて頑張ってほしいと心から思います。アフヴィーダーゼーエン、アルミンク!

 

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伊坂幸太郎著「オー!ファーザー」を読む~手旗信号も出てくる

2013年08月03日 07時00分50秒 | 日記

3日(土)。昨夕、X部長に「きょうコンサートの予定ないよね?」と言われ、その通りなので「な、ないけど」と答えると「軽く      どう?」と誘われました。仕事絡みで夕方飲み会が入るのに備えて、1か月先までの私のスケジュール表をX部長に渡してあるので、ウソがつけないのです。仕方ないのでタイムキーパー としてK君を巻き添えにして地下のRで飲みました

「もういい時間だな」と思っているところへテナントFのIさんと若者の2人連れがお店にやってきたので、X部長が「これ幸い」と彼らを仲間に引き入れました ということでRを出たのは8時を過ぎてしまいました。残り4人はもう1軒の焼鳥Oに向かいましたが、私は8日間のコンサート疲れがたまっていたので、K君に「もう帰るから、よろしく」と耳打ちしてフェイドアウトしました 1升瓶を丸々1本空けたから、もういいでしょう

 

  閑話休題  

 

伊坂幸太郎著「オー!ファーザー」(新潮社文庫)を読み終わりました 伊坂幸太郎は1971年、千葉県生まれ。95年、東北大学法学部を卒業。2000年「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビューしました 多くの小説を世に出していますが、このブログでも最近では「SOSの猿」「あるキング」などを取り上げてきました 彼の小説は軽妙洒脱で、しかも本格的なミステリ小説と言っても差し支えないほどに読者を唸らせます

高校生の由紀夫には4人の父親がいます。ギャンブル好きの鷹、元ホストで女好きの葵、大学教授で博学の悟、中学講師でスポーツ万能の勲の4人です。なぜ父親が4にいるかというと、由紀夫の母親が四つ股を掛けて結婚したからです 

この小説では由紀夫の母親は出張中という設定になっていて最後になるまで登場しません。彼女の留守中に限って起こるキッカイな事件が綴られていきます 知事選挙が絡んだ複雑な事件に、いつの間にか巻き込まれ、危なくなるたびに同居している4人のうちどれかの父親に救われる由紀夫です

この小説は元々2006年に宮城県の「河北新報」に連載されていた新聞小説だったを単行本化して、さらに今回文庫化したものです。したがって、連載小説の”お約束”で何ページかごとに事件の山がきて読者を飽きさせないストーリー展開になっています

可笑しいのは由紀夫が小学校4年生ぐらいの時に、母親に「ケータイ電話を買ってくれ」と頼んだ時に、母親に断られ、4人の父親に相談するのですが、彼らが出した結論は「手旗信号とかで代用しろよ」という時代錯誤的な回答だったのです ところが、手旗信号を習得したおかげで、後に危機から脱出することが出来るというストーリーになっています

手旗信号と言っても何のことやらわからない人が多いかも知れませんが、小説の解説を引用すれば、

「もともと船乗りが使っていた通信方法で、日本の海軍が日本用に改良したもの。片かな手旗信号は、片かなの書き順をそのまま旗で表現するやり方が主で、例えば、『イ』であれば、まず『/』という斜めの線を旗で表し、その後で、『|』と縦の線を描く。二つを続ければ、カタカナの『イ』に見える、と言う訳だ」

というものです。実は私も手旗信号が出来ます というのは、小学5~6年生の時、地元のボーイスカウトに入っていて、遠くの仲間との通信手段として手旗信号を使っていたのです 手旗信号の唯一の欠点は、相手も手旗信号が出来ないと会話が成り立たないということです。やっぱりケータイには勝てませんね

 

          

 

 伊坂作品は何を読んでも裏切りません この小説は540ページを超える大作ですが、面白さに時間が経つのを忘れます。推薦しておきます

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金聖響+神奈川フィルでマーラー「交響曲第1番(花の楽章付き)」を聴く~ミューザ川崎

2013年08月02日 07時00分36秒 | 日記

2日(金)。昨日は夏休みを取って川崎にコンサートを聴きにいきました ミューザ川崎で開催されている「ミューザサマーフェスタ」の一環で、金聖響指揮神奈川フィルによりマーラーの「交響曲第1番”巨人”」(花の楽章付き)が演奏されました

7月28日の東響のコンサートと同様、午前11時半から最終リハーサル(ゲネプロ)があり、午後3時から本番を迎えます。当日のチケットを持っていればゲネプロは自由に聴けるという特典があります。いいですね、こういう制度は

          

          

 

会場は3分の1ほどの入りでしょうか。前回とまったく同じ2階席を確保しました オケの面々は普段着で、もちろん指揮者・金聖響も黒の半そでポロシャツ姿です 神奈川フィルを聴くのは7月21日に、みなとみらいホールでの佐村河内守の「交響曲第1番」を聴いて以来です

11時半ちょうどにリハーサルが始まりました。最初に金聖響が客席を向いて

「暑いですね。そんな中をお出でいただきありがとうございます 3.11の時にこのホールが壊れたときはビックリしましたが、3年ぶりですか(聖響さん、2年ぶりです!)再びこのホールで演奏できることをとても嬉しく思っています 今日の演奏曲は、ちょっと暑苦しい曲ですが(会場・笑)楽しんでいただけたらと思います。よろしくお願いします

とあいさつし、さっそくリハーサルに入りました。コンマスは皆が半袖で涼しそうにしている中、長袖を着て目立っているあのIです メガネの縁が白でこれも凄く目立ちます。それよりも驚いたのは、彼は何と坊主頭だったのです まさか不祥事を起こして罰として頭を刈られたのでは・・・・・それではコンマスでなくコンマリマスではないか、と心配になりました

第1楽章から最後の第4楽章まで通してリハーサルをやりました。第1楽章冒頭、木管楽器によりカッコウの鳴き声などが模写される中、舞台裏からトランペットのファンファーレが聴こえてきますが、金聖響は後ろを振り返って2階中央席にいるアシスタントらしき人に「どう、大きさは?」と訊きました すると私のすぐ後ろの席にいたアシスタントらしき人が「ちょっと大きいです」と答えました。すると、それを1階の舞台袖でスタンバイしていたスタッフが舞台裏のトランペット奏者に伝えました そして、冒頭部分だけを何回も繰り返し練習しました。しばらくして、また振り返り「どう?」と訊くと2階席から「前と後ろがずれています」との声が。すると指揮者は「前と後ろで時差があるので、出だしを気をつけて」と注意を促しました

先日、ユベール・スダーンが東京交響楽団を振ったゲネプロでは、こうしたアシスタント的な人はいませんでした なぜかと考えてみると、東響はミューザ川崎が本拠地なので、いつもここで練習していることから、スダーンは会場の響き具合を十分理解しているのでアシスタントに頼る必要がないのに対し、金聖響+神奈川フィルの場合は本拠地は別(みなとみらいホール、神奈川県民ホール)なので、ミューザの響き具合をあまりよく把握できていないからだと思います

第1楽章が終わり「花の章」に入ります。弦楽器のトレロモに乗ってトランペットが癒しのメロディーを奏でます。その後、フルートやオーボエに引き継がれますが、マーラーは何故こんなに美しい音楽をカットしてしまったのか不思議でなりません 第2楽章では冒頭部分でコントラバスに多分音程のことを注意をしていました

第3楽章の冒頭、コントラバスによるソロはクリア、第4楽章に入ると、再び後ろを振り返り、多分全体のバランスについてアシスタントの判断を訊いています。そして「どう?」と訊くと「ホルンの方がちょっと遅れているようです」と答えが返ってきました ほとんど近くの席で同じ演奏を聴いているのに私にはどの楽器が遅いのかサッパリわかりません

第4楽章のフィナーレを演奏し終わった金聖響が「Kさん、どうでしたか?」と訊くと2階席のそのアシスタントは「完璧です」と答えました。それを合図にゲネプロは終了しました。時間は12時43分。1時間13分かかったことになります

3時の本番まで時間がたっぷりあるので、近くの喫茶店で本を読みながらコーヒーを飲みました

午後3時。いよいよ開演です。自席は1階1C10列31番、センターブロック右通路側です。会場はほぼ7割の入りでしょうか オケは向かって左から第1ヴァイオリン、その後ろにコントラバス、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置を採ります。坊主頭のコンマスは薄紫のネクタイ&ポケットチーフを着用、相変わらず〇〇です。

第1楽章における自然と鳥たちとの会話はなかなか聴かせました 次いで演奏された「花の章」は、リハーサルの時も思ったとおり、実に美しい音楽で何故マーラーが第1交響曲からこの楽章を外したのか理解に苦しみます。それほど素晴らしい音楽です

第2楽章は力強い”前進あるのみ”的な勇壮な音楽です 第3楽章はティンパ二とコントラバスにより送葬行進曲がゆったりと演奏されます。そして、嵐のような激しい第4楽章に突入します この楽章こそ、金聖響+神奈川フィルの真骨頂です 金管・木管楽器はもちろん、弦楽器陣も力の限り強奏します。フィナーレ近く、ホルン8人、トランペットとトロンボーンの計10人が立ち上がって演奏します これはマーラーの指示によるものです

金聖響のマーラーはいいな、とあらためて思いました これをもって8日間連続コンサート通いは終了しました。一息ついて明日は新日本フィルのマーラー「交響曲第3番」を聴きに行きます。アルミンクの新日本フィル卒業演奏会です

 

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東京文化会館「響きの森”ダンス・ダンス・ダンス”」を聴く~広上淳一+東京都響

2013年08月01日 07時00分40秒 | 日記

8月1日(木)。油断していたら、今日から8月です カレンダーをめくりましたか?

昨夕、東京文化会館で第33回「響きの森」コンサートを聴きました 今回のテーマは「ダンス・ダンス・ダンス」。村上春樹の小説をもじったものでも、ビーチ・ボーイズの歌をもじったものでもなく、舞曲を集めたプログラムのようです

プログラムは①バルトーク「ルーマニア民族舞曲(管弦楽版)、②ラロ「ヴァイオリン協奏曲第2番”スペイン交響曲”」(ヴァイオリン独奏=竹澤恭子)、③ブラームス「ハンガリー舞曲」全21曲で、演奏は広上淳一指揮東京都交響楽団です

 

          

 

自席は1階15列25番、右の島の左通路側です。会場はほぼ8~9割方埋まっている感じです 東京文化会館はホールの響きとしては良いと思うのですが、座席が狭いのが欠点です 前の席との間、隣の席との間が狭いのです。その欠点さえなければ最高級のホールだと思います

小柄な広上淳一が、類人猿のような歩き方で肩を揺すらせてノッシノッシと登場します オケは向かって左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといった態勢を採ります。コンマスはソロ・コンマスの矢部達哉です。第2ヴァイオリンにエンカナ(遠藤香奈子)さんの姿が見えないのはちょっと寂しいです

1曲目のバルトーク「ルーマニア民族舞曲」(管弦楽版)は全6曲からなる10分程の短い曲です バルトークはコダーイとともにハンガリー各地の民謡を収集し研究を進めました。その結果、生まれたのが「ルーマニア民族舞曲」全6曲です 当時のハンガリー帝国はハンガリー、ルーマニアなどを含む大帝国だったのです。演奏を聴くと分かりますが、どの曲も民族色豊かな踊りのための曲です。後半に演奏されるブラームスの「ハンガリー舞曲」と相通ずるものがあります

2曲目のラロ「ヴァイオリン協奏曲第2番」は「スペイン交響曲」と名付けられています 1874年に作曲されサラサーテのヴァイオリンによってパリで初演されました

ワイン・レッドのドレスに身を包まれたソリストの竹澤恭子が指揮者とともに登場します 小柄ながらもダイナミックな広上の指揮で第1楽章が開始されます。すぐに竹澤の鋭い切れ味のヴァイオリンが入ってきます実に奔放な演奏です。ときに指揮者に戦いを挑むかのような姿勢を見せながら自身の感じるラロを表出していきます ストラディヴァリウスが会場一杯に響き渡り、爽快感の残る演奏でした

休憩時にロビーの一角で1㎏はあろうかというチラシの束と格闘していると、そばにいた2人の老紳士の会話が耳に入ってきました

「しばらくでした!」

「やあ、どうも。竹澤さんの演奏は自由奔放でしたね

「そうですね。あの曲はあまり考えすぎないで、彼女のように思うがままに弾く方がいいと思いますよ

「私もそう思います。ところで夏休みはどちらかへお出かけになるのですか?」

「はい、バイロイトへ行きます

「ああ、ワーグナーをお聴きになるんですね。いいですねえ

「そうです。それと河村尚子さんが結婚するので式に参列するのですよ」

「ああ、ピアニストの河村さんですね ドイツで式を挙げるのですか?」

「そうです。相手はあちらの方なので」

彼らの会話が本当だとすれば人気ピアニスト河村尚子さんは、この夏、ドイツ人と結婚されるということです安倍政権はこの極秘情報を把握しているんでしょうか アメリカだったら、きっと盗聴してます

休憩後、ブラームスの「ハンガリー舞曲集(全21曲)」が演奏されました 生で全曲を聴くのは生まれて初めてです。ブラームスは「ハンガリー舞曲集」に彼自身の作品番号を付けていません。それは、ブラームスがハンガリーのメロディーを編曲したに過ぎないと考えたからです そんな控えめな性格だから、一生クララ・シューマンにプロポーズが出来なかったのだと思います

アンコール・ピースでお馴染みの第1番、あまり演奏される機会のない第2番、オーボエのソロがユーモラスな第3番、哀愁に満ちたメロディーで始まる第4番、ハンガリー舞曲の代名詞のような第5番、指揮者が踊る第6番・・・・・と1曲1曲プログラムに印象をメモしていったのですが、途中で面倒になって止めました ハンガリー舞曲の中で演奏される機会が多いのは第1番~第8番位で、それ以降は滅多に演奏されません。広上は第10番まで演奏し終わったところで指揮台を降り、しばし休憩、第11番から演奏を再開しました

たまには全曲を聴くのもいいのですが、アンコール・ピースを一気に21曲聴くようなもので、若干飽きが来るのも事実です 広上は指揮台の上で踊ったり、蛸のように身体をくねらせたり、飛び上がったりして、聴衆を飽きさせないよう工夫をしていましたが、それにも限度があります

まあ、普段聴く機会のない番号のハンガリー舞曲を聴けたのは良かったと思います

 

          

 

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