2000万円当たりました!ご連絡くだいの詐欺

2022年02月03日 11時10分44秒 | 社会・文化・政治・経済

「お金をもらってください」メールは真っ赤なウソです

同様の事例を2020年12月に更新しました。ご参照ください。埼玉県
「当選しました」「お金をあげます」…詐欺メールに注意 (サイト内)

【相談事例】
携帯電話に「お金をもらってください」というメールが届いた。

「不倫相手の妻から手切れ金を500万円もらったが、持っているのが嫌なのであなたにもらってほしい」との内容。

お金を受け取るため誘導された出会い系サイトで、有料のポイント代を支払ってメールのやり取りをした。

口座番号を教えたり、会う約束をするため何回もメールを交わし高額なポイント代を支払った。しかし口座番号は伝わらず、待ち合わせしても来てくれない。いまだにお金はもらえず、サイトのポイント代で90万円も支払ってしまった。

お答えします

ここ数年、出会い系サイトで詐欺行為が横行しています。

携帯電話(スマートフォン)に「アドレス交換をしてくれたら3000万円あげる」、「相談相手になってくれたら1000万円譲ります」など、「お金をあげる」という内容でメールが届き、メールに記載されたURLをクリックすると出会い系サイトに誘導されます。出会い系サイトで有料のポイントを使い何度もやり取りをしますが、決してお金はもらえません。

「お金をもらってください」メールは、サイト業者のサクラが行っている可能性が高く、サイト業者はメール交換のたびに課金しており、消費者がメール交換をすればするほど収入が得られる仕組みになっています。このようなメールはお金をもらえるどころか、逆に出会い系サイトで高額なポイント代にお金を使わせるものなのです。いくらやり取りしても絶対にお金はもらえません。

消費者はクレジットカードで決済することができるため、気付かないうちに高額な利用料になってしまいます。また、ポイント代のほかさまざまな名目で費用を請求され続けて1000万円以上の高額被害になった事例もあります。

携帯電話やパソコンへの直接的なメール以外にも、SNSサイトのメッセージ欄、動画サイトでのコメント欄への書き込みなどから、出会い系サイトに誘導するケースも多く見られます。

消費者へのアドバイス

  1. 無料の懸賞サイトや占いサイトなどにメールアドレスを登録したことをきっかけに、メールが届くようになります。安易に無料サイトにアクセスしたり、個人情報を入力するのはやめましょう。
  2. 不審なメールが執拗に届いたら、迷惑メール防止手続やアドレスを変更しましょう
  3. 一旦、出会い系サイトでやり取りを始めると、支払ったポイント代を取り戻したい心理が働き、なかなかやめられなくなります。しかし、いくらやってもお金はもらえず、被害額がどんどん膨らみます。「話が違う」、「変だな」と思ったらすぐサイトの利用を中止してください。やめる勇気も大切です。
  4. だまされたと思った方は、メールの履歴や支払いに関する資料などの証拠を保全して消費生活センターに御相談ください。
  5. 詐欺だと思っても、支払ったお金を取り戻すのは非常に困難です。くれぐれも「お金をもらって」メールには関わらないようにしましょう。

困ったときや不安に思うことがありましたら、早めに最寄りの消費生活相談窓口にご相談ください。

「5億円もらえる」の連絡がきた!「当選」のSMSに電話をかけてみると…どんな詐欺が待っている?(上)

昨年12月末に「怪しいショートメッセージ(SMS)が届きました」との連絡を受けました。

その内容をみると「【ご当選確認お願い致します】新生活の味方に応援懸賞キャンペーン開催中♪」とあります。

ネットで、このSMSを調べてみると、多くの人のところに届いていることがわかりました。そこには「詐欺につながる」といった注意喚起はあります。しかし具体的にこの先にどのような危険が待ち受けているのか、それに関する記述は見受けられません。

さらに調べると、文面は若干違いますが、1年以上前から同じような「新生活の応援」を謳うSMSは届いているようです。

当選メッセージの行きつく先を、調べてみる必要がありそうです。

というのも、このところ「当選しました」のメール、メッセージを受けってからの高額な被害が出ているからです。

2021年10月、山口県に住む50代男性はスマホに届いた「3億円を送金する」のメールが届いたことをきっかけに、約400万円の電子マネーを騙しし取られています。

また、北海道に住む50代男性も「55億円を支援します」というメールをきっかけに、21年12月に被害に気づくまで、2年間にわたり、約350回も電子マネーを購入して1600万円の被害に遭っています。

 

なぜ、騙されるのだろうか?そう思われる方もいるかもしれません。

この辺りの事情を解明する必要がありそうです。

SMSの番号に、電話をかけてみると…

届いたSMS「【ご当選確認お願い致します】」の下には「今すぐプレゼント内容の当選確認」とあり、「090********」から始まる電話番号載っています。

<picture><source srcset="https://news-pctr.c.yimg.jp/uUzvQ3lML_bkIqyakc1vFlU_X8y5wrbazk3lTQIW7ugE7UZpkpsyq9e9biQhypSg3Ia33ecs6ynf_m0FYV9bBZD7l5A0DNhUk5lvFrCGXAgN_7Zk_jJjMjsb4OvHCau6afLyneAT5U8V1xsk1dCcT7MTJEiuRJm2NF6_CTHEcUs=" type="image/webp" /><source srcset="https://news-pctr.c.yimg.jp/uUzvQ3lML_bkIqyakc1vFlU_X8y5wrbazk3lTQIW7ugE7UZpkpsyq9e9biQhypSg3Ia33ecs6ynf_m0FYV9bBZD7l5A0DNhUk5lvFrCGXAgN_7Zk_jJjMjsb4OvHCau6I89YwLQv7Vu9oeLEtTwXpzB_EW4HofyRGuP86SNmEkU=" type="image/jpeg" /></picture>
多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
 
この番号に電話をかけるように促していますので、さっそくかけてみます。

女性の声で「確認が完了しました。ご登録ありがとうございました」という自動音声ガイダンスが流れます。

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「1億円あげますので受け取ってくださいDLIS・柳谷 智宣

2018年6月1日 06:00あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。

この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

 ある日、メールやSNSのメッセージで「1億円あげますので受け取ってください」という連絡が来る。金額は3000万円のこともあるし、100億円のこともある。ストーリーもさまざまだ。

 「社会にいいことをしたいという善意からの提案です」とか「余命がほとんどなく家族もいないので、遺産を受け取って欲しい」といった内容。手が込んでいるものだと、タックスヘイブンにプールしてある企業の利益に調査が伸びそうなので、一度○億を送り、その後、半分だけ指定の口座に入金してほしい、残りは手数料で受け取ってくれ、といったストーリーになっている。

 そして、以降のやり取りは、情報の漏えいを防ぐために、あるサイトで行いましょう、とURLが記載されている。開いてみると、有料のチャットサイト。ポイントを支払えば、メッセージの送受信をできる仕組みだ。

○億円をくれるという人にもいろいろなストーリーがあるようで……

 数億通もばらまくこの手のメッセージのうち、ごく一部の人は、とりあえず返信してみようと考える。たぶんあり得ないだろうが、話半分でももしかしたら、と思う。数百円の手数料を支払って半信半疑で返信するが、思いのほか真面目な長文の返信が来る。さらに返信すると、送金までの手順を説明される。数億もの現金をそのまま振り込むことができないという、本物の一般常識を使ったやり取りが始まる。その連絡をするためのポイントが数千円、数万円と課金されていく。もちろん、ユーザーも警戒はしている。もし、前金を要求されるようなことがあれば、詐欺なので撤退しようと、肝に銘じているのだ。

 話は佳境に入り、相手は1円も要求してこない。これはもしかしたら、と期待度が少し上がる。チャットサービスの利用料金もかなりかさんでくるが、入金される金額と比べればはした金だ。

 お分かりだろうか。このチャットサービスが詐欺の主体なのだ。もちろん、謎の大金持ちなど存在しない。しかし、ある程度課金して話が進んでしまうと、心理的にもう引き返せなくなってしまうのだ。とてもひどいネット詐欺だと言える。

 ほかにもパターンがあり、有料のチャットサービスに引っ掛からなそうなら数千円分のAmazonギフトカードで相互確認を取りたいなどと言って、小金を詐取することもある。逆に、王道と言えるが、来週1億振り込むから、銀行を安心させるために明日500万円の保証金を振り込んでくれ、とメッセージが来ることもある。

 こちらの対策は、「あり得ないことはあり得ない」と心を強く持つこと。そして、引っかかってしまったら、最初の段階で誰かに相談すること。もちろん、相手は「情報が漏えいしたらこの話は終わり」と予防線を張ってくるが、怪しいと思ったら信頼できる人に相談するようにしてほしい。

「被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー」の注目記事

DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援する団体で、現在、NPO法人の申請中です。今後は、媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行う予定となっています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

そこで「もしもし、もしもし」と筆者は話しかけますが、返答はありません。

ほどなくして、一方的に電話が切れてしまいました。

 

どうやら、こちらの電話番号を把握することが目的のようです。

さて、どのような連絡がくるのでしょうか。

 

机の上にスマホを置いて、じっと待っていましたが、1時間、2時間たっても「当選した」という電話連絡はありません。

 

何度もSMSを確認しましたが、何も届きません。こちらの電話番号を取得して、後に悪用する。それだけが目的だったのでしょうか。

 

翌日の大晦日、朝早く起きて受信ボックスを見ると、メッセージが届いています。

 

「***********様でお間違いありませんか?」

 

11桁の私の電話番号が載っています。

その差出人をみると「V**B**」なる人物からです。

要約すると「国民の皆様を救済することを目的として、内閣府特命担当大臣を筆頭に厚生労働省を交え、数年前から実施された国民救済制度」だそうで、「全国民の皆様を一同に救済することはできませんが、毎月、数名~十数名の方々を順々に政府機関の規定規約に則り選出し、生活福祉金をお振込させて頂いている」とのことです。

どうやら、その5億円の生活福祉金を受け取れる救済制度の対象に、筆者が選ばれたようです。

そこには、お金を受け取った人たちの喜びのメッセージもあります。

 

ある男性は「私の幸せを分けてあげたいと思って、お話します。生活福祉金は本当に受け取れます」といい、別な女性は「5億円の無料振込、吉沢さんが叶えてくれました。生活福祉金が振込されて毎日が全然違う日々に変わりました。本当にありがとうございます」と書き込んでいます。

このお金を受け取るためには、「【5億円振込実行】のボタンを押して下さい」とありますので、押してみます。

すると、応募フォームのような画面が出てきたので、「よろしくお願いします」との文章を記載して、「メールを送信する」のボタンを押しました。

まもなくして、吉沢なる人物から「下記より進んでご対応下さい」とのSMSが届きましたので、URLをタップします。

すると、5億円の受け取り方法が載っています。

「銀行法施行令の規定に基づき、無料振込を行う為に口座登録を行う事が必要ですので、一度のみ口座登録費用として【3,000】円をコチラからチャージして下さい」

 

 


映画 暗数殺人

2022年02月03日 11時10分44秒 | 社会・文化・政治・経済

2月3日、午前5時からCSテレビのムービープラスで観る。

韓国全土に衝撃を与えた実際の事件を基に、ミステリアスな殺人犯と未解決事件を追う刑事の息詰まる攻防を描く本作。

同じく実際に起きた連続殺人事件を基にしたナ・ホンジン監督の傑作『チェイサー』で一躍スターの仲間入りを果たして以降『10人の泥棒たち』『1987、ある闘いの真実』などの作品で高い評価を獲得してきた名優キム・ユンソクが、静かな情熱と執念で真実に迫る刑事ヒョンミン役を演じる。

一方、日本でも爆発的ヒットとなったTVドラマ「宮(クン)〜Love in Palace」で熱烈な人気を誇り、近年は『アシュラ』『神と共に』などの作品で幅広い役柄を演じて活躍の幅を広げるチュ・ジフンが、連続殺人を告白し刑事を翻弄する謎めいた男テオを演じ強烈な存在感を放っている

。二人の演技はもちろん、緻密な脚本と緊迫感漂う演出は観客・批評家双方から熱い支持を受けその年の賞レースを席巻、大きな話題を呼んだ。

解説

実際の連続殺人事件をモチーフに、7人を殺したと告白する殺人犯と、その言葉に翻弄される刑事の姿を描いた韓国製サスペンスミステリー。

恋人を殺害して逮捕されたカン・テオから「全部で7人殺した」という突然の告白を受けた刑事キム・ヒョンミン。

しかし、テオの証言以外に証拠はなく、警察内部でもテオの言うことを信じる者はいない。

それでも、テオの言葉が真実であると直感的に確信したヒョンミンは、上層部の反対を押し切り捜査を進めていく。やがて、テオの証言通りに白骨化した遺体が発見されるが、その途端、テオは「死体を運んだだけ」と証言を覆す。

チェイサー」「哀しき獣」のキム・ユンソクと、「アシュラ」「神と共に」のチュ・ジフンがダブル主演。脚本に「友へ チング」のクァク・キョンテクが参加している。

2019年製作/110分/G/韓国
原題:Dark Figure of Crime
配給:クロックワークス

キム・ユンソク

スタッフ・キャスト

1968年⽣まれ。舞台「欲望という名の電⾞」でデビュー。演劇を中⼼に活躍後、ナ・ホンジン監督『チェイサー』で主演を務め⻘⿓映画賞主演男優賞他多数の賞を受賞するなど、その演技が絶賛される。

以降『哀しき獣』(10)、『10⼈の泥棒たち』(12)、『海にかかる霧』(14)、『1987、ある闘いの真実』(17)など多くのヒット作に主演。韓国でも屈指の演技派俳優の⼀⼈として確固たる地位を確⽴している。

また『未成年』(19)では⻑編監督デビューを果たし、こちらも⻘⿓映画賞で新⼈監督賞にノミネートされるなど⾼い評価を獲得した。

チュ・ジフン

 カン・テオ役

1982年⽣まれ。京畿⼤学⼤衆媒体映像学部演技科卒業。モデルとしてデビュー後俳優へと転⾝。ドラマ「宮(クン) 〜Love in Palace」の⼤ヒットにより広く知られるようになる。

『キッチン 〜3⼈の レシピ〜』(09)のようなラブロマンスから壮絶なヴァイオレンスアクション『アシュラ』(16)まで幅広い演技を披露。『⼯作 ⿊⾦星と呼ばれた男』(18)で釜⽇映画賞、映画評論家協会賞の助演男優賞を受賞。本作でも⻩⾦撮影賞と春史映画祭で主演男優賞を受賞するなど、⼈気・実⼒共に韓国映画界を代表する俳優の⼀⼈となった。

 
 
 

韓国全土に衝撃を与えた実際の事件を基に、ミステリアスな殺人犯と未解決事件を追う刑事の息詰まる攻防を描く本作。

同じく実際に起きた連続殺人事件を基にしたナ・ホンジン監督の傑作『チェイサー』で一躍スターの仲間入りを果たして以降『10人の泥棒たち』『1987、ある闘いの真実』などの作品で高い評価を獲得してきた名優キム・ユンソクが、静かな情熱と執念で真実に迫る刑事ヒョンミン役を演じる一方、日本でも爆発的ヒットとなったTVドラマ「宮(クン)〜Love in Palace」で熱烈な人気を誇り、近年は『アシュラ』『神と共に』などの作品で幅広い役柄を演じて活躍の幅を広げるチュ・ジフンが、連続殺人を告白し刑事を翻弄する謎めいた男テオを演じ強烈な存在感を放っている。二人の演技はもちろん、緻密な脚本と緊迫感漂う演出は観客・批評家双方から熱い支持を受けその年の賞レースを席巻、大きな話題を呼んだ。

キム・ユンソク

キム・ヒョンミン役

1968年⽣まれ。舞台「欲望という名の電⾞」でデビュー。演劇を中⼼に活躍後、ナ・ホンジン監督『チェイサー』で主演を務め⻘⿓映画賞主演男優賞他多数の賞を受賞するなど、その演技が絶賛される。以降『哀しき獣』(10)、『10⼈の泥棒たち』(12)、『海にかかる霧』(14)、『1987、ある闘いの真実』(17)など多くのヒット作に主演。韓国でも屈指の演技派俳優の⼀⼈として確固たる地位を確⽴している。また『未成年』(19)では⻑編監督デビューを果たし、こちらも⻘⿓映画賞で新⼈監督賞にノミネートされるなど⾼い評価を獲得した。

チュ・ジフン

カン・テオ役

1982年⽣まれ。京畿⼤学⼤衆媒体映像学部演技科卒業。モデルとしてデビュー後俳優へと転⾝。ドラマ「宮(クン) 〜Love in Palace」の⼤ヒットにより広く知られるようになる。『キッチン 〜3⼈の レシピ〜』(09)のようなラブロマンスから壮絶なヴァイオレンスアクション『アシュラ』(16)まで幅広い演技を披露。『⼯作 ⿊⾦星と呼ばれた男』(18)で釜⽇映画賞、映画評論家協会賞の助演男優賞を受賞。本作でも⻩⾦撮影賞と春史映画祭で主演男優賞を受賞するなど、⼈気・実⼒共に韓国映画界を代表する俳優の⼀⼈となった。

チン・ソンギュ

チョ刑事役

  • キム・ユンソク

    キム・ヒョンミンキム・ユンソク

  • チュ・ジフン

    カン・テオチュ・ジフン

  • チン・ソンギュ

    チン・ソンギュ

    チョン・ジョンジュン

    チョン・ジョンジュン

    今回紹介する韓国映画『暗数殺人』は、刑務所で7件の追加殺人を自白する殺人犯と、自白を信じ事件を追う刑事の話を扱った犯罪実話劇です。
    主演はキム・ユンソク、チュ・ジフンの演技の実力間違いなしのこの2人だからこそ、ここまでの執念とサイコさが成立した言っても過言ではないです。また『暗数殺人』のストーリーは、実際の事件がモチーフとなっており、この主演の2人が演じる人物は、実在する(した)ということに驚かされました。(2012年に韓国・SBSで放送されたドキュメンタリー番組『それが知りたい』の中で取り上げられた実際の事件をモチーフに、映画として実際の事件と誤認しないように脚色されています)

    そして今回私は「暗数」という言葉があることを、この映画で初めて知りました。

    「暗数」とは:実際の数量と統計上扱われる数量との差。主に犯罪統計に置いて、警察などの公的機関が認知している犯罪の件数と実社会で起きている件数との差を指すーーー『デジタル大辞泉』小学館より

    暗数殺人は、実際に犯罪は発生したが捜査機関が認知できず、公式統計に捕えられていない隠された犯罪であり、消息がない被害者は捜索願も出ておらず、また時効をすぎていると捜査機関も動かなかったり、世の中からそんなことはなかったかのように認知されていなかった事件の自白を突然話始めたら…次々明らかになる証言に息が詰まります。

    恋人の殺害容疑で逮捕されたテオ(チュ・ジフン)から「俺が殺したのは全部で7人だ」と告白された刑事ヒョンミン(キム・ユンソク)。テオの証言の場所から、恋人殺害の証拠品を見つけたヒョンミンは、残りの事件も真実だと確信し捜査を進めるのだが、突然テオが証言を覆し…。チュ・ジフンとキム・ユンソクが、認知されていなかった連続殺人を告白し始めたテオ役と、刑事ヒョンミン役で演技バトルを繰り広げる。実在の連続殺人事件をベースに描かれ、数々の賞を受賞した話題作。

    「7人だ。俺が殺したのは全部で7人。」
    この映画は、テオの証言だけで進んでいきます。暗数ゆえ、警察も認知していないことであるので当たり前ではあるのですが、テオの証言以外に一切証拠は出てきません。

    なので、映画のほとんどはキム・ユンソク演じる刑事ヒョンミンとチュ・ジフン演じる容疑者のテオとの2人劇を見ているかのようです。2人の演技実力の高さがなければこの映画は成立さえしなかったかもしれないほど、2人の息詰まる攻防にひき込まれます。
    全く反省もなく、むしろ殺人することがどれだけ大変なのかを問うサイコパスな容疑者テオ。チュ・ジフンが大好きな私もちょっとビビってしまうくらいの狂気さです。ほんとチュ・ジフンのいやテオの豹変っぷりは見事です。
    そしてぜひ字幕で観ていただき、釜山訛りがさらにサイコ度合いを助長させているのを実感して欲しいです。

    実際の事件がモチーフゆえ映画にするキム監督の苦悩

    この映画はとても慎重に進められたとキム・テギュン監督は伝えます。なぜなら、実際の事件自体もまだ結末が結ばれていない実話を元にしているため、キム監督は、メディアとのインタビューで結末に対する悩みが多かったと言います。実話自体が現在進行形の状態だったため、裁判の結果もでたり、結末が異なるバージョンもたくさん考えたそうで、結末を作ってみようかとも考えたけど、結局淡白な結末で、協賛企業やメーカー、出演者俳優などみんなの同意を得れたことで実現できたと伝えます。
    映画を見終わった時に、結局何人殺したのだろうか…と、映画としての結末に消化不良を感じてしまう方もいるかもしれません。しかしそれは消化不良なのではなく、現在もまだ未解決な事件であるということと、世の中にはそのように暗数となってしまっているこの状況を映画自体が表しているのではないのかなとも思いました。

また韓国では公開後、実際の被害者遺族側が裁判所に損害賠償請求訴訟の上映禁止仮処分申請を提起し、配給会社側が被害遺族に直接あって謝罪した経緯もあり、この映画を面白い面白くないなどの単純な評価をしてはいけない重みがあります。キム監督が実際の主人公の刑事などに会って5年間のインタビューと取材を経て完成したドキュメンタリーに近い映画と言えるのではないでしょうか。

最後の作品が終わった後に出る2画面(スタッフリストの前)までしっかり見届けて欲しいと思います。
キム・ユンソク×チュ・ジフンの息詰まる攻防をぜひご覧ください!

タクシーを運転手だったA(仮名)は、カラオケの女性従業員を殺害し、遺体を遺棄した疑いで、2010年に懲役15年の刑を言い渡されています。

当時拘置所で服役中だったAは刑事に

「自分と関連の殺人事件が、11件あるから会いに来てほしい」と

手紙を送り、Aは自分に会いに来た刑事に、11件の殺人リストが入れられた供述書を2枚渡した。

捜査に着手した警察と検察は、Aに2003年に同居していたBを殺害した疑いと、2007年に

道端で殺害した男性、この2人を殺害した疑いを適用すると、追加起訴しました。

しかし、2016年、裁判所は、Bさんの殺害容疑でのみ、有罪を認めたAに無期懲役を宣告しています。

 

ちなみに映画のラストでも書かれていますが、Aは釜山刑務所独房で死亡したまま発見された。刑務所側はAが自殺したと判断しています。

 

他のシーンでも、別の実際に合った事件をモチーフに描いているシーンがあります。

道で揉めた相手をナイフで刺し殺し、遺体を燃やした事件も実話事件で、被害者は司法試験を準備していた受験生だった。

最後に、映画の中でカン・テオ逮捕の決定的な証拠となった殺人事件も、実際に起こった事件で、犯人が教えてくれた場所で、実際の遺体を発見して法廷で有罪が認められ、実体が明らかに明らかになった事件である。また、被害者が犯人の同居だった幼い息子を一人で育てたこと、犯人が日本刀を持って通ったという点もすべて実話です。

ちなみに、この映画は訴えられたことがあります。

実際の事件を映画に適応する際に、被害者に別の2次加害につながらないようにするため、その被害者又は遺族に事前の同意を求め協議をして、映画制作を進めることが慣例であり基本です。

しかし、製作会社は釜山で起こった受験生殺人事件では、遺族の同意もなしに無断で映画製作を進行しながら、最終的に被害者の妹が2018年9月21日、映画雌雄殺人の上映禁止を申請しています。


「助けられる命を助けて」 コロナ自宅療養者の遺族が初会合

2022年02月03日 11時05分12秒 | 新聞を読もう

毎日新聞 2021/12/9 17:10(最終更新 12/9 17:10) 

自宅放置死遺族会のオンライン形式での初会合に参加する共同代表の高田かおりさん=本人提供
 新型コロナウイルスに感染し、本来必要な医療や健康観察を受けられずに自宅で死亡した人の家族による「自宅放置死遺族会」は8日、オンライン形式で初会合を開いた。遺族がそれぞれの経過を報告し、懸念される「第6波」で感染者が適切な医療が受けられるよう、政府に求めていく対応について話し合った。

 参加した遺族は、那覇市で自宅療養中に死亡した男性(43)の姉の高田かおりさん(47)、さいたま市の父親(73)を亡くした西里優子さん(27)の共同代表の2人と、新たに会に加わった遺族の女性(70)。

 この遺族の女性は東京都杉並区で8月に療養中に亡くなった男性(45)の母親にあたる。男性は東京都内で両親と同居し、区内でライブバーを経営していた。

 


コロナ自宅療養での死亡者遺族会が発足 「同じ目に遭わせない」

2022年02月03日 11時05分12秒 | 新聞を読もう


深掘り 村田拓也 

毎日新聞 2021/11/5 14:00
新型コロナウイルスに感染し、自宅療養中に死亡した那覇市の男性=遺族提供

 新型コロナウイルスに感染し、本来必要な医療や健康観察を受けられないまま自宅で死亡した人の家族が遺族会を発足させた。身内が死に至った経過を知り、情報交換を図る。感染拡大期に関係機関の業務が急増し、感染者の対応が後手に回ったことも背景にあり、会の共同代表を務める高田かおりさん(46)は「多くの救えたはずの命が放置され、失われた。同じ目に遭う人を出してはいけない」と訴える。

 コロナに感染した患者について国は当初、「原則入院」を掲げた。しかし、感染者の急増により各地で入院調整が困難となった。家族に感染を広げないために自治体が用意したホテルなどに隔離する宿泊療養、続いて自宅で療養を余儀なくされる人が増えていった。

 高田さんは那覇市で自宅療養中に死亡した男性(43)の姉にあたる。男性は大阪府出身で、約10年前に沖縄県に移住。那覇市内に1人で暮らし、個人で居酒屋を営んでいた。

 県などによると男性は8月5日に陽性と診断され、6日に把握した那覇市保健所はその日のうちに男性に1度電話し、…

 


コロナ、自宅で「放置死」 終わらない遺族の葛藤

2022年02月03日 11時03分18秒 | 新聞を読もう

編集委員 深田武志

新型コロナ
2021年12月21日 5:00 日本経済新聞

新型コロナウイルス感染症で入院や宿泊療養ができずに自宅などで亡くなった人の遺族会「自宅放置死遺族会」が9月にでき、少しずつ活動が知られるようになった。コロナによる死は語る場がなく、その悲しみは癒やされにくいといわれる。会の共同代表、高田かおりさん(大阪府在住)の話を聞いて、その無念を世の中に分かってもらえない苦しみを抱えている遺族がいることを改めて知った。


第5波で相次いだ『自宅放置死』去年8月~9月に自宅で死亡したコロナ患者は132人

2022年02月03日 11時00分26秒 | 医科・歯科・介護

第5波で相次いだ『自宅放置死』去年8月~9月に自宅で死亡したコロナ患者は132人と判明...遺族の想い「助けられたんじゃないか」

2022年01月18日(火)放送 よんチャンTVテレビ

新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、去年8月~9月にかけての第5波のときは、入院やホテル療養が間に合わず自宅で死亡する事例いわゆる『自宅放置死』が全国で相次ぎました。亡くなった患者の遺族らは「本来は助かる命だったのでは」という無念の思いを今も抱いたままです。

保健所が訪問したときには亡くなっていた弟


大阪府内に住む高田かおりさん(47)。弟の善彦さん(当時43)は去年8月に沖縄県那覇市で新型コロナウイルスを発症して、その後、自宅で亡くなりました。
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(弟の善彦さんを亡くした高田かおりさん)
「なんでって。どんな亡くなり方でも悔しさしか残らないのはあると思うんですけれども、ただ助けられたんじゃないかなという悔しさ」
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亡くなった善彦さんは大阪から沖縄に移住して居酒屋を経営。穏やかな性格で多くの友人に慕われていたといいます。

 

善彦さんの死後、かおりさんが保健所などから聞き取ったメモによりますと、善彦さんがコロナを発症したとみられるのは7月27日。その9日後となる8月5日に陽性が確定して、保健所は6日と7日に電話をしましたが、電話はつながらなかったといいます。
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そして8日も同じく電話がつながらなかったことから、保健所が1人暮らしのアパートを訪問したところ、善彦さんはすでに亡くなっていました。

(高田かおりさん)
「8月6日の日付の総菜が腐っていましたと。誰かに『大丈夫ですか』『頑張ろうね』『助けますから』とか、そんな言葉すらかけてもらえずに、たった1人で生きようと思って買った惣菜すら食べられず」

当時、新型コロナウイルスは第5波の真っ只中。沖縄県では8月上旬、新規感染者数は最大で1日600人を超え、自宅療養や入院待機中の人は4000人近くに上りました。かおりさんは保健所から「手が回らず訪問ができなかった」と言われたといいます。
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(高田かおりさん)
「訪問しなかったのが2日以上、24時間以上どころじゃないので。別に保健所の人が行かなくても、何かあったん違うんと。せめて『大丈夫ですか』と誰かに声をかけてもらうことすらしてもらえなかった人生、なんも悪いことしていないのにってやっぱり思いますよね。なんにも悪いことしていないんですよ」

持病があり入院を希望したが「自宅療養」と判断され亡くなった父


同様の事例は埼玉県でもありました。さいたま市に住む西里優子さん(27)。
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第5波が襲った去年8月、父親の昌徳さん(当時73)を自宅で亡くしました。

(父親の昌徳さんを亡くした西里優子さん)
「お父さん本当にどこにもつながらなくて心配で、友達にいっぱい電話かけたりとか、『どうしよう入院できない』とか『僕の身に何かあったらお母さんと優子のことを頼むね』とか、相当不安だったと思うんですよね」
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昌徳さんの陽性が判明したのは8月8日。かつて大動脈かい離を患い、高血圧の持病もありましたが、保健所からは「息苦しさがないこと」などから自宅療養を続けるよう指示を受けたといいます。それでも入院を希望した昌徳さん。何度電話するもつながらず、陽性判明5日後の8月13日にやっと連絡がついたものの、保健所の自宅療養の判断は変わりませんでした。その日の夜に昌徳さんは亡くなりました。
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(西里優子さん)
「『それくらいなら大丈夫って言われちゃったから入院できなかったよ』と言われて。本人が助けを求めて声を上げていたのにそれすらも聞き逃されて。自分から入院したいって相当辛かったと思うんですけど、判断が間違っているんじゃないかなと思っちゃうんですよ、どうしても。どうしても納得はできないですよね」

父親の死後、西里さんは保健所から、入院できなかった理由について「目立った症状はありませんでした。病床も足りない中、やれることはやりました」と言われたといいます。

(西里優子さん)
「父の既往歴とかも知っている中で、なんで軽症って判断しちゃったんだろう。私たち本当に平等な医療を受けられるって信じて今まで生きてきたのに、大事なお父さんなのになんでこういう冷たい対応だったんだろう」

コロナ感染した親族を自宅で亡くした2人『自宅放置死遺族会』を結成


去年9月、その西里さんに出会ったのが、弟を亡くした高田さんでした。
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2人は遺族会を結成。名前は『自宅放置死遺族会』と名付けました。

(高田かおりさん)
「放置されちゃったんですよ。放置されなかったら亡くならなかったんです。きっと」
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厚生労働省は、去年8月~9月の2か月間で、新型コロナウイルスに感染後に自宅で死亡した患者数を56人と発表していました。高田さんや西里さんと同様に多くが適切な医療を受けられずに死亡したと見られています。

医師から行政対応に疑問の声も


去年12月上旬、遺族会は初めての会議をオンラインで開催。参加した医師からは行政の対応に疑問の声が上がりました。
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【オンライン会議でのやりとり】
(大阪府内でコロナ治療に従事する水野宅郎医師)「(大阪府の場合)65歳以上であれば必ずリスクなので高齢なら即動くとは思いますけどね」
(西里優子さん)「自治体によって対応が本当に違うんだなとわかりました」
(水野宅郎医師)「ちょっとひどいなと思いました」

自宅放置死遺族会は行政に対して自宅放置死の実態について検証をした上で対応を改善するよう求めたいとしています。

これまでの発表人数の2倍以上の「自宅放置死」が明らかに


その5日後、国会でも動きがありました。遺族会の活動を知った議員が「自宅待機中のコロナ患者の死亡を検証するべき」と総理に提言しました。

【去年12月13日の衆議院予算委員会】
(立憲民主党 長妻昭議員)
「入院すれば助かった方がですね、この日本で入院できない、それでお亡くなりになる。これぜひですね、検証していただきたいんですよ」
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(岸田文雄首相)
「深刻な事態であったと受け止めています。その実態把握について、政府として今現在どういう状況にあるのか、私も確認してみたいと思います。そういった声も大変重要な声であると考えます」
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総理の指示を受けて厚生労働省は再度調査を実施。すると第5波があった去年8月~9月の2か月間で、新型コロナウイルスに感染後、自宅で死亡した患者数は132人に上っていたことがわかりました。これまで発表していた56人の2倍以上となる自宅放置死の実態が明らかになったのです。

「守れるものは守れる社会であってほしい」


第6波では、自宅療養者は1月12日時点で全国で1万8708人と再び急増しています。弟の死が教訓として生かされないまま、また自宅放置死が相次いでしまうのではないか。高田さんは危機感を強めています。

(高田かおりさん)
「性格的に、自分が亡くなったことが悔しいと思うかなあの子、と考えたら、『悔しい』よりも今は『無駄にせんといて』と思うでしょうね、きっと。みなさん大事な1個しかない命やから、守れるものは守れる社会であってほしいと思います」

 

 

 


震災後の今だから知りたい「ガバナンス」の意味

2022年02月03日 10時43分08秒 | 新聞を読もう

誰が、何の目的で、何をどうすることがガバナンスなのか?

筆者なりにこの言葉の意味を説明すると、次のように表現できます。「企業経営の主体が、不祥事の防止や収益力の増大を主な目的として、意思の決定と経営の執行を指揮すること」となります。ざっくりと要約すれば「企業経営をコントロールすること」という意味になるでしょうか。

 コーポレートガバナンスという言葉が登場した背景には「従来は、経営者が企業をうまくコントロールできなかった」という反省が存在します。

 この言葉は1960年代の米国で誕生しました。ベトナム戦争向けの武器を製造する企業への批判、雇用において黒人を差別する企業への批判が高まり、「企業を倫理的にコントロール」する必要性が生じました。その後、決算を粉飾する企業も批判の対象となり「投資家の立場から企業をコントロール」する必要性も生じました。このような経緯で、不祥事の防止と収益力の拡大という2つの目的を達成する手段として「コーポレートガバナンス」が必要になりました。

 では「企業経営をコントロールする」には、どうすればよいのでしょうか。例えば米国型の企業経営においては、経営に関する意思決定を「取締役会」が行います。この取締役会は「株主の代表」という性格を持ちます。そして取締役会の意思決定に基づいて、最高経営責任者(CEO)を代表とする役員グループが業務執行に責任を持ちます。つまり米国の一般的企業は「株主が取締役会を通じて意思決定をコントロールし、決定した方針に基づいて役員が経営を執行する」という仕組みになっています。

 これに対して、かつての日本では、実質的に銀行(メインバンク)が企業をコントロールしていました。グループ企業による株の持ち合いが進んでいたため、株主によるチェック機能が効いていなかったのです。この問題がバブル崩壊によって顕在化(銀行が企業に対して行った過剰な融資が不良債権となった)。コーポレートガバナンスの重要性が認識されるに至ります。

 「コントロールの主体が誰なのか?」という問題は、よく議論になります。「企業は誰のものか?」という議論です。古典的には「会社は経営者のもの」でした。しかしながら米国型企業経営では「会社は株主のもの」となります。さらに近年発達した「企業の社会的責任」(CSR)という考え方に基づけば「企業は、株主・消費者・経営者・従業員・取引先・地域社会などの幅広い利害関係者(ステークホルダー)の共有物」ととらえることができます。もちろんこの問いに対しては、現在でも様々な見解が存在します。

誰が、何のために、何をどうやって?
 ではコーポレートガバナンスの意味を、もう一度復習してみましょう。以後の説明を分かりやすくするため、「誰が(who)」「何のために(why)」「何を、どうやって(what, how)」という要素に分けて説明してみます。

 まずコーポレートガバナンスでは「誰が」ガバナンスを行うのでしょうか。その答は「企業経営の主体」となります。この主体は、米国型企業であれば「株主」、CSRに基づく考え方では「多様な利害関係者」となります。

 次にコーポレートガバナンスは「何のために」ガバナンスを行うのでしょうか。その答えは、歴史的経緯から「不祥事の防止と収益力の増大のため」とされることが多いようです。

 ではコーポレートガバナンスでは「何を、どうやって」ガバナンスを実現するのでしょうか。その答は「意思の決定と経営の執行について、コントロールすること」だと言えます。

 

まとめると、ガバナンスの中心的意味は「何らかの主体がその組織の意思決定や行動をコントロールする」こととなります。一方、ガバナンスの隠れたニュアンス(特に複合語で登場するガバナンスのニュアンス)は「より良い行動を促すため、多様な主体が関わること」だと言えます。これこそが「統治」や「支配」という訳語が取りこぼしているニュアンスの正体です。

 ここで冒頭に示した共同通信の論説を思い出してみましょう。「従って今回の(原発)事故は、こうした技術システムの『ステークホルダー(利害関係者) 』たる住民のことを意識し、そこに思いが至らないと、決して解決できるものではない。そして、技術システムが結び付いている現在社会のガバナンスそのものを考え直す契機をもたらすだろう」。

 筆者はこの主張について、次のように解釈しています。

 「政府や東京電力のみならず住民も主体となって(誰が)、安全なエネルギー利用環境を構築するために(=何のために)、原子力発電やそれを利用する社会のあるべき姿を考え直す(=何を、どうやって)契機なのではないか」と。

 今、日本社会に求められている行動は、狭義の「独善的なガバナンス」ではなく、ここで説明したような「多様な主体が関与するガバナンス」なのではないか。筆者が共同通信の論説を読んで抱いた感想です。

 (この記事は日経ビジネスオンラインに、2011年4月14日に掲載したものを再編集して転載したものです。記事中の肩書きやデータは記事公開日当時のものです。)

この記事はシリーズ「もう一度読みたい」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

もり・ひろし新語ウォッチャー

1968年生まれ。電気通信大学卒。CSK総合研究所(現CRI・ミドルウェア)を経て、新語・流行語専門のフリーライターに。辞書・雑誌・ウェブサイトなどでの執筆活動を行う。代表的連載に日経ビジネスオンライン(日経BP社)の「社会を映し出すコトバたち」、現代用語の基礎知識(自由国民社)の「流行観測」欄など。


医療崩壊 真犯人は誰だ

2022年02月03日 10時20分58秒 | 医科・歯科・介護
 
鈴木 亘  (著)
 
「世界に冠たる日本の医療」などと、医療提供体制の充実ぶりを誇っていた我が国が、なぜ、世界的には「さざ波」程度の感染者数増加で、このように簡単に医療崩壊を起こしたのか、その謎に迫る。
7人の容疑者(原因の仮説)を挙げて、一つ一つ謎解き仕立てで話を進める。
現在、国民の間では、なぜ、こんなに簡単に医療崩壊が起きたのか。
一部の医療機関が頑張る中で、まったく何もしていない医療機関があるのはなぜなのか、医師会や専門家会議はなぜ、緊急事態宣言で経済をストップすることばかり提言するのかなど、医療提供体制への不信感が渦巻いている。
まずはそれらへの疑問に答えるのが本書の目的である。
また、今後もしばらくウィズコロナの時代が続くので、パンデミック時の医療崩壊を防ぐためにどんな手立てがあるのか、アフターコロナ時代の平常時の医療をどのように改革すべきかという点も議論、政策提言を行う。
 

著者について

鈴木 亘
一九七〇年、兵庫県に生まれる。専門は医療経済学、社会保障論、福祉経済学。医療経済学会理事・事務局長。上智大学経済学部卒業後、日本銀行入行。大阪大学大学院にて経済学博士号取得。
日本経済研究センターなどを経て、現在、学習院大学経済学部教授。政府の行政改革推進会議委員を務めているほか、これまでも国家戦略特区ワーキンググループ委員、規制改革会議専門委員などを務めた。
著書に『健康政策の経済分析:レセプトデータによる評価と提言』(共著、東京大学出版会、日経経済図書文化賞)、『生活保護の経済分析』(共著、東京大学出版会、日経・経済図書文化賞)、『経済学者 日本の最貧困地域に挑む』(東洋経済新報社)、『財政危機と社会保障』『社会保障亡国論』(共に講談社現代新書)などがある。
 
 
 
今般のコロナ禍第5波までに、入院の必要があるにもかかわらず入院出来ない患者が大勢おり、なかには待機中に亡くなってしまう人もいるという状況を「医療崩壊の危機」と位置付け、そのような状況となってしまった原因を探るというのが本書の内容である。

その原因を「容疑者」とし、各章で容疑者の取り調べを行っていく。
容疑者は7名。
順に、①少ない医療スタッフ・②多過ぎる民間病院・③小規模の病院・④フル稼働できない大病院・⑤病院間の不連携・非協力体制・⑥「地域医療構想」の呪縛・⑦政府のガバナンス不足である。
主犯級の容疑者とされるのは③と⑤。そして、主犯級中の主犯とされるのが⑦である。

いずれの容疑者も突き詰めれば国の医療政策によって生み出されたものである。つまり、正すべきは国の医療政策ということになるだろう
容疑者調べを終えた上で最後に配置される第9章は「医療体制改革の好機を逃すな」というもので、今回のコロナ禍の中でも適切な対応がなされた一部の事例なども取り上げ、今後の医療体制改革の方向性が示されている。これを機会に、国の医療政策の過ちが正されることを願いたいところだが、本書を読むと、それも結構難しそうだというのが率直な感想。
 
 
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Reviewed in Japan on November 20, 2021
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今般のコロナ禍第5波までに、入院の必要があるにもかかわらず入院出来ない患者が大勢おり、なかには待機中に亡くなってしまう人もいるという状況を「医療崩壊の危機」と位置付け、そのような状況となってしまった原因を探るというのが本書の内容である。

その原因を「容疑者」とし、各章で容疑者の取り調べを行っていく。
容疑者は7名。順に、①少ない医療スタッフ・②多過ぎる民間病院・③小規模の病院・④フル稼働できない大病院・⑤病院間の不連携・非協力体制・⑥「地域医療構想」の呪縛・⑦政府のガバナンス不足である。
主犯級の容疑者とされるのは③と⑤。そして、主犯級中の主犯とされるのが⑦である。

いずれの容疑者も突き詰めれば国の医療政策によって生み出されたものである。つまり、正すべきは国の医療政策ということになるだろう。容疑者調べを終えた上で最後に配置される第9章は「医療体制改革の好機を逃すな」というもので、今回のコロナ禍の中でも適切な対応がなされた一部の事例なども取り上げ、今後の医療体制改革の方向性が示されている。これを機会に、国の医療政策の過ちが正されることを願いたいところだが、本書を読むと、それも結構難しそうだというのが率直な感想。
 
 
新型コロナの第4波では大阪で、第5波では東京などの複数地域で医療崩壊が起きた。
しかし、感染者数は欧米各国と比べると極めて少なく、むしろ問題は「この程度の感染者数でなぜ医療崩壊してしまったのか」にあるといえる。
本書は、その理由を探る本である。全体として200ページないので、新書の中でもかなり薄い部類に属する。

本書は、原因の候補を挙げて「誰が真犯人か」を突き止めるという形式で書かれている。
しかしそれに引きずられるからか、本書中の議論は結論に近づくとかなり強引だったりよく分からない議論になったりする。

例えばまず「医師不足」を取り上げ、病床数は世界トップレベルだが、医師数は少ないこと(OECD内比較)、開業医が多く即戦力とはならないと述べる。
ところが、すぐ次に「勤務医20万人でも十分な人数である」と特にデータなどの論拠なく述べ、続けて開業医も速やかに後方支援に回れるので力になれる、と述べる。しかしその後で開業医比率を抑えるには診療報酬に比率を調整する必要があるが医師会に反対されること、医師を増やすには医学部を増やす必要があるがこれも医師会が反対していることに触れている。
結局医師数は足りていたのか、開業医比率は現状でよいと考えているのか、筆者はどう考えているのかさえよく分からない。

また「真犯人」というワードにこだわりすぎ、誰を犯人認定するかは相当に恣意的になっている。
例えば民間病院が多すぎる点については、民間病院が多すぎること自体というより、諸外国と違って協力要請どまりになっている点が問題だと述べ、なので民間病院の多さは真犯人ではないとしている。しかし、強制力を伴う制度に対して医師会や政府権力強化を嫌う世論が反対して、強制力を伴う措置が実質的に実現しえないのであれば、民間病院の多さは問題の一つと呼ぶべきものであろう。
筆者は結局、主犯級の真犯人としては政府のガバナンス不足を挙げている。しかしこれは、医師不足や民間病院の多さなどとはそもそもレイヤーが違う話であろう。
「政府が適切に動けばよかった」自体は事実として、その「適切に動く」の中身がまさに、医師を増やすとか民間病院との連携をきちんとするとかの先に挙げている「犯人候補」が来るのだから、「政府が悪い」で終わってしまっては「どのような体制にすれば医療崩壊を防げるか」の議論としては具体性がない。

国立大学病院のコロナ病床の少なさ、世界で稀に見るフリーアクセス(どの病院にもかかれる)、なんちゃって急性期病床による医療費圧迫など、興味深い記述はあるものの、全体としてはまとまりがない感じである。
日本の医療体制の状況を見るのならば、新型コロナ前に書かれた本だが、 
医師の不足と過剰: 医療格差を医師の数から考える や 医療・介護問題を読み解く などを見た方がいいのではないかと思った。
 
 

国民皆保険(もしくは税依拠による医療費無料化) x 民間病院の比率の高さ
という組み合わせの先進国は、実は日本とスイスのみだ。

さらに民間病院の規模感(超巨大病院の少なさ)を要素に加えると、
日本は唯一の先進国となる。

病床規模の小さい民間病院が多い一方で、それを国の制度的費用負担によってコントロールしていく、という、経営主体と費用負担とのアンマッチは、
平常時にはバランスを保ちうるかもしれないが、非常時への弾力的対応が厳しくなるであろうことは、少なからぬ人々の目から見て、明快だろう。

・・・筆者はおそらく、この事実を知ってか(はたまたなぜか知らずか)、迂遠的な問いかけで”真犯人”を見つけにいっているものの、それはおそらくは”真犯人”ではない。

なぜ日本が国費リードで医療体制が構築されてきたか、しかしながらなぜ運営主体が民間が主なのか(かつ超巨大病院が認められて/育ってこなかったのか)、このバランスに迫らない限り、新型コロナウイルスがもたらしうる”医療崩壊”的事象を、鮮やかに分析することは難しいだろう。

繰り返しになるが、平常時のバランスが保たれているならば、今の形は、決して悪いものではない。
ただ、こうした突発的な事象への対処が、必ずしも容易ではない、ということだ。
また今後、病院経営に”資本蓄積”が必要になってくるとすれば(ex.ITやサイバーセキュリティ上の対策など、保険点数で必ずしもカバーされない事象に対する対応)、今のバランスは、見直していかざるをえないのかもしれない。

国際比較的視点、歴史経緯的視点、それらを含めた巨視的視点を(あえて)避けたが故に、非常に物足りなく感じられる、残念な一冊。
 
 
 
 
 

「いじめを受けていました」旭川市中2死亡"いじめ"問題…本人がSNS投稿 状況や心情つづる【全文】

2022年02月03日 10時10分09秒 | 事件・事故

2/1(火) 17:45配信

北海道ニュースUHB

北海道旭川市で2021年3月、女子中学生が遺体で見つかり、背景にいじめがあった疑いがあるとして第三者委員会の調査が続いている問題で、女子中学生が自らツイッターに「いじめを受けていた」ことを投稿していたことがわかりました。

旭川市女子中学生"いじめ問題"…【写真】で見る広瀬爽彩さんの記録

 この問題は2021年3月、旭川市内の公園で当時中学2年生だった広瀬爽彩さん(当時14)が凍死しているのが見つかったもので、旭川市教育委員会は同年4月に「いじめの重大事態」と認定。同年5月以降、第三者委員会を設置し調査を進めています。

 広瀬さん本人が残した詳細な状況や心情が綴られた記録が明らかになるのは初めてです。

 関係者によりますと、このツイッターへの書き込みは2020年5月21日に匿名のアカウントを使って投稿していたもので、計14回確認されています。

広瀬爽彩さんが飛び込んだ川(北海道旭川市)

 中学校に入学し、テストの成績がよかったことから始まり、「先輩」と関わる中で自分が変化していく様子。コンビニエンスストアで飲食代を負担させられることや、わいせつな行為を画像で送るよう強要され、断ったものの要求され「途中から羞恥心なんてありませんでした」と感じるようになったこと。

 ある日「今までのことをばらす」と言われ、「何かの糸が切れてブチ切れてしまった」ものの、何もできなかったこと。

 川に入り自殺未遂をした際「死にたくもないのに死ぬとか言うんじゃねぇよ」と言われたこと。

 転校後、居場所がなくなり「ネットに籠る(こもる)」ようになり、多くの人に相談し何も実行できず、「私以外何も悪くない」と感じるようになった心情などがつづられています。

 以下、広瀬さんの公開された書き込みの全文です。(一部中略、修正、投稿ごとにまとめています)

広瀬爽彩さんが投稿したツイッターより

私は前の学校でいじめを受けていました。酷いものなのかも私には分かりません。辛いかももう分かりません。でも私の中に深く残っていることは確かです。その時の話をしたいと思います。まず私はその時。中学生になりたての中一でした。勉強は学校始めたてのテストで学年5位でした。私の唯一の誇り。

色々な人と少しずつ関わっていくと共にとある先輩たちとも関わることがありました。その先輩たちと仲良くしようと私は頑張りました。でもどこからか変わっていくのに私は気が付きませんでした。いつの間にかコンビニに行くときは私が全部払う。
私は買ったお菓子をあまり食べない。みんなに分ける。

いつの間にか先輩たちに頼まれてわいせつ行為まで見せることになってました。私は最初断りました。でも先輩のお願いだからと頑張って見せました。そしたらまた言われました。写真や動画も要求されることもありました。途中から羞恥心なんてありませんでした。何が何だかわかりませんでした。

途中から先輩たちといることがとても増えました。先輩たちと遊んでいると塾にも行けませんでした。なぜかと言うともっと遊ぼうと言われてしまって、断ることが出来なかったからです。断り方が上手くわかりませんでした。私は何もかもわからなかったのかもしれません。でもそれさえも分かりません。

先輩たちといていちばん大変だったのは、塾に行けた時です。先輩たちに奢る(おごる)お金は塾に行った際のご飯と飲み物代などだったので、飲み物も、ご飯もほとんど自分用は買えませんでした。(中略)
それも私は先輩たちといるためにとにこにこしながら払っていたと思うと

とても自分で自分が恐ろしいです。ある日私が先輩たちと遊んでいた時、とある先輩が今までのことをばらすと言ってきました。それで私は何かの糸が切れて、その先輩にブチ切れてしまいました。でもその先輩は男の人だったので何もできませんでした。(中略)

(中略)その時(中略)先輩(中略)が、「死にたくもないのに死ぬとか言うんじゃねぇよ。」と言いました。その時私はもう死にたくて死にたくて仕方がなかったのに。言われてしまいました。

その時川の近い公園だったために私は川に入りました。その時に学校に電話して迷惑かけてごめんなさいと言いました。すぐに学校の先生が駆けつけて引きずりあげられて、(中略)入院してました。(中略)

(中略)
その時に引っ越しをして頑張って新しい学校に慣れようとしました。でも無理でした。

前みたく上手く話せなくなってました。同世代がとても怖かった。私はいつの間にか不登校になっていました。それから頑張って色々なことを笑って話そうとしてました。でも上手く笑えませんでした。居場所のない私はよくネットに籠るようになりました。本当に何もしなくなり、何も出来なくなりました。

勉強も今は遅れが酷くて何も分かりません。分かろうとも思えません。頑張らなきゃという気持ちだけが空回りしてる感じでとても気持ちが悪いです。いじめを受けたのは3ヶ月程なのに、もういじめを受けてから1年たちそうなのに私は何もできません。何もかもが怖くて怖くてたまりません。

何も分からない。分からないことが怖い。何も知らない。知らないことが怖い。何も察せない。察せないことが本当に嫌だ。どうしたらいいのかももう分かりません

広瀬爽彩さんが投稿したツイッターより

色々な人に色々なことを聞いて来ました。でも私には何も実行できなかった。それは全て私のせいです。私が悪くて私以外何も悪くない。先輩たちがいじめをしてきたのもきっと私が悪いように思えます。私は何も出来ていなかったのだから、当たり前なのではないかと思ってしまいます。

そんな私でも良いという人が1人でもいるなら私はネットにいようと思います。
でもそんな物好きいるのかも知りませんがw

広瀬爽彩さん(提供:遺族)

 これを受け母親は、以下のようにコメントしています。
 
【広瀬爽彩さんの母親のコメント】

爽彩は、周囲の友だちや知り合いに、学校に行けなくなったことを相談していました。まわりからは、学校に行きなよ、と励ましてもらっていたようです。

でも、爽彩はどうしても学校に行くことができませんでした。友だちやまわりの皆さんに、なぜ学校に行けないのか理解して欲しいという願いを込めて、自分のツイッターに、いじめを受けたときの辛い気持ちを書き込んだのだと思います。 

どんないじめを受け、どれほど深く傷つき、悩み苦しんでいたのか。このツイッターには、そのときの思いが残されたままです。

多くの皆さんに、爽彩の気持ちに寄り添って頂けたらと思います。

第三者委員会で調査を進める旭川市教育委員会

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