おいてけぼり~9060家族~ 35年間ひきこもり続ける女性、「いざとなれば殺す」父の苦悩 求められる第三者

2022年02月28日 18時14分42秒 | 医科・歯科・介護

2/28(月) 16:03配信 中京テレビNEWS

おいてけぼり~9060家族~

2019年、家族が高齢化し80代の親が子を支える「ひきこもり家族の高齢化問題」、いわゆる「8050問題」がクローズアップされました。「ひきこもり」は家からまったく出ない人のことだけではありません。内閣府などによりますと、ひきこもりの定義には、たとえ家から出ても、家族以外との交流がほとんどない状態やコンビニや趣味以外に外出しない状態が半年以上続くことも含まれます。中高年(40~64歳)のひきこもり当事者数は約61万人。若年層(15~39歳)の約54万人を上回ります。

「自分はおいてけぼり…」自宅に引きこもって35年が経ったある日、女性はつぶやきました。

抜け出したくても抜け出せない、ひきこもる中高年の苦しみの告白でした。
本記事では、あるひきこもり女性とその家族を通じ、ひきこもりの“家族”だからこそ伝えられる「8050問題」の現実を伝えます。

■人も社会も怖くなった…18歳の時、ひきこもりに
91歳の父と暮らす52歳の娘・敬子さん

2019年。愛知県の市営団地で91歳の父と暮らす52歳の娘・敬子さん。
“敬い 敬われる子に育つように”と願って名付けられた4人兄弟の末っ子です。
敬子さんは昔から人と話すのが苦手で、感情を表に出せません。専門学校を1年ほどで退学し、工場でのパート勤務も話さないことで簡単なことしかできず、2年で辞めさせられました。当時18歳。人も社会も怖くなりました。「明日からは…」とずっと思ってきましたが、ひきこもり続けています。

敬子さん「みんなは結婚したり、働いたり、子どもがいたりしていると思ったら、自分だけ何も変わっていない。自分だけ“おいてけぼり”というか、変わってないというか、いつまでも一緒というか」

■家族を“1人で”支える91歳の父「なんでこんな世の中に」
1日のほとんどスマホが手放せない敬子さん

敬子さんの話し相手は父だけ。
父は大手メーカーを定年退職後、余生をゆっくり過ごすはずでした。しかし、2005年、77歳のときに認知症の妻に先立たれ、それからというもの、父はずっと1人で家事をこなしています。普通は子どもが親の面倒を見る年齢…。しかし、父はいつしかそんな希望すら抱かなくなっていました。

家族の食事をコンビニに買いに行くのも父。帰宅しても、敬子さんからは御礼のひとつもありません。敬子さんはスマホに夢中…。しかし父は怒りません。

父「半分あきらめた。今でも働いてもらいたいとは思いますよ。自分のことは自分で決める。それが強すぎたんですかね」

一方の敬子さんは、「働きなさいと周囲から言われたら言われたで嫌なんだけど、何も言われなくなったらなったでちょっとさみしい…」と話します。


生活は月18万円の父の年金だけが頼りです。生活保護など行政からの経済的支援は受けていません。家賃2万4000円の市営住宅。節約のために洗濯は4日に1回、入浴も2日に1回。敬子さんの将来のため、毎月1万6000円ほどを娘の年金にあてています。

生活を切り詰めるのにはもう1つの理由がありました。父は、63歳の長男の面倒も見ています。長男もけがにより55歳で仕事を辞めた後、ひきこもるようになっていました。さらに、長男は勝手に父の年金に手を付け、ギャンブルやタバコなどに費やしていました。月に5万円。父には切り崩す貯金すらもうありません。

父「一生こんな生活だったような気もしますね。ともかく毎日毎日生きていくだけですね。何にも望みません。1日ゆっくりできればそれだけでいいです。お金のことを考えないでゆっくりできれば、それだけでいいです。なんでこんな世の中になったんかな」

■社会問題にもなった『8050問題』 「いざとなれば殺す」死と向き合った父
自殺を図った当時の思いがつづられた父の日記

まだ子どもの面倒を見ている――
2016年、現実に嫌気がさした父は近くの山に足を運びました。

「ひとりで死のう」

自殺を考えていました。
父の日記には当時の思いがつづられています。

「刃を腹に当てる。迷う」
「一週間、死のみを考えても死ねなかった」
「生きることは難しい。どんなに恥をかいても生きていくのか」

1週間後、山で焚火をしているところを発見されました。
死にきれなかったといいます。

黙っていても、「死」と向き合わざるを得ない年齢。そんな年齢になっても自ら死を選ぶほかない境地でした。誰かに相談できなかったのでしょうか。

父「嫌なことはなるべく言わないほうがいいだろうなぁと思っていますね。自分の意志でなくこの状況になったのなら助けてくれと周りに言うかもしれないが、これは自分で勝手になったことだから。世の中に許してもらいたい。しょうがない子どもを作っちゃったということを」


家族が高齢化し80代の親が50代のひきこもりの子を支える「8050問題」。2019年には、キャリア官僚だった父が、ひきこもりがちだった息子を殺害するなど、社会問題になりました。

父「自分が子どもの面倒を見るのが限界になれば、いざとなれば殺す以外ないと思いますね。自分の子どもだからこそ」

■親への支援こそが重要 周りに甘える勇気も必要
NPO法人ふらっとコミュニティ(山口・宇部市)

精神看護の専門家で、8050問題の解決に取り組む山根俊恵さんは、「子どもだけでなく、親への支援こそが最も重要」だといいます。山根さんは理事長として12年前に「NPO法人ふらっとコミュニティ」を山口県宇部市に設立し、子どもだけでなくひきこもりで悩む親も含めてひきこもりの当事者たちと向き合っています。

ひきこもりの子どもに対して将来の話をすると、逆鱗に触れる可能性があるため、子どもに相談しづらい親が多く、立ち止まることが多いそうです。しかし、そのような悩みは、一人で解決できるものではありません。周りに助けを求めたり、甘えることが解決の第一歩だと訴えます。

ひきこもりの家族と向き合う山根俊恵さん(左奥)

山根さん「ひきこもる本人に外に出るよう働きかけるのは家族であっても難しく、親の些細な一言が子どもを刺激するかもしれません。そうなると、流れを変えるためには親が意識を変える方が早い。待てば良いとか、子ども自身がそのうち動くだろうってのは絶対にない」

■“家族”だからこそ伝えられる『8050問題』の現実
時折家族を見に来るもう一人の兄・俊光さん

ある日、敬子さんのもとに、離れた場所で暮らしているもう一人の兄・俊光さん(57)がやってきました。心を閉ざしてひきこもる長男や敬子さん、そしてなにより父のことが心配で、月に1回ほど実家を訪れます。

俊光さん自身こんな家族から目を背けたいと思っていました。実は俊光さんも10年前、過労が原因で心を病み、仕事を辞めたことがあります。社会で生きづらいと感じた過去があるからこそ、周囲の関わり方がいかに重要か身をもって感じていました。そんな俊光さんは引きこもる兄や妹、そして彼らを支える父を見ていて、「父や兄妹が変わるのを待っていたら家族は崩壊する」――そう感じたと言います。そして、自分たちの家族だけでなく、他にも同じ悩みで苦しむ人がいるのではないか。そう感じ、心を閉ざす人の“居場所”を作ろうと「NPO法人名古屋サーティーン」を立ち上げました。

この団体でのルールはお互いに干渉しすぎないこと。悩みを探り合わないこと。スポーツなどを通じて人と接することに徐々に慣れていけるよう取り組みます。

また、定期的に開く当事者同士の勉強会では、すべてをさらけ出します。

俊光さん「私の家族は、一切外部の支援を受け入れてくれなかったです。私がどんなに『保健所は味方だから、相談にのってくれるから』と言っても、敬子さんは『来るな、来たら殺す』、そんな感じだったんです。父親からも『そっとしておいてくれ』と手紙が届いて。民生委員さんも心配だから実家を見に行ってくれたのですが、『ご家族の方は?』と父親に聞くと『仕事いってます』とうそをつくんですよね。本当にうちの実家はいつ事件が起きてもおかしくないような現状でした」

“家族”以外の人が関わる大切さ。
そして、“家族”だからこそ伝えられる『8050問題』の現実――

■誰しもが当事者 求められる第三者の支援
社会情勢が大きく変わっていく昨今、ふとしたことがきっかけで、誰しもが孤立状態に陥る可能性があります。

社会との接点を一度喪失すると元に戻すのは困難です。

ひきこもりに対しては、個人と社会をつなぐ第三者の介入が必要不可欠です。

敬子さんの父は、ひきこもる子どものことを、誰にも相談できず、「死」を選びかけました。

悲惨な結末を避けるために、ひきこもりの当事者だけではなく、その親が助けを求められる場所が求められています。

「おいてけぼり~9060家族~」
この記事は、中京テレビとYahoo!ニュースの共同連携企画です。あるひきこもり女性とその家族を通じ、ひきこもりの“家族”だからこそ伝えられる「8050問題」の現実を追いました。

【関連記事】


こども家庭庁、23年度創設 政府、縦割り解消へ基本方針―保育所・こども園を移管

2022年02月28日 12時38分07秒 | 新聞を読もう

2021年12月21日09時26分 時事通信

政府は21日の閣議で、子どもに関する諸施策の司令塔となる「こども家庭庁」の創設に向けた基本方針を決定した。各府省庁が担当する機能を同庁に集約。縦割り行政の弊害解消を図り、年齢による支援の切れ目を生じさせない対応を目指す。2023年度の創設に向け、来年の通常国会に設置法案を提出する。
新組織「こども家庭庁」に いじめ対応も分担

 現在、子ども行政は厚生労働省や文部科学省、少子化対策は内閣府、児童に対する性犯罪対策は警察庁がそれぞれ担当。例えば就学前の受け入れ先として、保育所は厚労省、幼稚園は文科省、認定こども園は内閣府が所管している。こうした複数の行政組織にまたがる縦割りの弊害や、各法律で対象年齢が区切られていることで支援が途切れがちになることが問題視されていた。

基本方針によると、こども家庭庁は首相直属の機関と位置付け、内閣府の外局として設置。各省への勧告権を持つ担当相も置き、企画立案・総合調整、成育、支援の3部門を設ける。子ども政策に関する新たな大綱も策定する。
 保育所と認定こども園はこども家庭庁に移す。幼稚園の所管は文科省に残すが、「幼稚園教育要領」にも関与する。幼稚園と共通の教育を受けられるよう「保育所保育指針」は同省と共同で策定する。いじめ問題については、同省と情報共有するなど連携して対応する。

 


侵略と侵攻と進出の明確な違いって何でしょうか?

2022年02月28日 12時05分08秒 | 社会・文化・政治・経済

戦争史をひも解くと、侵略と侵攻と進出(統治)がすごく曖昧な気がします、どのような明確な違いがあるのですかね。

もしかして同じようなことをしてても明確に敗戦国になったら侵略にされて、明確な勝敗が付かなければ侵攻で、明確に戦勝国になれば進出(統治)にされたりするでしょうか?

そんなあいまいなものなのですかね、それとも侵略・侵攻・進出(統治)の明確な違いはすでに定義されているのでしょうか。

明確な違いはありません。ニュアンスの問題です。教科書次第で同じ場面でも侵略としてあるものと侵攻としてあるものがあります。

侵略:国際法上のアグレッションに相当する日本語。アグレッションは「相手の”主権や独立”を軍事的手段で奪い取る」ことです。100%相手への攻撃なので、一方的に侵略側が悪であるというマイナスイメージが強くなります。

となると侵攻と侵略は場合によっては同じ意味になるシーンがあります。例えばアレクサンドロスによるペルシャ遠征は侵攻とも侵略ともいえますね。

一方で一部の記述ですが日本の朝鮮植民地化は朝鮮に国家レベルで攻撃を加えていないので侵攻ではないですが、政治を乗っ取ったので侵略とか征服とは言えます。そのほか当然ですが進出とも書けます。

日本が朝鮮に進出といえばイメージはよく、朝鮮侵略と書けばイメージは悪いです。このようにそれぞれニュアンスによって使い分けということもあるのです。

侵攻:単純に軍事的手段で攻撃すること。例えば自国に侵略してきた敵国
陣地を撃破するのも敵陣侵攻になります。なので自衛戦争だろうがなんだろうが軍事的手段で攻撃していくので中立的あるいはプラスイメージがあります。

進出:新天地に出ること。新店が関東進出というように、軍事的要素一切なしでもありえることで、相手国とか政治体制を乗っ取るとかでなく、無人地帯を開拓したりそういうのも含む広い概念です。例えばアポロ計画によって人類の月進出を果たしましたと使います。人類は月を侵略したとか侵攻したとは普通言いませんね。月には国家も相手もないからです。


「侵攻」と「侵略」の違い
「侵攻」とは、他国や他の領地に侵入して軍事的な手段をもって攻め込むことで、侵略してきた敵国の陣地に攻め込むことも含まれます。

「侵略」とは、他国や他の領地に攻め込んで土地や財物などを奪い取ることで、軍事的な手段をとって行う「直接侵略」と、外国や組織などの指導や干渉などにより被侵略国内の内乱を引き起こす「間接侵略」があります。

「侵攻」は、他国や他の領地に侵入して軍事的な手段をもって攻め込むことなのに対し、「侵略」は、奪い取ることを目的としている攻撃という違いがあります。

 

 


「プーチンは制御不能」 元英外相が指摘する「帝国」の意思と弱点

2022年02月28日 11時57分52秒 | 新聞を読もう

服部正法  毎日新聞 2022/2/26 16:29(最終更新 2/26 19:30)

国民向けの演説で、ウクライナ東部の独立承認を表明するロシアのプーチン大統領=モスクワで2022年2月21日、スプートニク通信AP

 近代の英露関係史を詳述した著書を昨年発表したばかりのデービッド・オーウェン元英外相が、ロシアによるウクライナ本格侵攻直後の24日、毎日新聞の電話インタビューに応じた。オーウェン氏は侵攻の背後にあるプーチン露大統領の世界観や、北大西洋条約機構(NATO)を巡る外交、地政学上の機微について語った。【聞き手・ロンドン服部正法】

 プーチンはもはや通常のロシアの指導者ではなくなっプーチンはもはや通常のロシアの指導者ではなくなった。完全に制御不能で、政治勢力であれ軍であれ、誰も彼(プーチン氏)を抑えることはできない。世界にとって大変危険だ。NATO部隊がウクライナでロシアと戦うのは論外としても、まずウクライナを、そしてロシアに近く潜在的に攻撃を受けやすいNATO加盟国を全力で支援しなければならない。

 彼は「ロシア帝国」「ソビエト帝国」の地理的な再建と、ウクライナがロシアの影響圏から西側へと引きずり出されるのを止めることを自身の義務としている