脳の衰え
脳が老化していくと、最終的には認知症に至ります。
たとえばアルツハイマー型認知症は、脳の老化で起こる代表的な病気です。
アルツハイマーがた認知症では、発病する15〜20年前から少しずつ脳に老廃物が溜まってきているということがわかっています。
早い人では30代くらいから溜まり始める場合もあります。
この老廃物がある一定以上溜まってくると、神経細胞が傷ついて死滅し、脳が萎縮していきます。
脳の老化に関わる要因としては肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が大きいです。
生活習慣病になると血管が徐々に硬くなる動脈硬化を起こします。
その結果、脳に十分な血液を送れなくなったり、脳の血管が破れたりといったことが起こりやすくなります。
筋トレによって脳が変わる〜最新のメカニズムが明らかに
筋トレの科学
筋力と筋肉の大きさには高い関係性があり(Fukunaga T, 2001)、筋肉が大きいほど筋力は強いと予測することができます。これは身体の大きい人は強いと感じることからも本能的に理解していることだと思います。
筋力 = 筋肉の大きさ
これはレジスタンストレーニング(筋トレ)を始めて4ヶ月までの筋力と筋肉の大きさの推移です。
トレーニング開始から8週以降は、筋力と筋肉の大きさに高い関係性があるのがわかります。
しかし、トレーニング開始から8週までには筋力と筋肉の大きさに関係性は見られません。
では、この期間の筋力は何によって増強するのでしょうか?
現代の脳科学はこう答えています(Carroll TJ, 2002)。
「脳や脊髄などの神経が適応した結果である」
現在では、筋力は筋肉の大きさと神経の適応によって構成されると考えられているのです。
筋力 = 筋肉の大きさ + 神経適応
そして2017年9月、オーストラリア・モナッシュ大学のKidgellらは、トレーニングによる神経適応のメカニズムを明らかにしたシステマティックレビューを報告しました。今回は、このレビューをご紹介しながら、筋トレが脳を変えるメカニズムについて考えてみましょう。
✻システマティックレビューは質の高い研究データを集め分析した、もっともエビデンスレベルの高い報告。