ストーリー
アレン(トム・ハンクス)は、兄のフレディー(ジョン・キャンディ)とともにニューヨークの青果物市場を経営している。
女の子遊びにかけては大胆な兄に比べてアレンは女の子が苦手。
酔ったある夜、500キロ離れたコッド岬へと向かっていた。
この岬は、20年前、彼が溺れそうになった場所にもかかわらず、妙になつかしく、心惹かれる場所なのであった。
船をチャーターして沖へ出てみたが、途中でエンジンの調子が悪くなり操縦していた男が救助を求めに行っている間に彼は誤って海に落ちてしまった。
20年前に海に落ちて以来、彼は泳げなくなっていたのだ。気を失ったアレンが気を取り戻した時には砂浜に助けられていた。
そばにブロンドの美しい女性がおり、彼女が救ってくれたらしかった。
アレンに愛らしい笑みをなげかけるが、やがて名前も告げずに生まれたままの姿で彼の目の前から海へと消えていった。それ以来、アレンは、彼女を忘れられなくなっていた。
彼女は、実は人魚だった。大きなヒレも、乾くと人間と同じような足になるので、濡らさない限り人間に見えるのだ。そして、彼女の方も一目でアレンに惹かれていた。
アレンが海に落とした財布から住所をつきとめ、早速ニューヨークヘ会いにゆく彼女。海を渡ってニューヨークヘ着いた彼女は、すぐに警察に保護されてしまう。彼女が裸のままで歩いていたからだ。しかし、アレンの財布をもっていたことで、2人は再会。感激するアレン。彼女を部屋に残して、ウキウキと仕事場へ向かった。その間に、彼女はタクシーに乗って出かけ、初めて見るにぎやかな街におどろいていた。テレビを見て英語と人間の暮らしぶりを学び、アレンとも会話ができるようになる彼女。
アレンは彼女をマディソン(ダリル・ハンナ)と名づけた。どんな女性と会っても胸ときめかなかったアレンは、マディソンこそ、自分が待っていた女性だと確信した。しかし、マディソンが陸にいられる期間は限られていた。
「あと6日で、故国に帰なくてはいけない」と悲しそうにアレンに語るマディンン。一方、かねてから、マディンンの奇行に目をつけていた海洋学者コーンブルース(ユージン・レヴィ)は、彼女が人魚である証拠をつかもうと、そのチャンスを狙っていた。
水をかけてヒレになったところを目撃しようと…。アレンとの幸せな愛の時を過ごした彼女は、このまま人間として生活し、彼のプロポーズを受ける決意をした。
しかし、コーンブルースの追跡は執拗だった。2人があるパーティーに出席した時、公衆の面前で、コーンブルースに水をかけられ、人魚であることがわかってしまうマディソン。
アレンのショックは激しかった。裏切られたような気持ちだった。しかし、もはやマディソンのいない生活など考えられなくなっていたアレンは、フレディーの協力を得て、マディソンが隔離されている海洋博物館の研究所に潜入し彼女を水槽から救い出した。その成功に協力したのはあのコーンブルースだ。
手柄を立てたにもかかわらず上司の冷たい仕打ちにあった彼は、水槽の中で意気消沈している人魚を見て同情したのだ。こうして海洋博物館からマディンンをさらって逃げるアレンに追跡の手がのびる。
が、危機一髪のところで海に飛び込み、マディソンの泳ぎに助けられて海の彼方へと消えてゆくのだった。
受賞歴 第57回 アカデミー賞(1985年)