アーサー・ビナード (著), スズキコージ (イラスト)
「どうも、はじめまして。ぼくの名前は「ドーム」。
あいにきてくれて、ありがとう」──1915年にできた「広島物産陳列館」は、100年以上も広島を、世界を見てきた。
ドームとは何なのか、何を語りかけているのか。
原爆ドームの声を聴け! アーサー・ビナードによるドームの語りと、スズキコージの絵が、未来へ記憶をつなぐ。
アメリカ人の僕が感じる<ヒロシマの心>
「平和」という言葉はきれいな包装紙のようなものです。
その中身はいったい何なのか。
何をもって平和とするか。
これを共有することが大切です。
そして、決して「平和」という言葉を独り歩きさせないことが、今改めて重要だと実感しています。
今の日本には、、きれいに整備された街並みが広がっていますが、足元には原爆をはじめ、空襲や爆弾で亡くなった大勢の先人たちがいたことを、決して忘れたくはありません。
彼らがどんな世界を求めていたか、そして、どう惑わされたのか。
それを想像して、会えない人の「声」に耳をすませながら、「平和」を考えることが大事なのではないでしょうか。
アーサー・ビナード(Arthur Binard、1967年7月2日 - )はアメリカ合衆国ミシガン州生まれの詩人・俳人、随筆家、翻訳家。広島市に在住。
20歳でヨーロッパへ渡り、ミラノでイタリア語を習得し、ニューヨーク州コルゲート大学英米文学部を卒業した。
卒業論文作成時に漢字や日本語に興味を持ち、1990年6月に単身渡日。
日本語学校で教材として使用されている小熊秀雄の童話『焼かれた魚』を渡日後に英訳したことをきっかけに、日本語で詩作、翻訳を始める。
現在は活動の幅をエッセイ、絵本、ラジオパーソナリティなどに広げ、自身の主義に基づく講演なども日本国内各地で行う。9条の会会員で、リベラリストである。妻は詩人の木坂涼である。
受賞
原爆ドーム、わかりやすいけど衝撃的の名前。
アメリカの人が書いた絵本だから意味があるのかな…
世界遺産であって決して観光地ではないはず
皆さんに読んでもらいたい本です
原爆ドームをスズキコージさんがキャラクター化し、原作は
爆弾投下した側のアメリカ人というなんとも破壊的組合せですが、
内容はいたって真面目です。元々の名称は広島県物産陳列館で、
設計者はチェコの若き建築家とは初めて知りました。
しかしながら本編よりも、後書きの「原爆のおかげで戦争が早く終わった」
なんてよく聞く詭弁が、アメリカでは中学や高校の授業で教えられている
という事実が気になりました。やっぱり歴史は自国にとって都合の
良いように正当化されていくんですね。
ぼくの名前は「ドーム」。あいにきてくれて、ありがとう…。
102年前に「広島物産陳列館」として誕生し、
72年前に被爆して「原爆ドーム」に変わって今に至る。
そのドーム自身の視点で過去、現在、未来を見つめ、語る構成。
自分の中に、いまも隠れているかもしれない
核分裂の「見えないカケラ」が、生きているモノたちの命を削り取っているのでは…という危惧も。
著者による長文のあとがき
「ドームの前で世界を見つめると」にも、思いがこもっている。
広島の原爆ドームが擬人化されて、
戦争の悲しさを訴える、
スズキコージさんの意欲作です。
まだ、幼い子にも響くものがあると思います。
他の本と一緒に、小さい頃から平和の話を
しながら、子供達に戦争は怖いものだと
親子で考えていくのは大切だと思います。
そして、平和って何?と考えるのも良いかもです。