徳富蘇峰 (著)
戦前最大のオピニオン・リーダー徳富蘇峰。
激動の世界情勢のなかで皇国日本の世界的意義と、日本人のための「日本学」の勧めを説いた本書は、戦後、GHQによって発禁処分となった。
戦前戦中の日本における国際情勢判断、言論状況、世論の流れなどを理解する一級資料でもある。
戦後長く続いた戦勝国史観が揺らぎ、新たな世界秩序が生まれようとしているいま、読むべき一冊!
著者について
明治・大正・昭和にかけて活躍した言論人、歴史家。1863年、熊本県生まれ。
本名は徳富猪一郎。熊本洋学校に学び、14歳で同志社英学校に入学、新島襄の教えを受ける。
1887年、民友社を設立、『国民之友』を発行。
1890年には国民新聞社を設立、『國民新聞』を創刊。同紙において日清戦争では「日本膨張論」を唱え、日露戦争では桂太郎内閣の「艦隊増強論」を支持。国論に大きな影響を与えた。
以後、明治から昭和にかけて日本のオピニオンリーダーとして活躍。1911年に貴族院勅選議員に任じられる一方で、日本の正しい歴史を残すための『近世日本国民史』を執筆、1923年には同作品により学士院恩賜賞を受ける。
1916年に発表した『大正の青年と帝国の前途』は約100万部もの発行部数のベストセラーとなった。
1943年、文化勲章受章。終戦後はGHQよりA級戦犯容疑をかけられたが、後に不起訴。公職追放処分を受け、貴族院議員などの公職を辞任、熱海で蟄居の身となった。1952年(昭和27年)に100巻にもおよぶ『近世日本国民史』が完成。1957年逝去。享年94歳。
我々は、戦後のGHQに統制された閉ざされた知識で教育を受けたので、やや違和感があるが、戦前文化勲章を受勲した当時の文化人を代表する筆者は、戦前のいわゆる良識派との代表として日本帝国が当時にあっての日本としてのIdentity を余すところなく語っている。
今日的にはこうした考え方が的を得ているとは言わないが、戦前の日本人が持つていた時代思潮を理解するには最適な書と思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます