初公判で起訴内容を一部否認
2016年9月27日 夕刊
初動捜査に問題があったのでは?
家で人と思われていた。
寺内樺風被告
埼玉県朝霞市の少女=当時(13)=が誘拐され、今年三月に二年ぶりに保護された事件で、未成年者誘拐と監禁致傷、窃盗の罪に問われた東京都中野区東中野、大学生寺内樺風(かぶ)被告(24)の初公判が二十七日、さいたま地裁であった。寺内被告は誘拐と窃盗の罪は認めたが、監禁致傷罪について「最初の数週間は認めるが、二年間にわたって監禁していた認識はない」と一部を否認した。
検察側は冒頭陳述で、「被告は中高生を誘拐・監禁して変化を観察したいと考え、下校中の少女を見つけて尾行した」と指摘。少女を洗脳するために「私は捨てられた」と繰り返し復唱させたり、部屋の入り口にかんぬき錠を取り付けて逃げられないようにしたりしたと述べた。
弁護側は、「洗脳やかんぬき錠は途中でやめ、その後は逃亡阻止の措置を取らずにアルバイトなどに出掛けていた」と主張。さらに「被告は当時、統合失調症だった可能性が高い」などとして、刑事責任能力を調べる精神鑑定の実施を請求。地裁は同日、鑑定実施を決めた。
起訴状によると、寺内被告は二〇一四年三月十日、朝霞市内の少女の家の近くで、少女に「両親が離婚することになった」などとうそを言って車に乗せ、当時住んでいた千葉市稲毛区のアパートに連れ去った。そのまま今年三月まで千葉市や中野区の自宅アパートで監禁し、重度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせたとされる。
少女は三月二十七日に寺内被告が外出したすきに中野区のアパートを脱出。公衆電話から自宅の両親や警察に電話し、保護された。
寺内被告は逃走先の静岡県で警察に確保され、三十一日に逮捕された。
◆訴因変更で法定刑重く 監禁致傷、上限15年
埼玉県朝霞市の誘拐事件では、少女が監禁され心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負ったとして、さいたま地検は八月、寺内樺風被告の起訴罪名を監禁罪から監禁致傷罪に訴因変更した。法定刑の上限が懲役七年から同十五年と重くなり、有罪になれば、それに応じた量刑が科される見通しだ。
地検は当初、寺内被告を未成年者誘拐と監禁の罪で起訴。その後、車のナンバープレートを盗んだとする窃盗罪で追起訴した上で、監禁罪の訴因変更をした。背景を捜査関係者は「少女は思春期の大切な二年間を奪われた。それに見合った量刑になるよう捜査を尽くした」と強調する。
誘拐と監禁は一罪とみなされる。窃盗罪が併合罪として適用されれば、検察側が求刑できる上限は、懲役十五年の一・五倍に当たる同二十二年六月になる。審理に関し、甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「被告が少女をどのように心理的、物理的に支配したのかが焦点」と指摘。訴因変更については「量刑を考える上で大きな影響があるだろう」とみる。
2016年9月27日 夕刊
初動捜査に問題があったのでは?
家で人と思われていた。
寺内樺風被告
埼玉県朝霞市の少女=当時(13)=が誘拐され、今年三月に二年ぶりに保護された事件で、未成年者誘拐と監禁致傷、窃盗の罪に問われた東京都中野区東中野、大学生寺内樺風(かぶ)被告(24)の初公判が二十七日、さいたま地裁であった。寺内被告は誘拐と窃盗の罪は認めたが、監禁致傷罪について「最初の数週間は認めるが、二年間にわたって監禁していた認識はない」と一部を否認した。
検察側は冒頭陳述で、「被告は中高生を誘拐・監禁して変化を観察したいと考え、下校中の少女を見つけて尾行した」と指摘。少女を洗脳するために「私は捨てられた」と繰り返し復唱させたり、部屋の入り口にかんぬき錠を取り付けて逃げられないようにしたりしたと述べた。
弁護側は、「洗脳やかんぬき錠は途中でやめ、その後は逃亡阻止の措置を取らずにアルバイトなどに出掛けていた」と主張。さらに「被告は当時、統合失調症だった可能性が高い」などとして、刑事責任能力を調べる精神鑑定の実施を請求。地裁は同日、鑑定実施を決めた。
起訴状によると、寺内被告は二〇一四年三月十日、朝霞市内の少女の家の近くで、少女に「両親が離婚することになった」などとうそを言って車に乗せ、当時住んでいた千葉市稲毛区のアパートに連れ去った。そのまま今年三月まで千葉市や中野区の自宅アパートで監禁し、重度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせたとされる。
少女は三月二十七日に寺内被告が外出したすきに中野区のアパートを脱出。公衆電話から自宅の両親や警察に電話し、保護された。
寺内被告は逃走先の静岡県で警察に確保され、三十一日に逮捕された。
◆訴因変更で法定刑重く 監禁致傷、上限15年
埼玉県朝霞市の誘拐事件では、少女が監禁され心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負ったとして、さいたま地検は八月、寺内樺風被告の起訴罪名を監禁罪から監禁致傷罪に訴因変更した。法定刑の上限が懲役七年から同十五年と重くなり、有罪になれば、それに応じた量刑が科される見通しだ。
地検は当初、寺内被告を未成年者誘拐と監禁の罪で起訴。その後、車のナンバープレートを盗んだとする窃盗罪で追起訴した上で、監禁罪の訴因変更をした。背景を捜査関係者は「少女は思春期の大切な二年間を奪われた。それに見合った量刑になるよう捜査を尽くした」と強調する。
誘拐と監禁は一罪とみなされる。窃盗罪が併合罪として適用されれば、検察側が求刑できる上限は、懲役十五年の一・五倍に当たる同二十二年六月になる。審理に関し、甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「被告が少女をどのように心理的、物理的に支配したのかが焦点」と指摘。訴因変更については「量刑を考える上で大きな影響があるだろう」とみる。