冬物の衣服を整理し夏用の薄めのジャケットを取り出して「ヤバ~っ!」と思った。
ふだんからちゃんと手入れをしておけば何でもないものの、ジャケットの表面にシミが数カ所。
うん、このままじゃあ着ていけない。
早速ベンジンを買いに走った。
かつて祖母がベンジンを使ってシミ抜きをしていたことを思い出したからだ。
染み抜き用ベンジンとして百数十円で売っていた(未だにこんなに安いんダ!)。
綿に染み込ませたベンジンで丁寧に拭いていきシミをきれいに取り去ることができた。
ふだんやっているアイロンがけのやり方も卵焼きの作り方も祖母のやっている姿を思い出しながら真似ている(真似ているというか「オレの方がうまいゾ」と未だにおばあちゃんと張り合っているだけなのだが)。
祖母が元気で家事をやっていた時の姿が、ある意味、私の手本で師匠。
いわゆる「おばあちゃんの知恵」を使いながら今を生きている自分の姿に時々ビックリすることもある。
小さい頃よくオデキをこしらえては赤く腫れた私の傷口に祖母はキャベツの上で焼きシナ~となったドクダミの葉をクスリとして使っていた。
するとたちまち膿が吸い出され傷口が完治するというこの民間療法を、それが必要なくなった今でもドクダミの花を見るたびに思い出す。
そういえば、巷で売っている健康茶の類いには(たくさんある成分の一つとして)必ずドクダミが入っている。
核家族になって年寄りと同居しなくなった現代の生活にはこうしたものはきっとなかなか受け継がれていかないんだろうナと思う。
しかも、そうした「おばあちゃんの知恵」は家庭の中にあるわけじゃない。
その多くが施設の中で「眠っている」。
認知症と言われているおばあちゃん達にそんな話しをふるとけっこうすごいリアクションが返ってきて盛り上がる。
施設スタッフの人たちの多くは若過ぎて、その話題の振り方自体がわかっていないからだ。
これも勿体ない。
もちろん、今はネットで調べれば何でも出て来るが、そうした知識や体験は身体が覚えているものではないので咄嗟には使いにくい(本当かナ?嘘かナ?の判断で使う前にきっと迷うだろう)。
先日作った桑の実ジャムでも「え?それって食べられるの?」と聞く人が多かった。
別に桑の実を食べることが人生の一大事ではないけれど、こんなに美味しくて栄養のあるもの食べないなんて…何となく勿体ないナと思った。