高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、47年の歴史をもつ共同購入の会です。

食の多様性 高知編1

2014-05-13 09:00:00 | 土といのちからのお知らせ
理事長 丸井一郎です。

先月は内田樹(たつる)氏の論を紹介しました。
食の多様性こそが人類の生存戦略の中心であることが述べられていました。

筆者も以前のこの欄で、スローフードについて、
スローフードは、世界各地の非常に異なる環境に非常に異なるやり方で適応してきた人類の集団が、長いことかけてそれぞれに見つけてきた食材と調理法と食術(合わせて食 生態)に基礎を置くこと、
スローフード運動は、そういった食生態を尊重し、保護・育成し、ひいてはその基礎である地域の生活にまでさかのぼって、その意義を評価・顕彰することを目指すこと、
よって重要点は、その人々がその土地でずっと生きてこれたのは、まさしくそういう食べ方(暮らし方)を見いだし定着させてきたからだということ、
などを述べました。
世界各地の伝統食の多様性が金儲けのための画一化や偽装とは相容れないことも明確です。

今回は多様性の事例として高知地方のタケノコを紹介します。
タケノコと言えば普通は孟宗竹のことを思い出すのですが、高知ではさらにハチク(淡竹)、シチク(紫竹また黒竹、寒竹)、マダケ(真竹、女竹、苦竹)、四方竹、あるいはまれにゴサンチク(五三竹、杖や釣り竿にする)などが利用されます。
小ぶりで若い孟宗が終わった後も、日曜市などではずいぶん長い間、様々なタケノコが手に入ります。
一番軽便なのは、輪切りにして茹でたのを買うことです。
土佐人は、ほとんど「竹」になるまで食べ続けるように見受けられます。
ずいぶん長いものを束にしてあるのを見たことはありませんか。


あれは全部を食べるのではなく、節の間の柔らかいところを輪切りにするのです。
名産地、白木谷の生産農家が専用の機械で輪切りにしているところです。


堅い節の部分は包丁で切って手前の箱に入れています。
写真も含めて「なんこくまほらスタッフブログ」を参照しました(http://soraeki.blog84.fc2.com/blog-entry-349.html)。感謝します。

最近では珍しいとのことですが、北川村には「新のべ」というのがあって、「苦竹」のように丸ごと焼いて味噌で食べるそうです。
野趣です。
苦竹ほどには苦くないとのこと。(お年寄りに確認していただいた北川村総務課浜渦さんに感謝します。)
極めつけは、秋に出る四方竹です。
断面がやや四角なのでその名があります。
これは時期的にも珍しいし、なにより味が抜群です。
都会の料亭でも珍重されるようです。

堀りだちタケノコのかすかな苦みと繊細な風味を壊さないためには、出汁をちゃんと取って、砂糖を極力使わないようお勧めします。
醤油は薄口(の米醤油)がいいようです。
四方竹などの筒の中に寿司飯を詰めるのも高知の特色です。
コンニャクやミョウガ、リュウキュウ(はすいも)、イタドリなどと共に、いわゆる「田舎寿司」の定番です。
出盛りには、出汁ではなく、カツオ(共炊き)や白身魚のアラ(調理後)で濃厚に仕上げるのも一興です。
季節のエンドウ豆と炊くのもよろしいです(豆は最後に入れる)。
味噌汁、すまし汁、きんぴら、てんぷら、さしみ、中華風などは言わずもがなです。
海辺ではチリメンジャコを茹でた後の汁だけで炊くこともあるそうです。
高知の食の多様性のごく一端でした。
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする