我が家の小さな庭にもきゅうりが成り始めました。
まさに今が旬の夏野菜です。
いろいろな場面で野菜のお話をさせていただいておりますが、
旬についてお話するのが、一番難しいと感じています。
ある方がこんなことをおっしゃいました。
「今、スーパーに行くと、いつでもトマトが買えたり、
大根が買えたり、季節感がなくなっています。
いつでも手に入る・・・これは便利なことですが、
食べ物に感謝する心、モノを大切にする心が
失われてしまうので、危険なことだと思います。」
確かに、1年を通じて同じような野菜が手に入るとなると、
誰よりも先に季節の野菜を食べることを粋とした「はしり」や、
過ぎて行く季節を惜しみながら食べる「名残り」といった
日本特有の食文化は消えかけているのかもしれません。
しかし、それと感謝の心は別のはずです。
だいたい、旬の露地栽培の野菜だけでは、
約1億3000万の日本の人口をまかなうことはできません。
施設栽培も、工業製品を作っているわけではありませんから、
その土地の気温、天候など環境に左右されます。
今年の春先の低温や日照不足で、施設栽培の野菜も
生育が遅れ、価格が値上がりしたこと、覚えていますよね。
大切なのは、施設栽培が必要であるという現状
(日本の耕地面積や農業人口の減少など)、
そして生産者のご苦労と工夫などを合わせて伝えていくこと。
そうすれば、食べ物に感謝する心は
決して失われることはないと思います。