金曜日、多少積み残しが出ているのですが、今片づけなければならない仕事を終えると、映画館へ。
生まれて初めて、同じ映画を2度見ます。
今週は毎日、ゴジラがどうした、蒲田くんがどうのとかいう話ばかりして、うなづいている会社の子から冷ややかな視線を浴びたりしていまいた。本屋でムック本を探したり、おもちゃ売り場でフィギュアを探したりしましたが、いずれもピンとくるものがなく、いささか消化不良。。
ムック本にピンと来なかったのは、どうやら自分が特撮とか、そういうものに感応したわけではないらしい、ということが、自分でもだんだんとわかってくる。
ネットで感想とかを探しては読んでいましたが、特に面白かったのは日経ビジネスで「シンゴジラ、私はこう読む」という、特集。各界の専門家や評論家の人たちが、様々な角度からこの映画を論評しています。ゴジラ出現に際して防衛出動はできないだろうと言って、自らのブログを炎上させた石破茂元防衛庁長官、東日本震災の時に内閣官房長官として、未曽有の災害対応を指揮した枝野幸男議員などのインタビューは圧巻です。
こちら(’16年9月4日の発言。時間がたつとリンク切れすると思います)では、「怪獣オタのみならず、SF、軍事、政治オタすべてが打ち震える傑作」という、知人の方のコメントが掲げられ、これは3/11に対する日本文化の一つの答えだろう、映画が描くのはゴジラではなく日本政府なのだ、とされています。
たしかに、川を遡上するゴジラとか、日ごろ見慣れた街がゴジラに壊されて惨憺たる様子になるところ、それが遠くから俯瞰したアングルで描かれるところなど、我々があのときに(多くの人はテレビなどで。実体験された方ももちろん多くいらっしゃるとは思いますが)体験した恐怖を見事に再現している。日本政府も、錯綜する情報に即応できず、初期には事態の進行を見通せない。
ただ、映画では日本人は最後には結束し、踏ん張りを示します。
会議ばかり開いている映画なのに、退屈するどころかどんどん引き込まれるのは、この、人物描写が見事だからでしょうね。。
ある種の「お仕事ドラマ」で、自分が入り込みやすいんです。イケメン男子が活躍しても、ぜんぜん他人事ですが、ここではおじさんがかっこいい。こういう映画は近頃あまり見かけない。
(以下はかなりのネタバレとなる内容が含まれます)。
印象に残った台詞(記憶を頼りに書いているので、違っているかもしれません);
首相「いま、ここで決めるのか?聞いていないぞ!」
当初、事態を把握しきれていなかった首相は、かなり戸惑いを示します。相応のリーダーシップはとっているのもの、冴えない印象です。しかし、状況が進展するにつれ肝が据わってきて、表情にも決然とした様子が見られるようになる。
自衛隊による最初の攻撃のとき、避難終了していたはずの地域に人影が見える。報告を受けた首相;
「攻撃を中止する。国民に銃を向けるわけにはいかない」
見事な臨機の判断だと思います。。
次の攻撃の時には、もうかなりしっかりと指揮を執っている。ここでの花森防衛大臣もかなりかっこいいですが、傍らにいる財前統合幕僚長の、冷静で物腰柔らかな補佐ぶりがとても印象的。
財前幕僚長は後半、ヤシオリ作戦の説明を受け礼を言う矢口対策部長にも「礼はいりません。仕事ですから」と穏やかに答える。すごく、しびれます。。
自衛隊がらみで言うと、タバ作戦が中止になった後の指揮所で、「攻撃ばかりが華じゃない。国民を守るのが究極の使命だ」というセリフがあったり、危険な任務は入隊の時から覚悟している、という趣旨の会話など、あの辺は現場の人たちの心情を拾って再現したのかな、と思ったりしました。。
9/11追記こちらで同じ台詞を取り上げておられらます。「気落ちは不要、国民を守るのが我々の仕事だ。攻撃だけが華じゃない。住民の避難を急がせろ」というのが正確なようです。
泉政調副会長が、「立身出世は男子の本懐だ」「政治家にとって大事なのは知恵と強運だ(だったかな?)」これが怪獣映画のセリフとは・・。
泉副会長は非常に魅力的なキャラクターですね。モデルがいるという話もありましたが。
赤坂補佐官の冷静な大人ぶりもよかったですが、里見祐介臨時首相代理が、無理押しする米国に対し「こんなことで歴史に名を残したくなかったなあ」という台詞。なんでもない言葉ですが、心にしみますね。。
小学生のお子さんにはちょっと難しいかもしれませんが、中高生たちが見ても楽しめるというか、むしろ積極的に見てほしいと思います。たぶん、相当に感じるところが出てくると思う。もちろん、大人たちにも、最後には希望を与えてくれるんじゃないかと思う。
ちなみに、蒲田くんはネットで見ていると、ファンによってどんどんかわいくされて、手のリサイズになったりしている。これならいいんですけど・・映画で見ると、やっぱり怖い。
追記:そういえば、エンディングも近くなったころ、地震がおきたんだった。なんとなく体が揺れる感じがしたので、「!!」と思ったが、すぐに収まった。まさか、外に出てみたら。。。どど~~ん。。
映画鑑賞中に地震に遭うのも、うまれて初めてでした。