うさぎくん

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ジェンダー

2016年09月29日 | 日記・エッセイ・コラム

日経ビジネスON LINEに連載中の小田嶋隆氏のコラム入院した中年男性がおしなべて不機嫌な理由」を読んで、本誌上にちょこっとコメントを書いたりした。

小田嶋氏の記事の趣旨は、中高年男性は病院などでの対人マナーなどに問題のある人が多い。その理由はおそらく、そうした場では彼らがいつもビジネス社会の中で機能しているプロトコルが通用しないからだろう、というものだ。もっと単純に言ってしまうと、男は仕事場以外では無礼で不愉快なやつになってしまう、ということだ。氏によると、女性は年齢にかかわらずそれなりの対応をするし、若い男もそんなに態度の悪い者は見ないという。

読者の反応は様々だ。小田嶋氏の文章は、そう言っては何だがそれほど上手だとは僕は思わないのだが、その着眼点には人々を刺激するものがあるようで、毎回多くのコメントが寄せられている。この文章の趣旨である、いわゆる「老害」について触れたものが当然もっともおおいが、「若い男性の態度が良い」に反応した人も多い。僕と同様、女性のことに触れた人も、少数ながらいる。

ちなみにコメントでは大略こんな風に書いた。「女性が陰口を言っているのを聞くとかなり強烈だ。人間の業に男女差はないと思うが、失礼をまき散らす男性は比べると不利かもしれない。女性にはウラがあって時に陰湿。 男女にかかわらず、多少失礼でもユーモアで中和できる人がいいのかも。)。

このコラム、本当は女性のことなどに言及しないほうがよりわかりやすかったのではないかと思う。

男というのは基本的に戦闘要員なのであって、特定の場面では活躍するが、それ以外の場では身を持て余し、不器用で、時に非常に滑稽な存在になる。ソフィスティケートする努力は必要だし、それが紳士としての伝統にもなっている。だが他方、だらしなかったり、どこかで崩れてしまっている男は昔からよくいたみたいだし、たぶん昔はそうして身を持ち崩し、自然に消えていったのだろう。

女は・・。少し前に、「ヨコハマ買い出し紀行」のエピソード解説をするサイトでこんな話を読んだ。物語では、人型のロボット(人類に極めて近い)が多数作られたが、男性ロボットは「弱い」らしく、ほとんどが早いうちに「死んで」しまった。サイトの解説者は言う。「生物の基本は女性であり、(社会の衰退等で)所定の目的を失った男性は、先に消えていった、ということなのだろう」と。

実を言うと、この解釈を読んだときは、はけっこう心にしみた。たしかに、女性のほうが適応能力は高いし、生活力もある。歴史的には男性中心社会が長かったが、これは人類全体がフロンティアに接している時期が長かったからだろう。そのころは男性の価値観、スケールで物事が語られていた。

時代が落ち着いてくると、女性が本来の力を示すことができるようになる。女性が社会の中心になり、女性の価値観、スケールで物事が測られる。今がそうなのだろう。今年は世界中で女性リーダーが登場したが、そのことを裏付けているのかもしれない。

地球上にもうフロンティアはなくなってきた。用済みになったおっさんは、「ただ消えゆくのみ」ということもできず、弱った体で「老害だ」と言われ続けることに甘んじるしかない。いろいろ無念の思いもあるだろうが、まあそれも世の常だ。

 

コメント
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