シビルウォーを見てきました。
アメリカ合衆国が何故か(理由はおそらくあえてぼかされている)内戦状態になり、その前線の様子を追う報道カメラマンたちの物語です。
高名な報道カメラマンのリー・スミス(キルステン・ダンスト)、彼女にあこがれる23歳の若手カメラマン、ジェシー・カレン(ケイリー・スピーニー)、リーの同僚ジョエル(ワグネル・モウラ)、リーのメンターでベテランのサミー(スティーブン・ヘンダーソン)を中心に物語は進行します。
アメリカは分断されて内戦状態になり、テキサスとカリフォルニアの同盟からなる西部勢力(WF)が政府軍と武力衝突。WFは大統領のいるワシントンDCに迫っている。
ニューヨークにいるリー達は、14カ月も取材を受けていない大統領に会おうと、車で移動を開始する。ただ、フィラデルフィア付近は戦闘が激しいため、いったん西に向かいピッツバーグ、ウェストバージニアを経由し、WFの補給基地のあるシャーロッツヴィルを目指し、そこから北上するという計画を立てる。
車での移動距離は、映画ではたしか860マイルぐらいと示されていた。
この感じがどんなものか、地図を見て考えてみたのですが、日本でいうと東京から名古屋に行くのに、静岡付近の戦闘が激しいため、いったん新潟を目指し、金沢を経由して補給基地のある米原に行く、という感じ・かもしれません。
旅の途中では内戦が「なかったことに」なっている街もあれば、正規の軍とは別に殺戮が繰り広げられている地域も見られます。
予告編の20秒ぐらいから始まるシーンがそうですが、こんな会話が繰り広げられます。ジョエルは迷彩服の男に声を掛けます。
" We're American, OK?"
"What kind of American are you?"
「俺たちは同じアメリカ人だろ」
「どういう種類のアメリカ人だ?」
ここ、相当に恐ろしいシーンです。幾つもの修羅場を潜り抜けてきたベテランのジョエルも、言葉に詰まってしまう。
いくつか感想を述べると:
ウェブ上他の人も書いておられますが、内戦の理由や経緯が(おそらくわざと)描かれていないこと。
これは、この映画が戦場ジャーナリストの視点に立っているという面も大きいと思います。現場で取材する記者やカメラマンは、その場で起きていることを予断を持たず客観的に伝えることが使命です。
ただこれは、戦争と言うものの本質にも通じると思います。相手が撃ってきたとき、生き残るためには相手を倒す以外道がありません。相手にも家族がいるとか、何も殺すまでしなくていいなんて考えても意味がありません。
上官が命令したから仕方なく撃つというのもあると思いますが、場合によってはそれも関係ありません。誰にも言われてないし組織にも属してないけど、とりあえず世間で言われてる理屈を借りてきてその辺の人をシバく人も出てきます。戦争がはじまると、人を殺したり、残酷なことをするハードルが下がるのです。
(銃ではなく言葉であれば、現実のネット上に現存するかも)。
カメラが面白いですね。
ジェシーの持つカメラが、お父さんから譲られたNikon FE2なのです。
モノクロフィルムを手巻きで巻き上げてマニュアルでピントを合わせて撮影しています。現地で携帯用のリールを使って現像し、よくわからないけど携帯用フォトビュアーで確認しています。
ベテランのリーはパーマセルでブランド名を隠したソニーα7です。
なにしろ写真と言えばスマホで撮るのが当たり前という時代ですから。ケイリー・スピーニーさんも演技勉強したのだと思います(ダンストさんはカメラを常に携帯して、身体になじむよう練習したそうです)。
ジェシーのカメラは映画上明らかに意識されています。リーが「FE2・、さいきん見ないわね」と話しかけるシーンがあります。
MFカメラ、モノクロフィルムが、フォトジャーナリストのアイコンとして今も生きているのか、その辺の意図はよくわかりません。。New FM2じゃなくてFE2というのも、なにか意味があるのかしら。パパのカメラだからかな。
FE2ちょっと格好いいし、検索すると中古そんなに高くないけど・(FM2とかのほうが高いのね。あれは露出計がマルバツ式で・)。OM-1でも全然撮っていないしな。
ここはやはりZfかZfCを買うべきかしら。
しかし・もう遅いのであった(謎の発言・のこの話はまたこんど)。
これを書いている間にも速報ニュースでトランプ前大統領の集会場近くで銃所持者が拘束されたとか。
映画はまあ極端ですが、ほんとうに剣呑な世の中ですな。