百菜健美☆こんぶ家族ラボ

おいしい
と感じることは生きる喜びに
そして笑顔になります。
舌で味わい、
目は閉じていても
耳は心で。

京味

2019-08-04 | 昆布

「京味」の大将(西健一郎さん、私は何時も大将と呼んでいる)が、7月26日に急逝されました。尤も、大将が大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう…大動脈弁の開放が制限されて狭くなった状態)を患い手術を考えられている、という御話を私が初めて伺ったのは今年の1月29日。大将は「順天堂大学の天野篤教授に執刀して貰う」と言われていましたが、私は「80歳を超えた高齢でもありますから内視鏡の方が良いのではないですか」ということをその時申し上げ、次に京味で食事をした2月28日大阪大学の澤芳樹教授を御招待し大将に紹介しました。

澤教授からも大動脈弁狭窄症であれば内視鏡の方で、「慶応病院の教授など私が此の人ならと思う先生を何時でも紹介します」とか、「大阪まで出て来られるのであれば阪大で私が勿論やります」と言って頂きました。しかし、本人の意思は変わらず順大で開胸手術をやられることになり、私は「無事退院できればなぁ」というふうに思っていました。その後2度ほど食事の時に元気そうな大将の御姿を見させて頂きましたが、残念ながら調子が悪くなったということで再度入院され、先週金曜日そのまま帰らざる人となりました。

私は、「日本料理の料理人として誰が一番か?」と聞かれたら何時でも「西さんが一番」と答えていました。西さんはそれ位の料理人だったわけですが、その料理人の元を辿れば御父様は西園寺公望公の御抱え料理人でありました。そうした状況の中で、『「之ちょっと片して来いと言われたらイコール少し残っているのを味見しなさい」というような御父様はつもりであったんだと思います』とは、西さんから直接伺ったエピソードです。その後、西さんは京都の「本家たん熊 本店」で修業され、そして、東京・新橋で京味を開かれることになりました。

大将が私によく言われていたのは、「日本料理は出汁が一番大事なんです。出汁は鰹と昆布。鰹は3年以上熟成させた鰹を掻いて使う。昆布は釧路の昆布。此の二つが基本です」ということです。東京でも3年以上熟成させた鰹を掻かいて使う料理屋は殆ど無いと言われていました。またもう一つ印象に残っているのは、「どういう料理にするかは食材が教えてくれます。旬の野菜や魚がこういう料理にしなさいと教えてくれるんです」という言葉です。

大将は奇を衒(てら)ったようなnew cuisineタイプは嫌いでした。飽く迄も伝統に忠実に、食材と相談しながら、その確かな舌でベストなものを、というのが大将のやり方だったのです。正に料理界の巨星堕つということで、もう食べられなくなることが残念で仕方がありません。唯、西さんの下で13年間修行された「井雪」という銀座の日本食屋の大将も、西さんに大変忠実で然も洗練された舌を御持ちです。

私が井雪に行く時は必ず大将に鯛の潮汁を所望するのですが、その潮汁はひょっとしたら西さんの域を超えたかもしれないと思う位です。全部が全部ではありませんが、出藍之誉(しゅつらんのほまれ…弟子が師よりもすぐれた才能をあらわすたとえ)と言っても良いような料理もあるわけです。料理は奥が深いものですから迚(とて)も西さんには追い付かないレベルかもしれませんが、ちゃんと西さんの後継者として弟子が育っているというのは私の唯一の期待であります。更に精進されて、西さんのレベルに達せられることを切に願っています。

西さん、長い間料理を食べさせて下さり本当に有難う御座いました。心から御悔みを申し上げると共に、非常に質の良い着物を上手く着こなす奥様と御嬢様に心から哀悼の意を表したいと思います。誠に有難う御座いました。西さん、ゆっくり休んで下さい。そしてまた、天国で美味しいものを食べさせて下さいよ。さようなら。

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博多のトマトを詰めたトマトのベニエ 海苔風味 アスパラ添え 岡本 英樹シェフのレシピ

2019-08-04 | 昆布

レシピ

 

博多のトマトを詰めたトマトのベニエ 海苔風味 アスパラ添え

コツ・ポイント

コツ・ポイント

トマトを「まるごと」揚げる、お洒落な前菜のご紹介。
トマトはできるだけ油で揚げやすい小ぶりなものを選ぶと、揚げやすいです。
ソースを詰め終わったトマトの蓋になるのは、バターです。
小麦粉ではなく、細かいパン粉を使用すると粉っぽくなりません。

4人前/調理時間:約30分
材料・調味料分量下準備
博多のトマト   4個  器として使用分 ※小さい物のほうが油で揚げやすい 
バター   少々  蓋として使用するため、ポマード状にしておく 
博多アスパラガス   12本  軽く塩茹でしておく 
 トマトソース  
博多トマト   4個  器使用トマトの中身も使う。※ざっくりカット 
玉ねぎ   1/2個  粗みじん切り 
オリーブ油   少々   
にんにく   1片   
塩   少々   
 パン粉  
パン粉(細かいもの)   少々   
福岡のり   2枚  袋に入れ、もんで粉々にする 
 ベニエ  
コーンスターチ   50g  ベニエの材料を混ぜておく 
薄力粉   50g   
ベーキングパウダー   7.5g   
卵黄   1個分   
ビール   75cc   

作り方

  1.  

    【トマトの湯むき】器に使うトマトを熱湯に10秒入れ、直ぐに氷水に入れ、皮をむく。

  2.  

    皮をむいたトマトの底から中身をくり抜き、ペーパーの上に置き水分をよく取りながら冷蔵庫で休ませる。(約3分)

  3.  

    【トマトソース】鍋にオリーブ油を入れ、にんにく・玉ねぎを塩を入れて炒める。玉ねぎが透きとおったらソース用のトマトとくり抜いた中身のトマトを入れ、約10分煮る。

  4.  

    ソースが煮込み終わったらミキサーにかけ、裏ごしをし、冷蔵庫でよく冷やす。

  5.  

    茹でたアスパラガスの先端は飾り用で、他の部分は5mm角にカットし、ソースにあわせる。

  6.  

    器用のトマトに、アスパラガス入りトマトソースを詰める。ポマード状のバターを塗り蓋をする。バターが上の状態で冷蔵庫へ。よく冷やしてバターを固める。

  7.  

    トマトにのりを混ぜたパン粉をまぶしベニエを付け、低めの165℃の油で約5分揚げる。盛り付ければ完成。※家庭ではベニエをトマトまるごと付けて揚げると手軽です。

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