乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

映画『神と人との間』 監督・脚本:内田英治 谷崎潤一郎原案  4,5★/5   2018年 渋川清彦、戸次重幸、内田慈

2019-08-12 | 映画

 
     映画『神と人との間』 監督・脚本:内田英治 谷崎潤一郎原案  4,5★/5   2018年 渋川清彦、戸次重幸、内田慈




 文豪・谷崎潤一郎原案の映画 『神と人との間』を見ました。

 話の展開が面白く、静かに小説を楽しんでいるような映画です。

 それでいて演技のお上手な役者さんたちばかりで、上質の淡々と進む舞台を見ているようでした。



 主役の三人がそれぞれに静かで深い印象的な演じ方をしてくださいました。

 渋川清彦さん、戸次重幸さん、内田慈さんのそれぞれの役者さんに共感し反発し、感情移入しました。

 チーム・ナックスの中でも特に好きな戸次重幸さん。昔から好きな王子(役)がご出演されているとは知りませんでしたので、喜びはひとしおでした。

 そして渋川清彦さんの演技の仕方にも見入ってしまい、今回役者さんとして、好きになってしまいました。



 この映画の解説では、「親友同士の男性2人が、ともに愛する同一の女性をめぐって奇妙な三角関係を繰り広げるさまをコミカルに描いた文芸エロス映画」と記されています。

 しかし、ラストの「契約書」と「子供の喜び」がこの作品のキーポイントだと言っても過言でがありません。

 この映画はネタバレしたくないので多くを語ることは差し控えますが、単純に「奇妙な三角関係」と云った単純な言葉ではこの作品の本質は語れないと言ってよいでしょう。


         私はこの映画は好きです。







 下のデーターはwowow公式 HP 
 文豪・谷崎潤一郎の同名の問題作をもとに、親友同士の男性2人が、ともに愛する同一の女性をめぐって奇妙な三角関係を繰り広げる
さまをコミカルに描いた文芸エロス映画。

 近代日本文学の文豪・谷崎潤一郎が、最初の妻・千代をめぐって、彼の親友であった作家・佐藤春夫との間で「小田原事件」と呼ばれる恋愛騒動を起こし、最終的に、谷崎と離婚した千代が佐藤と再婚することで事態が決着した、いわゆる「細君譲渡事件」。
 この「小田原事件」を題材に谷崎が自ら綴った問題作「神と人との間」を、「獣道」の内田英治監督が現代風に翻案して映画化した、「TANIZAKI TRIBUTE」企画のうちの1本。
 なんとも奇妙な三角関係をコミカルに演じるのは、渋川清彦、戸次重幸、内田慈。



 文豪・谷崎潤一郎の同名の問題作をもとに、親友同士の男性2人が、ともに愛する同一の女性をめぐって奇妙な三角関係を繰り広げるさまをコミカルに描いた文芸エロス映画。
 開業医の穂積は、熱帯魚を売る店で働く女性・朝子に恋していたが、親友の売れない漫画家・添田も彼女に恋していることを知って、自らは身を引くことを決意。
 かくして朝子は、穂積に後ろ髪を引かれつつ、添田と結婚する。ところが、結婚した途端に添田はすっかりサディストに変貌し、愛人を作って朝子を虐待し、穂積にも朝子と不倫をするよう、けしかける始末。
 穂積は、添田にコケにされながらも、朝子をプラトニックに想い続ける。



 下のデーターはウィキペディア
 谷崎潤一郎の女性関係   
 1915年(大正4年)、谷崎は石川千代子と結婚したが、1921年(大正10年)頃谷崎は千代子の妹・せい子(『痴人の愛』のモデル。芸名葉山三千子)に惹かれ、千代子夫人とは不仲となった。谷崎の友人・佐藤春夫は千代子の境遇に同情し、好意を寄せ、三角関係に陥り、谷崎が千代子を佐藤に譲ることになったが撤回するという「小田原事件」が起きた(佐藤の代表作の一つ『秋刀魚の歌』は千代子に寄せる心情を歌ったもの。
 また、佐藤は『この三つのもの』、谷崎は『神と人との間』を書いている)。

 結局、1926年(大正15年)に佐藤と谷崎は和解、1930年(昭和5年)、千代子は谷崎と離婚し、佐藤と再婚した。
 このとき、3人連名の「……我等三人はこの度合議をもって、千代は潤一郎と離別致し、春夫と結婚致す事と相成り、……素より双方交際の儀は従前の通りにつき、右御諒承の上、一層の御厚誼を賜り度く、いずれ相当仲人を立て、御披露に及ぶべく候えども、取あえず寸楮を以て、御通知申し上げ候……」との声明文を発表したことで「細君譲渡事件」として世の話題になった。

 翌1931年(昭和6年)、谷崎は、古川丁未子と結婚するが、1934年(昭和9年)10月に正式離婚。翌年1月、同棲を続けていた森田松子と結婚式を挙げた。

 松子が妊娠した際、「藝術的雰囲気を守りたい」という谷崎の意向で中絶したと、谷崎自身が『雪後庵夜話』に書いたためこの件が有名となり、それゆえに谷崎を批判する者も多い。
 しかし戦時下に書かれた『初昔』によれば、松子は3人の医師から健康上中絶を勧められたというのが真相で、そうでなければ松子の3人の姉妹や医師をどう説得したのか説明がつかない。




 以下のデーターはwowow公式 HP
作品データ
制作年/2018
制作国/日本
内容時間/90分



出演
役名 役者名
穂積 渋川清彦
添田 戸次重幸
朝子 内田慈
美佳 山田キヌヲ
幹子 萬歳光恵


監督
内田英治

原案
谷崎潤一郎

脚本
内田英治

撮影
伊藤麻樹
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乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 15  酒飯論絵巻(しゅはんろんえまき)について

2019-08-12 | 乱鳥徒然 Rancho's room.
  フランス国立図書館本『酒飯論絵巻』第3段末尾より


   『酒飯論絵巻』



 『酒飯論絵巻』(日本絵画の転換期 「絵巻」の時代から「風俗画」の時代へ )並木誠士 著が面白かったので、今度は『酒飯論絵巻』について少し見てみることにした。

『酒飯論絵巻』は『大黒舞』そのた多くのようにチェスター・ライブラリィ所蔵のものが出版されているそうだが、私の知っている限りでは見たことがない。

 どこかで調べて、読んでみたいと思う。
 




                        追記     
                        http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2542602/1  
                        国会図書館 『酒飯論』デジタル公開を見つけました。

  


  酒飯論絵巻(しゅはんろんえまき)

 酒飯論絵巻(しゅはんろんえまき)は、16世紀に制作されたと言われる日本の絵巻。

『下戸上戸絵詞』『三論絵詞』『酒食論』『下戸上戸之巻』とも呼ばれる。

 1巻、詞書と絵が各4段。

 酒好きの男と、下戸でご飯好きの男、両方適度に嗜む男の3人がそれぞれの持論を展開するという構成で描かれている。

 調理から配膳、飲食の様子が詳細に描かれており、当時の食文化を知る貴重な資料となっている。



  酒飯論絵巻(しゅはんろんえまき) 概要
 最も原本に近い、もしくは原本そのものの可能性がある文化庁本の大きさは、縦30.7×長さ1416cm。

 狩野元信の筆になるものと、土佐光元によるものがあり、その模写本や異本が多数存在する。

 主人公の三人は、酒好きの公家・造酒正糟屋朝臣長持(みきのじょうかすやあそんながもち)、飯好きの僧侶・飯室律師好飯(いいむろりっしこうはん)、中庸派の武士・中左衛門大夫中原仲成(ちゅうざえもんだゆうなかはらなかなり)である。

 4部構成になっており、

    第一段に三人の紹介、

    第二段では酒の徳、

    第三段では飯やおかず、茶の面白さ、

    第四段ではどちらもほどほどがよいと語られる。

 長持は念仏宗、好飯は法華宗、仲成は天台宗のそれぞれ宗徒であり、表向きは飲食について語りながら、天台宗の中道観の優位性を説いている。

 また、公家と僧侶の争いを武士が仲裁するのは、室町時代の権力構造を反映しているといえる。


 2009年から多分野に渡る研究者の共同研究の対象となり、2012年に研究報告がなされた。




 

 
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 1 「引歌」と「本歌取り」
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 2 「影印」と「印影」、「影印本」(景印本、影印)と「覆刻本」
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 3  丈(じょう )と 丈(たけ)
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 4 「草紙」と「草子」と「双紙」と「冊子」
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 5 「清元」と「常磐津」と「長唄」と「義太夫」
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 6 「千秋楽」と「千穐楽」と「千穐樂」
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 7  「文化功労者」と「文化勲章」 
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 8 「気功」と「気」の違い、及び「気功」と「気」の中国と日本の違い 
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 9 「忖度」江戸時代すでに言葉の変化が認められた事を『玉あられ』(本居宣長著)で再確認した。
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 10  弥生(日本に置ける3月)、暮の春、建辰月、月宿、夢見月
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 11  東大寺 修二会(お水取り)について再度確認しておきたい。
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 12  一旦停止の位置は如何様であろうとも、停止線手前で止まるべし
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 13 「全集とは」                       
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 14 「釈文」と「書き下し文」と「訓読文」、「しゃく‐ぶん【釈文】」と「しゃく‐もん【釈文】」の違い
  乱鳥の今更人に聞けない言葉の混乱 15  酒飯論絵巻(しゅはんろんえまき)について


 


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コクーン歌舞伎「東海道四谷怪談 北番」 2006年 東京  シアターコクーン 中村勘三郎他、錚々たる顔ぶれの役者さんたち

2019-08-12 | TVで 歌舞伎・能楽



          コクーン歌舞伎「東海道四谷怪談 北番」 2006年 東京  シアターコクーン 中村勘三郎他、錚々たる顔ぶれの役者さんたち






 コクーン歌舞伎「東海道四谷怪談 北番」をみる。

 いや、みることができてよかった。


 『東海道四谷怪談 南番』は歌舞伎チャンネルや衛星劇場で繰り返し見て居たが、「東海道四谷怪談 北番」は未だみる機会に恵まれてなかった。

 北番では、岩や岩の怨念の怖さの強調というよりは、江戸時代の実在人物の名を変えパロディ化した内容。

 江戸時代は絵師にしても芝居にしても、御上批判や実際を表現することは禁止されて居たので、絵師は猫などの擬人化を試みたり、芝居では「東海道四谷怪談 北番」のように名を変えパロディ化したりされて居た。

 しかし当時の人は元を念頭に、浮世絵や草子などの読み物、芝居を楽しんで居たことになる。

 故に「四谷怪談 」は「別名(?)忠臣蔵」とも言われていたそうだ。


『東海道四谷怪談 南番』で気になって居た、蚊帳。

 伊右衛門は子供の蚊帳まで取り上げて持って行く。

 もっとも金持ちの孫娘との婚礼を控え、大枚をもらっているので、金欲しさではない。

 伊右衛門は磐音の愛情がないことを悟らせ、釘をさすためにも着物をはぎ、吊るした蚊帳まで剥ぎ取って行くのである。

 とはいえ、なぜ蚊帳なのか。

 愛情がないという表現の一つとして子供が蚊に刺されて模様ので蚊帳を剥ぎ取って行く、実はそれだけではなさそうである。


 この蚊帳、ベースは青深緑で、策は真っ赤である。

 この夏に滋賀県の近江八幡を訪れた時に、旧家の資料館で見た。

 今現在の西川布団の下になる お店(おたな)跡で、当時の西川(布団)ブランドの蚊帳が展示されて居た。

 それによく似た蚊帳を舞台では使われているのである。

 落ちぶれたとはいえ、武士である伊右衛門の家では、元はブランド品である西川の蚊帳を購入し使うことができたのであると考えられる。

 ブランド品である蚊帳は、衣服と同様、質草に入れることができたのであろうと推定する。

 お乞食になった武士でも、武士のプライドもあり、剣菱模様の入った菰を好んで使用したと何かに書かれて居た。

 菰を見れば武士下がりか、一般民家がわかるという。

 そしてこんなにも落ちぶれた家にも、当時の流行りの蚊帳がかかって居たのだとすれば、芝居も事細かに観察に値する面白みがあると考えられる。

 
 コクーン歌舞伎「東海道四谷怪談 北番」にご出演されていらっしゃる全ての役者さんたちが熱演であった。

 中村勘三郎様がご健在の頃の舞台で、懐かしく目頭が熱くなった。

「東海道四谷怪談 北番」を見て、改めて素晴らしい役者さんだったんだと感じた。

 中村勘三郎様の出演者の士気を高め、まとめる力、及び、舞台を作り上げるという情熱は半端がない。

 会場中の観客の熱気が伝わる舞台であった。


 東京都関西との舞台を始め芸術に対する温度差を感じる。

 学生時代、関西を離れることは考えもしなかった私であるが、東京の代打国行くことになって居たら、今はどのような趣味を持ちどのように楽しんでいるのであろうかと、時々ふと考えることがある。

「東海道四谷怪談 北番」もそんなたわいないことをふと思わせる舞台であった。



 

     

    

 以下のデーターはwowow公式HP ▼

 絶大なる人気作「四谷怪談」を台本、配役、演出などの異なる新作「北番」として上演し、読売演劇大賞を受賞するなど旋風を巻き起こした伝説のコクーン歌舞伎第7弾。



 コクーン歌舞伎の第7弾「東海道四谷怪談」は、1994年に上演された「四谷怪談」をベースに串田和義が新たな演出を施した南番と、シャープな切り口で欲望の中でうごめく人間の奥深さを描いた北番の2バージョンからなり、その北番を放送する。中村勘三郎が襲名後初公演の舞台。
【あらすじ】
 塩冶浪士の民谷伊右衛門(中村橋之助 現:芝翫)は、同じ浪士の四谷左門に娘・お岩(中村勘三郎)との復縁を迫るが、伊右衛門の公金横領という過去を知っている左門は復縁を許さない。
 一方、お岩の妹・お袖は生活のために按摩宅悦の地獄宿に勤めているが、そこで夫・佐藤与茂七と再会する。しかし、お袖に横恋慕する直助権兵衛は与茂七を、伊右衛門は左門をそれぞれ殺してしまう。
 お岩は伊右衛門と復縁、お袖は直助と仮の夫婦となる。子をなしたお岩は、産後の肥立ちが悪く床に伏せってしまい、そんなお岩を次第に疎んじた伊右衛門は、離縁するためにある策略に出る。



2006年4月18日、20日/東京 Bunkamuraシアターコクーン
出演
役名 役者名
お岩・直助権兵衛 中村勘三郎
佐藤与茂七・小仏小平 中村扇雀
民谷伊右衛門・小汐田又之丞 中村芝翫
四谷左門・仏孫兵衛 坂東弥十郎
お袖 中村七之助
秋山長兵衛 片岡亀蔵
お梅 坂東新悟
伊藤喜兵衛・按摩宅悦・お熊 笹野高史
スタッフ
演出・美術
串田和美
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『日本絵画の転換期 酒飯論絵巻』 「絵巻」の時代から「風俗画」の時代へ  並木誠士 著  2017年  4,8★/5

2019-08-12 | 読書全般(古典など以外の一般書)

      『日本絵画の転換期 酒飯論絵巻』「絵巻」の時代から「風俗画」の時代へ  並木誠士 著  2017年  4,8★



 某公機関の書棚で、酒飯論絵巻という私の知らない絵巻物の名に惹かれ、『日本絵画の転換期 酒飯論絵巻』を手にとってみる。

『日本絵画の転換期 酒飯論絵巻』をパラパラと開き、インデックスをみ、最初と最後を読み初めて本書をお借りした。

『日本絵画の転換期 酒飯論絵巻』の中には、実際に読んだ絵巻物や博物館や寺で見たものが多く載せられており、多少絵巻物に関心のある私にとっては楽しい本である。

 読んだものや見たものを思い返しながら、ウンウンと頷き、早々と声に出しながら読み進める。

 この本は言葉がすんなりとしていてひとかたまりを人忌避、あるいはブレス1,2回で読みやすく、音読をしながら楽しんだ。

 
 著者 並木誠士氏は徳川美術館学芸員をなさっておられたという。

 徳川美術館は昨年春に楽しんだ。

 また、京都大学助手や京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科教授をなさっておられたという。

 京都生まれの私にとっては、とても親しみやすい感じがする。

 こういった先生の講義を聞いて見たかったなと感じる。

 いやいや、まだお若いので、朝日カルチャーセンターなどでは聞けるのかもしれないが。


 いちいち納得できる『日本絵画の転換期 酒飯論絵巻』は、家に居ながらにして講義を聞いているようで、二日に分けて一気に読めた。

 他にも旅行書と古文書関係一冊を読み、テレビで歌舞伎を見て居たので、子に二日間も読書三昧、舞台三昧であった。


 脇道はさておき、本書を読み心に残った部分としては、

   酒飯論絵巻は「絵巻の時代」と「風俗画の時代」という二つの時代が交替する、ちょうど「潮目」に当たる作品 (P.155)

ということであった。

   絵巻が表現形式として中心的位置を占めて居た時期は、宮中のロマンスや合戦、高僧の生涯などが、まず「文字」化され、その後に絵巻として鑑賞されるようになった。

   しかし、挿図的な位置であった絵巻の「絵」は、やがて詞書から離れて汁つすることになる。

   それは同時に、屏風という新しい絵画の確率で亜もあった。

   そしてそこで人々の目を楽しませたのは、自分たちのどう時代の人々の様子、つまり風俗であった。

   風俗画の成立である。

   その転換期にあった作品こそが『酒飯論絵巻』であった。    
   (P.156)


『日本絵画の転換期 酒飯論絵巻』「絵巻」の時代から「風俗画」の時代へを読み進める間中、楽しく過ごさせていただいた。

 時間を見つけて、所蔵の絵巻物全集の読みを再開したいと思う。

 また時々は美術史を読むのも良いものだと感じた。

 


 






 
 






 『日本絵画の転換期 酒飯論絵巻』「絵巻」の時代から「風俗画」の時代へ

 食と酒を楽しむ姿を赤裸々に描いた『酒飯論絵巻』は、日本美術、それを支える社会が大きく変わるターニングポイントを映している。

 著者 並木 誠士 著

 出版年月日 2017/08/04

 判型・ページ数 菊判変・192ページ

 定価 本体3,000円+税



プロローグ――日本絵画史の見直し・試論――

第Ⅰ章 《酒飯論絵巻》の概要

第Ⅱ章 絵巻の時代
 Ⅱ―1 絵巻とは?
 Ⅱ―2 やまと絵と四大絵巻
 Ⅱ―3 絵巻の諸相
 Ⅱ―4 絵解と画中詞
 Ⅱ―5 小括――「絵巻の時代」の終焉

第Ⅲ章 風俗画の時代
 Ⅲ―1 「風俗」を描くこと
 Ⅲ―2 新しい画題の成立――洛中洛外図
 Ⅲ―3 近世初期風俗画の展開
 Ⅲ―4 江戸時代――浮世絵への展開
 Ⅲ―5 小括――「風俗画の時代」の幕開け

第Ⅳ章 ふたたび、《酒飯論絵巻》
 Ⅳ―1 「酒飯論絵巻」研究史
 Ⅳ―2 再考:《酒飯論絵巻》の作者と制作年代
 Ⅳ―3 《酒飯論絵巻》の特質

エピローグ――《酒飯論絵巻》の絵画史的位置――


 著者について
 京都工芸繊維大学教授

 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
 並木/誠士
 1955年東京都生。徳川美術館学芸員、京都大学助手、京都造形芸術大学助教授を経て、京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科教授、同大学美術工芸資料館長
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