井上夢人
短編集
出版されたのは数年前だが
作品は全て1990年代のものだ
ミステリー小説
しかし幅が広い
作品によってガラリと筆致が変化する
同じ著者なのか?と勘ぐってしまうぐらいだ
「空部屋あります」
老婆の独白によって物語が展開していく
落語家が話すような姿が読み進めながら、頭に勝手に浮かんできた
「書かれなかった手紙」
手紙のやり取りのみで物語が進む
その中に忍ばせたカラクリがまたうまい
(社会性の乏しい僕には、改まった手紙のやり取りの勉強にもなった)
「ジェイとアイとJI」
パソコンにのめりこみ破滅していく物語
コンピュータのプログラミングのことなど
パソコンに詳しいからこそ生まれた作品だろう
多彩である
どれもサックリと読める長さ
だが、クオリティはとても高い
(もちろん、う~んと言ってしまうものもあるけど…)
短編作品だと、限られた枠の中で掘り下げていく
枠を広げすぎず、全体にしっかりとまとまりを帯びている
そこに「読みやすさ」を感じ「インパクト」も詰まっている
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