はぐくみ幸房@山いこら♪

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台場クヌギ

2015年06月29日 | 資源利用(木材・特用林産物)のお話

 先日、ちょっと仕事で、兵庫県に行って来ました。

 そこで、林業遺産に登録されている「台場クヌギ」を視察。(場所は兵庫県川西市というところです。)

 台場クヌギとは、炭の原木を採るために、クヌギを地上1~2mの位置で幹を伐採し、そこから発生した芽を生長させる特殊な仕立て方をいいます。

 通常、クヌギやコナラを萌芽更新するときは、地際で伐採しますが、この地域では1~2mの高さで伐採しています。(ウバメガシの択伐も地際伐採です。)

 約8年サイクルで伐採し、利用する。

 これを繰り返すことで、切り残した1~2mの幹が太くなり、写真のようなクヌギになります。

 中には、樹齢130年以上のクヌギ、つまり130年以上も利用されてきたクヌギも存在するそうです。

 

 この台場クヌギは、室町時代から行われている施業で、古い文献にも記録が残されており、歴史・文化両面から価値ある森林・林業技術です。

 

 ここで製炭された炭を「池田炭」とか「一庫炭」といい、炭の切り口が菊のようにキレイな模様から「菊炭」とも呼ばれ、”茶席に使われる最高級の炭”として、非常に付加価値の高い炭として評価されています。(表面をよく見ると、樹皮が残っているのも分かります。)

 小林一茶や豊臣秀吉もこの炭でお茶を楽しんだそうです。

 ちなみに、樹幹部に洞が形成されるため、オオクワガタの生息地で有名な場所でもあります。

 

 台場クヌギのような仕立て方は、

 「萌芽した芽がシカなどの食害を受けにくい」というメリットがある一方で、「萌芽した芽は、強い風が吹くと折れる可能が高い」というデメリットがあります。

 逆に、通常の萌芽更新では、「萌芽した芽は強い風が吹いても折れにくい」というメリットがある一方で、「シカなどの食害を受けやすい」というデメリットがあります。

 シカの生息地が多い場所では、台場クヌギのような仕立て方を、しかし、海岸沿いなど強い風が当たりやすい場所では通常の萌芽更新を、という風に、それぞれの技術の特性を理解した上で取り入れると、楽しい山づくりにつながると思います。

 ただし、風があたりやすい、あたりにくい山の見極めは難しい・・・・。

 周辺が伐採されるなど環境が変化すると、風の当たり方も変化します。

 すべてを台場クヌギ風に仕立てるのではなく、緩衝帯や防風帯のような林を設けた上で仕立てるなど、リスク対策も考えて行い、それが思い通りにいくと、尚、楽しい山づくりになると思います。