カマキリに寄生することで有名なハリガネムシ。
何年か前に、ハリガネムシが生態系を支えているという報告が注目されました。
毎年、この時期にアップしようと思い、忘れること2年が経過・・・。
ハリガネムシは、水の中で卵から孵化し、まずは、カゲロウなどの水生昆虫に寄生します。
そして、水生昆虫が羽化するため、地上に上がります。
このとき、水生昆虫がカマドウマなどに食べられると、水生昆虫に寄生していたハリガネムシが、宿主をカマドウマなど捕食昆虫に変えます。
ハリガネムシの宿主として有名な昆虫は、カマキリですが、実はカマドウマ、コオロギ、ウマオイなどにも寄生します。
これら昆虫は、いずれも肉食性もしくは雑食性の昆虫です。
ハリガネムシは、水の中で産卵するので、再び、水辺を求めます。
このとき、宿主を操り、水に飛び込ませるそうです。
実は、ハリガネムシのこの行為が、渓流に住むアマゴなどの餌資源を支えていると報告したのが、京都大学です。
とある試験で・・・
カマドウマの川への飛び込みを抑制すると・・・
アマゴによるカゲロウなど水生昆虫の捕食圧が増加。
藻類を食べる昆虫の減少で藻類が増加。
落ち葉を食べる(?。とされる)ヨコエビ類も減少し、落ち葉の分解速度が低下
という結果が出たそうです。
ハリガネムシの生態が、渓流の環境を支える1つの柱。というわけです。
ちなみに、スギ人工林率の高い河川にはハリガネムシが少なく、そういう河川に住むアマゴなども少ないという傾向にあるらしいです。
天然のアマゴを養殖(?)するには、ハリガネムシは欠かせない・・・と言っても過言ではないかもしれませんね
実に生態系は繊細で複雑だな~と感じずにいられません。
利用期を迎えた森林が多いわけですが、伐採後の再造林は林業経営重視か、生態系重視か・・・ということを考える時代でもあります。
とはいえ、生態系に適した再造林って?
何を植えればいいの?広葉樹ならなんでもいいの?植えずに天然更新の方がいいの?その後の施業は?
昔の拡大造林によって、天然林が人工林へと林種転換されました。
今度は、その逆を行おうというのですから、それなりのコストをかける必要もあります。
シカ害もありますし、天然更新は「伐採した後、そのまま自然に任せる」なんて、そんな簡単なことではありません。
このあたりのお話は、またいずれ・・・
ちなみに、ハリガネムシの研究は、和歌山県有田川町(旧清水町)にある京都大学の演習林で行われました。
思い起こせば、昔は、カマキリを解体して、ハリガネムシを取り出していました。
この報告を聞いて、バチあたりものだと、過去を猛省