5~6月頃にかけて、白い花を咲かせるアブラギリ。
アブラギリは、雌雄同株で、枝先に直径2cmほどの白い花を咲かせます。
アブラギリの雌花。
アブラギリの雄花。
白い花を咲かせ、しばらくすると、花弁の基部が紅色を帯びるので、色の変化が楽しめます。
アブラギリは、トウダイグサ科の高木性落葉広葉樹。
葉や実の形がキリに似ていて、種子から油(桐油)を採取するので「アブラギリ」。
日本の中部地方以西・四国・九州に自生しているといわれていますが、桐油を採取するために中国から取り入れたという説もあるので、在来種か否かは不明なようです。
一方、中国原産のオオアブラギリ(別名:シナアブラギリ)が日本に定着しているので、個人的に「アブラギリ」は在来種であって欲しいと願っています(^_^;)。
オオアブラギリの花。別名はシナアブラギリ。
別名に「シナ」って、ついてるんだから、アブラギリは在来種がイイな・・・。。。
「桐油」は防虫効果と耐水性があり、フローリングや木製家具などの塗料や印刷など工業目的にも使われます。
かつては、油紙にも使われ、その油紙で傘や雨合羽を作ったそうです。
昔、中国では国の財政を動かすほど、とても重要な資源だったらしく、日本でも国策として植栽を奨励した時代があったそうです。
現代に生えているアブラギリやシナアブラギリは、その名残と放置されたものが拡大したとのこと。。。
和歌山県では、アブラギリよりもシナアブラギリの方が多い、と言うか、人目につく場所に多い。
道路際の明るい場所や放棄された畑などに、シナアブラギリがよく生えています。
桐油の材料となる実は、10月頃、黄褐色に熟します。
実には「エレオステアリン酸」という成分(毒なのかな?)を含むので、食べると嘔吐や下痢を起こすので、絶対に食べないで下さい。
これは、落下したアブラギリの実。
キリと違って、アブラギリの実は、熟した後も裂けないところが特徴。
中には種子が3個入っています。
アブラギリの実。未熟です。
次は、オオアブラギリの実。これも未熟。
実の中に種子が4~5個入ってます。
アブラギリとオオアブラギリは、花も実も、そっくりですが、葉っぱもそっくりです。
葉の形は、生育する環境や成長具合によるのか、ハート型タイプ・卵型タイプ・2~3裂するタイプがあります。
2~3裂するアブラギリの葉。
オオアブラギリの葉。2~3裂タイプとハート型タイプ。
アブラギリとオオアブラギリ。
花も実も葉もそっくりですが、違いを見分ける方法は、とても簡単です。
葉の基部にある花外蜜腺(かがいみつせん)に柄があるか否かです。
アブラギリは、葉の花外蜜腺に柄があります。
一方、オオアブラギリの葉にある花外蜜腺には、柄がありません。
ご覧の様に、葉っぱの基部にある「花外蜜腺」を見れば、アブラギリかオオアブラギリかは一目瞭然です。
一度、この方法で、周りで見かけるアブラギリを同定してみてください。
※2020年6月の記事を加筆しました。
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