初夏に甘酸っぱい赤い実を付けるヤマモモ。
ヤマモモは、ヤマモモ科の高木性常緑広葉樹です。
本州(関東以西)、四国、九州、沖縄に分布し、温暖地域の低山地や海岸沿いに自生し、公園や街路樹としても植栽されています。
日本だけでなく、中国、韓国、台湾などにも自生しています。
ちなみに、中国名は「楊梅」と書いて、ヤンメーと言われています。
ヤマモモの名前の由来は、「山に生えてモモのような実がなるから」、「葉がモモに似ているから」といった説があるそうです。
いわゆる「桃」のような実と言われると、いささか「えっ?」と思いますが、「桃の葉」に似ていると言われれば、「まぁ、そうやな」って、感じですね。
ヤマモモの葉は互生または束生し、長さが4~10センチ、葉柄はほとんどなく、葉質は厚みのある革質といった感じです。
若木の葉は葉縁にギザギザ(鋸歯_きょし)があり、成木になるとギザギザが無くなります。
ちなみに、萌芽更新したヤマモモの葉にも鋸歯があります。
ヤマモモは雌雄異株で、街路樹などに植えられるヤマモモのほとんどは雄株で、たまに雌株が混ざったり。
花期は3~4月。
雄花は、黄褐色の芋虫に似た形状の花を出し、雌花は紅色で、花柱が2裂して突き出た花を出します。
開花の順番は、先に雄花が咲き、その後に雌花が開花します。
ヤマモモの雌花
6月になると濃い紅紫色の実を着け、実の表面には小さな凹凸があり、そのまま食べることが出来ます。
ついつい何度も口に運びたくなる甘酸っぱい味で、個体によって松やにのような風味・雑味があります。
ちなみに、通常のヤマモモよりも大きな実をつける改良された品種あります。
たまに、産直系のお店に並んでいることがありますが、基本的に日持ちが良くないので、出店されたその日にご購入下さい。
なので、基本的にジャムや果実酒といった加工品に使われることが多いかと思います。
ヤマモモの樹皮。
実は、ヤマモモの樹皮は「染物」として利用されます。
以前、ヤマモモの樹皮採取の依頼を受け、ひたすら樹皮を剥いて、採取したことがあります・・・・。
ちょっと倒れたり、樹幹折損すると不都合な場所に生えていたヤマモモを伐採した際、タイミングよく、樹皮採取の依頼があったので、その時に対応しました。
実は、ヤマモモは裂けやすい樹木なので、変に曲がっているヤマモモは、伐採の時、結構、慎重になります (^_^;) 。
さて、ヤマモモの根は、窒素を固定する根粒菌と共生しています。
そのため、肥料木として、砂防用や荒廃地の回復用樹木として植栽されます。
和歌山県の特産品である「紀州備長炭」。
その原木であるウバメガシ。
ウバメガシを伐採する際、ウバメガシの再生を促すため、ヤマモモを伐らず、残すという山づくりの技術が伝わっています。
ヤマモモに根粒菌があるとか、そういった知識があったわけでなく、ただただ昔から引き継がれた現場の知識。
現場で培った山づくりの経験と科学的な根拠が結び付く事例が多々あるので、そういう話は本当に面白い!!!
※2015年6月の記事改編
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