クリスマスを代表する樹木「ヤドリギ」。
冬の間でも、落葉樹に半寄生する常緑樹のヤドリギは、強い生命力という象徴として扱われ、ヨーロッパでは、昔から、宗教的に「神聖な木」とされたり、「幸運を呼ぶ木」とも言われているそうです。
ヤドリギと言えば、「ヤドリギの木の下で出会った男女はキスをしても良い」という、なんか都合が良いような言い伝え(^_^;)がありますよね 。
ケルト神話や北欧神話では、ヤドリギは幸福・安全・幸運をもたらす「聖なる木」とされており、非常に縁起の良い植物とされているそうです。
そんなヤドリギの下を通るとき、幸福・安全・幸運を願うという習慣から、未婚の男女は幸せな結婚を願い「ヤドリギの下で出会った男女はキスをしても良い」という習慣が生まれたそうです。
ロマンチックな感じがしますが、逆に、ヤドリギの下でキスを断ると、縁起が悪く、翌年は結婚できないとも言われています。
「え~、私、そんな気、ないのにぃ・・・」という状況だとしたら、ちょっとした脅迫観念に囚われそうな言い伝え・・・・(゚Д゚;)
ヤドリギは「宿り木」と書き、その名の通り、他の樹木に寄生する樹木です。
主な宿主は、ブナ、ミズナラ、サクラ、ケヤキ、ムクノキ、エノキなどの落葉広葉樹で、宿主から生きるために必要な養分を吸収します。
時に多くのヤドリギに寄生された宿主は、衰弱し、最悪、枯死するものもあります。
なので、ヤドリギを「病害」や「病気」とする考え方もありますが、僕自身は病気という認識を持っていません。
というのも、宿主が枯死するとヤドリギ自身も枯死するので、宿主を衰弱・枯死させるような吸収はしません。
ヤドリギ自身も光合成を行いますし、宿主から養分をいただく代わりに、宿主が水分や養分を吸い上げるための蒸散を助けています。
だけど、多数のヤドリギが寄生すると、ヤドリギが宿主の葉を遮り、宿主の光合成を阻害し、宿主の衰弱に繋がります。
なので、宿主を弱らせたいわけではなく、個々のヤドリギが密集してしまったがために起こった悲しい事故だと思っています。
ヤドリギ自身は、「あっ、この樹木に寄生しよう~♪」と狙いを定めているわけではありません。
ヤドリギの木の実を食べた鳥が、ヤドリギの種を運び、そこで糞を落とされ、そこに寄生したという結果にすぎません。
( ↑ 発芽した若いヤドリギ )
ちなみに、ヤドリギの種子は鳥にとって、貴重なエサ資源になります。
ヤドリギが多いということは、多くの鳥が生育できると考えられるので、ヤドリギは生物多様性を支える1つの樹木ともいえます。
なので、それぞれの見方によって、ヤドリギの評価は異なるんじゃないかなと思います。
サクラの景観を重視する場合は、ヤドリギが発生すると、サクラの樹形を損なうし・・・・。
多種多様なの鳥が集まれる環境では、ヤドリギがその環境を整える1つの要因になるし・・・・。
結果的に、多数のヤドリギが原因で、宿主を衰弱・枯死させることに繋がりますが、決して、宿主から養分を吸収し尽くして、宿主の命を奪い取ろうという戦略をヤドリギが行っているわけではなく、不可抗力でたくさん集まった悲しき事故だと思っているので、ヤドリギは病気・・・ではないと、個人的には思っています。
※2016年12月の記事を改編
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