ある会議の資料に「生柳」という言葉が出てきた。
生柳?
初めて目にする言葉だ。
しかし、その直後に「5・7・5」とあったので、
それが「川柳」の間違いであることはすぐにわかった。
間違いを指摘すると、資料を作成したスタッフが焦った口調で、
「すいません、逆でした」
逆?
何がどう逆なんだ?
「柳生」という書くつもりだったのか。
それじゃあ、「ヤギュウ」だ。
詳しく話を聞くと、
彼の間違い方は、僕の想像を超えていた。
僕は「センリュウ」と打つつもりが「セイリュウ」と打ってしまい、
それを変換したら偶然「生柳」と出てしまったのだと思っていた。
しかし、彼は、
「”センリュウ”って入れても出てきませんよね」
そんなことはない。
いつの時代のワープロだ。
「だから”ナマ”と”ヤナギ”と別々に入れて、変換しちゃいました」
じゃあ、彼はずっと「センリュウ」というのは「川柳」ではなく「生柳」だと思っていたのか。
「いや、”センリュウ”は知ってますよ」
ならば、なぜ”ナマ”と入力したのだ?
なにがなんだかさっぱりわからず、
おもしろ怖くなってきた。