「ウチのコが動脈を噛み切って大変だったの」
近所の美容室で髪を切っていたら、そんな言葉が耳に飛び込んできた。
大変なことである。
動脈を、しかも噛み切った?
どんな惨状か、想像もつかない。
話を聞くうちに、ウチのコが愛犬であることがわかった。
それにしても、犬が自分の動脈を噛み切るとは、どんな状況だったのか。
なんでも、興奮した犬が、自分の尻尾を追いかけてぐるぐる回るうちに、
うっかり犬歯が尻尾の付け根に引っかかり出血したそうだ。
そんなところに、本当に動脈があるのかどうかはわからない。
あくまで飼い主が言っていた話だ。
どんな血管を噛み切ったかはわからないが、
傷口を押さえたタオルが真っ赤に染まるほどの出血をしたそうだ。
犬が自分を尾を追ってぐるぐる回る話は、
古い笑い話によくあるが、
まさか尾を噛み切るなんて事態が起きるとは、
考えたこともなかった。
ちなみに、その呆れた犬はポメラニアンである。