行きつけの店の主が若い頃、
かなりヤンチャだったことは知っていたが、
高校生の頃、半殺しの目にあったことは、
最近はじめて聞いた。
当時チーマーだった彼は、
下北沢の駅前で対立するチームに集団で襲われ、
ボコボコにされたのだという。
「腹をやられたら死んでしまうんで、
とにかく亀になって腹を守りました」
缶ジュースの入ったコンビニの袋などの鈍器で、
丸まった彼を容赦なく殴る。
頭や背中の皮膚が破れ、血が流れる。
「最初はスゴく痛いんですけど、
だんだん痛みがなくなってきて、
目の前がす~っと白くなっていくんですよ」
仲間が助けに来てくれた時、
彼は血だるまだったが、
まったく痛みを感じていなかったそうだ。
ここまででもかなり驚きの体験だが、話にはまだ続きがある。
普通ならばすぐに病院に連れていかないといけない状態だ。
だが、喧嘩でケガをした場合、病院に行くと警察に通報される。
すると、学校に知られ退学になってしまう。
そこで彼は病院には行かず、ひとり暮らしの友人の家に運び込まれ、
三日三晩、友人とその彼女に看病してもらったそうだ。
「こうやって額の割れた部分を指で押さえていたんですよ」
よく死なずに済んだものだ。