安価な本マグロ

2019年12月07日 12時53分14秒 | その他のかけら

12月3日の『ガイアの夜明け』
とても興味深い内容だったので、
その一部をリミックスしてご紹介します。

毎年6月頃になると、
スーパーに国産の本マグロが並ぶ。
普段、売られているマグロと比べるとやや高いが、
「本マグロ」でしかも「国産」と考えれば、
かなりのお手頃価格だ。

だが、安いものには必ず理由がある。

あれは、豊洲や築地の市場で、
買い手がつかなかったマグロなのだ。

というのも、
6月は本マグロ=太平洋クロマグロの産卵期。
栄養はすべて卵に行くために、脂のノリは悪い。
要は、美味しくない。
だから、買い手がつかず、売れ残る。

では、なぜそんな美味しくないマグロを獲るのか。

産卵期、太平洋クロマグロは日本海に集まる。
普段は高速で泳ぐマグロだが、
この時期だけは泳ぐ速度を落とし、群れをなす。
だから一気に獲ることができるのだ。
アジやサバを獲るのと同じように「まき網」で。

今回、番組で取り上げるまで、
太平洋クロマグロをまき網で獲っているとは、
僕は知らなかった。
まき網漁をしている大手水産会社が取材を受けないため、
この事実は、あまり知られていない。


大間など、沿岸部で一本釣りや延縄漁をやっている漁師によると、
近年、マグロが獲れなくなっているという。
彼らはまき網漁がその一因であると考えている。

一方、水産庁によれば、
漁獲制限を設けているので、
まき網漁によってマグロの数が減ることはない、
むしろ今後は増えていくと言っている。

確かに、
同じように産卵期のクロマグロを巻き網で獲っている地中海では、
クロマグロの数は増えている。

しかし両者にはいくつかの違いがある。

日本の場合、獲ったらその場で船に揚げてしまう。
しかし地中海の場合、まずは巨大な生簀に移し、
蓄養する海域まで、二週間かけて運ぶ。
その間、マグロは産卵することが可能なのだ。

(マグロのサイズに関する制限も両者では異なるが、
 長くなるので略します)

日本海のまき網漁が、
近海の太平洋クロマグロが減っている原因である、
というエビデンスを示すことは困難だろう。

この事実からどう考えるか。
それは読んだ方に委ねる。

ただ僕が思うのは、
どんなものにも適正な価格があり、
それを大きく下回る場合=安価な場合は、
どこかに何らかの悪しき負荷がかかっている、
ということだ。

安けりゃいいってもんじゃねーですよ。