『大辞林』によれば「ト書き」とは
「脚本で、せりふの間に、俳優の動き・出入り、照明・音楽・硬貨などの演出を説明したり、指定したりした文章」
とある。
この説明文からイメージするのは、せりふから行間を空け、文頭を数段下げて記される、
あの「ト書き」だろう。
だが、戯曲を読むと、他にも、せりふ中に( )で表記されているト書きがある。
このト書きを指す演劇用語があるのかどうかは知らないが、
ここでは仮に「せりふ内ト書き」と呼ぶことにしよう。
この「せりふ内ト書き」が気になったきっかけは
『修道女たち/ケラリーノ・サンドロヴィッチ』を読んでいた時である。
単純にこう思ったのだ。
「(せりふ内ト書きが)やけに多い」
しかしこの時点では、あくまで印象に過ぎない。
本当に多いのかどうか。
そこで今回、適当に本棚から抜き出した4作品で「せりふ内ト書き」の数を数えてみることにした。
その4作品とは、
『ロマンス/井上ひさし』
『天才バカボンのパバなのだ/別役実』
『ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン/松尾スズキ』
『修道女たち/ケラリーノ・サンドロヴィッチ』
とはいえ、各作品、そもそも長さが異なるし、全編数えるのは大変だ。
そこで中程の、会話の多そうな部分10ページを抽出し、数えてみた。
各作品のせりふ内ト書きの数は、
『ロマンス』:30
『天才バカボンのパパなのだ』:27
『ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン』:11
『修道女たち』:45
印象は間違っていなかった。
そして、数えているうちに、「せりふ内ト書き」が分類できることもわかってきた。
その分類の詳細、分類した時の各作品の傾向などについては、今後また書くかもしれないし、書かないかもしれない。
とりあえず今回はここまで。