南欧と鳥居

2021年01月15日 08時48分18秒 | コメディのかけら
我が家の近くに、
南欧風の住宅が並ぶ一角がある。

10戸ほどの同じようなデザインの住宅が、
共用の広場を並んで建っている。

敷地全体は柵で覆われ、
その入口には門も設置されている。

そういうスタイルの建売住宅だ。
世田谷の住宅街では、しばしば見かけるスタイル。

だが、我が家の近くにあるそれは、
前に行くと、目が止まる箇所がある。

門の手前、右手、
エリアのファザードともいえる目立つ場所に、
小さなお社があるのだ。
お社の正面には、かがまないとくぐれない小さな赤い鳥居がある。
背後には、立派な枝ぶりの松の木もある。

赤い鳥居の背後にある南欧風の住宅。

ものすごい違和感だ。

どうしてこんなことになっているのだろうか。

おそらくその場所には、広いお屋敷があった。
その跡に、南欧風の住宅を造ったのだろう。
お社や鳥居や松は、かつてお屋敷の庭にあったものだ。
我が家の近くの広い庭を持つ家は、その庭にお社がある家が今も多い。

お社を移すということは考えなかったのか。
先祖代々の土地だから、移すのを拒んだのか。

しかし土地を売ったのであれば、そんなことはできないのでは。
ならばあの一戸建ては、賃貸なのか。

そもそもあの住宅に住んでいる人たちは、どう思っているのか。

疑問や山のようにあるが、
この違和感ある眺め、僕はけっこう好きなのだ。