今回の台風による 「記録的豪雨」 は、広い範囲に甚大な被害が出てしまった。
ニュースはずっとこの話題ばかり、思わず苦い記憶がよみがえってきます。
多分、平成2年か3年の事。
最初の三菱ジープを買って有頂天だった時、柏尾川の氾濫に巻き込まれました。
その時の記録が NIFTERM(Niftyのパソコン通信)に 少し残ってました。
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ここFCCVの10年近く前のLOGに残っているかもしれませんが、最初の
ジープで友人宅からゲームを運んでいる時、折しも台風直撃でした。
自分では高台を選んで走ってるつもりだったのですが、その土地の
上流の堤防が決壊し、国道は水深60cm程の流れのある川となったことが
あります。
私のジープは電装系の一部(室内ランプ)が被害を受けただけで走行
が可能でした(1速で四駆、メータ読みで時速8km)。
もっとも、足のクルブシまで水に浸かっての運転です(車内は浸水)。
日が暮れてジープのヘッドライトは水中を、ハザードも水中で点滅し
てたのを覚えています。
数十分に及ぶ水中走行は改めてジープの底力を思い知らせてくれました。
その時、乗用車はウィンドウまで水深があったので全滅。
バスやトラックも含めて動いていたのはジープを含む3台の四駆だけ
でした。
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これが2002年の書き込みなので、それから10年ほど前の水没でした。
場所は長谷の大仏を過ぎた県道32号沿いのコンビニ。
後に平行する柏尾川は歴史的に猛威を振るい続けている、大水害を
繰り返す場所と知るのですが…。
この時、コンビニで一休みしてると、今まで走ってきた県道がみるみる
増水(流れが凄い!)し、乗用車が次々と流され出した(汗。
あっという間に川と化した中、辛うじて水の無い藤沢駅手前まで長時間
の水中走行を強いられました(ほとんど潜水艦…)。
足元の「水抜き穴 詮」を抜き浸水させ、前輪を繋いで 「四輪駆動」
にすることで、辛うじて走行できました。
二輪駆動にすると、水流に方向を乱され走行できなかった(怖。
室内に水を入れたのは、車体が水深で浮き始め、タイヤが地面から
浮き出したため。
これができない乗用車は、既に水圧で開かないドア、電装が飛んで
動かないパワーウィンドウで 「密室」 に乗員を閉じ込めたまま、何も
成す術なく流れて行くのを何台も見送る事に…。
ヘッドライトが完全に水没(あの高さでも)しても切れなかったのは
シールドビーム(巨大な裸電球みたいなもの)だったのが幸いした。
ハロゲンや最近のHIDとかだったら間違いなく壊れてました。
周りは流木や強風で飛ばされたあらゆる危険物が流れてます。
ガン! ゴン! と車体に何かが当たったり、急にタイヤが何かを乗り越え
たりする。
日没と停電の闇の中、見えない怖さが半端なくて(涙。
エンジンが止まらなかったのは、偶然と幸運が重なったから。
クロカン四駆ブームの兆しが出始めた頃で、川にザーン!とか飛び込
んで動けなくなる車が続出し、自身のジープも吸気構造を何度かチェック
してたのが役立った。
私のジープ(昭和56年式のJ54)は、ボンネットの前端裏から空気を
吸ってました。
跳ねて来た水を吸わないよう、更にボックスの中から空気だけを吸い易い
よう工夫されてるあたり、軍用車をルーツに持つ優れた構造です。
万が一水が少量入っても、寒冷時に排気管から熱を上げて暖気を早める
バルブが「下向き」にあり、その隙間から下に排水します。
ボンネットの前半分が水没しても、エンジンルーム内には気室が残るため
回転をおさえる事で、ウォーターハンマーを回避できるギリギリでした。
エンジンが「ディーゼル」だった事も幸いに繋がった。
ガソリン車は「排圧」が低いため、回転を落とすといとも簡単にマフラーから
水が入ってエンジンが止まります。
最近流行りのダウンサイジングターボも、恐らく基本排気量が小さいから
水の中で迂闊に回転を落としたら一気にダウン、再始動不能ですね、きっと。
「マフラーが水没する深さになったら走らない」、これが自分の中の基準
となったのも、この時の経験からです。
あと、タイヤの外径もこうした水害で大きな差が出るのも目の当たりに。
径の小さいタイヤだと、完全に水没するとほとんど推進力が出せない。
大きなタイヤで、上部が水の上に出ると、オールを漕ぐような効果があるのか
僅かずつでも進めるみたい。
ジムニーがもがきながら進んでる所で、エンジンが生きてても他の軽自動車は
みな動いて無かった。
こんな経験からの「認識」なんて、無い方が幸せです、絶対に。
でも、災害多き国に住む中、意外と危険な方向に私たちの乗る車が進んでる
様に考えさせられるものがあります。
少なくとも、昔の 「ハンドル式ウィンドウ」 が窓の1枚にでも残されてれば
「密室」で流されたとしても、最後の「脱出ハッチ」として 乗員の命を繋ぐ
可能性が残るのにと、今回の水害映像を見て少々悔しくなりました。
開閉式サンルーフも、こうした異常事態では有効かな。
「何が人に優しい車作り」 なのか、常時だけでなく、非常時も含めてメーカー
が頭をひねる事ができたら、もっともっと安全・安心なものができるかな?
「命」 を運ぶのが 「車」です。
車を 作る側も、使う側も こうした災害を次に生かす事で、被災された方々の
苦労が報われると信じたい。