田所さんのブログにコメントしていて、ふと気づきました。
「義務」には、2種類あると。
- 法的義務
- 社会通念上の義務
「義務」は、手持ちの辞書(三省堂 新明解国語辞典 第四版)によると
「その立場にある人として当然やらなければいけないとされている事」と定義されています。これより一歩踏み込んだ、解釈です。
例えて言うなら、
給食費をはらうことは、明確な法的根拠を持つ「法的義務」。
学用品代をはらうことは、法律の明文規定はないけれども、社会的にみとめられた「社会通念上の義務」。
…と、解することができそうです。
学用品の保護者負担に関しては、最高裁判例( 昭和38(オ)361「義務教育費負担請求」)が出ています。これはもともと教科書費用負担をめぐっての裁判だったようです。リンク先のPDF(直リン注意)から、関連する部分を引用します。
*** 憲法解釈と、教育基本法解釈 ***
憲法二六条二項後段の「義務教育は、これを無償とする。」という意義は、国が 義務教育を提供するにつき有償としないこと、換言すれば、子女の保護者に対しそ の子女に普通教育を受けさせるにつき、その対価を徴収しないことを定めたもので あり、教育提供に対する対価とは授業料を意味するものと認められるから、同条項 の無償とは授業料不徴収の意味と解するのが相当である。そして、かく解すること は、従来一般に国または公共団体の設置にかかる学校における義務教育には月謝を 無料として来た沿革にも合致するものである。また、教育基本法四条二項および学 校教育法六条但書において、義務教育については授業料はこれを徴収しない旨規定している所以も、右の憲法の趣旨を確認したものであると解することができる。
*** 学用品について、上記の解釈をうけて ***
それ故、憲法の義務教育は無償とするとの規定は、授業料のほかに、教科書、学用品 その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものと解することはできない。
*** 学用品を無償化するには、立法措置が必要 ***
もとより、憲法はすべての国民に対しその保護する子女をして普通教育を受けさ せることを義務として強制しているのであるから、国が保護者の教科書等の費用の 負担についても、これをできるだけ軽減するよう配慮、努力することは望ましいと ころであるが、それは、国の財政等の事情を考慮て立法政策の問題として解決すべ き事柄であつて、憲法の前記法条の規定するところではないというべきである。
*** 引用以上 ***
現在は教科書は無料になっています。
これについては、文科省サイト「教育基本法資料室へようこそ!」にて、「現在は教科書無償措置法等により、義務教育段階においては国公私を通じて教科書も無償」と確認できます。