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彫刻刀の砥ぎの基本

2024-01-15 16:12:16 | 文章

1月15日(月)、小雨がち。

コメントで「彫刻刀(版木刀)」の砥ぎ方で、質問がありました。
コメントでは、どのような不具合が生じているのかは分かりかねますが、砥ぎ方の基本について述べておきます。

先ず、砥石ですが、どんな砥石をお使いでしょうか?
砥石は、目の粗さが少し粗い(そう粗くはない)「中砥」と、細かい「仕上げ砥」の2種類を用意します。(刃物の形を変えるときは「荒砥」)
ポイントは砥石の面が真っ平になっていることで、この点が基本中の基本なのですが、上手くいかない人には分かっていないことが多く、研ぐ面を真っ平にするには砥石を二つ擦り合わせて、真っ平にします。
(真っ平でなければ、上手く砥げません)
砥ぐ面を真っ平にして、それに水を常にかけながら、彫刻刀を右手で軽く持ち、左手の第2指の先を刃物の裏側に当てて、前後にするわけですが、ここで、問題がいくつかあります。

まず第1は、力を掛け過ぎないことと、ぐらぐらさせないことが大切です。
砥いだ刃先が真っ平でなければいけないのですが、刃の手元をぐらぐらさせて擦ると、刃先の面が真っ平らにはなりません。
(軽く持つことも重要)
何事もそうですが、早く済ませたい(砥ぎたい)と力を入れすぎると絶対に上手くはゆきません。

第2は、出来るだけ砥石全体を使う気持ちで、広く使うこと。
これは、同じところばかりで擦っていると、その所だけ砥石面が凹んでしまいます。その時は、初めに戻って、砥石をもう一度真っすぐ平らにしなければなりません。

第3は、彫刻刀の裏の面ですが、これこそ真っ平でなければなりません。ですので、余り触らないで買ったままの状態で、無暗に触らず、そっとしておくのが賢明です。

このあと、仕上げ砥石で軽く砥ぐことで、仕上がりとします。

以上ですが、近くに、腕の良い大工さんや床屋さん、魚屋さんかいれば、実際に聞いたり、教えてもらうと良いでしょう。

ところで、コメントの内容は、版木刀の研ぐ角度に関することかもしれませんね。
そこで、追記します。
砥ぐ角度は、刃先の角度と、厚みの角度とがありますが、これは、彫る素材の堅さに関連します。
普通、刃物店では、桜とか朴木など比較的やわらかな木を彫ることが多いので、それに合うような角度にして売られていることが多い。

それに対して、ツゲの場合はネバリ強く堅いので、それぞれの角度は、やや緩やかと言いますか、
厚めに砥いだ方が良いわけです。
厚めだと、刃先の摩耗が少なくなるし、彫る力も必要で、そのためには厚めに砥いだ刃が折れにくい、と言うことにもなるわけです。
その辺は、自分に向いている角度というものが有って、それは、自然にそうなるものだと考えてくだされば良いわけで、それには年期と言いますか、時間を要することかと思います。

コメント
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