郡山市からの切り絵のグループが帰ったあとは
まったく予定のない日なので
「鶏手羽と里芋の煮込み・ベンベ風」を作る。
明らかに我流の創作料理でレシピもなく
ひらめくままの一発勝負もの。
ところがこれが旨い!
〈旨いものが食いたい〉
この思いこそ料理の原点であり
その欲求が強いほど感性も腕も向上するというもの。
食べることに鈍感ではいけない。
美味しいもの珍しいものを食べた時の感動は
沢山の想像力が掻き立てられて
人生をより豊かなものにしてくれる。
小説家、音楽家など多くの芸術家が
食べることに関心をもっているのもよく頷ける。
〈旨いものが食いたい〉------
なにも贅沢をしようということではない。
僅かな創意と工夫さえあれば一個のイワシ缶が
ステキな一品料理に変身する。
缶詰から直接突ついて食べればエサであるが
器に盛り付け南天の葉っぱでも飾ったら
それはもう立派なアラカルトになるのである。
そしてなによりも大切なことは食材たちへの感謝である。
無神経に只、切り刻まれ食われるのでは
いのちを持っていた彼らも悲しむにちがいない。
手羽先には元気に駈け回っていた時のいのちがあり
里芋には根を張り葉を繁らせていた時のいのちがある。
美味しくなーれ、美味しくなーれと念じて調理すれば
それらのいのちが反応して本当に美味しくなってくれるから不思議。
寒き世へようこそいのち卵割る