老いも若きも男も女も
白い開襟シャツがまぶしく
ランニングを着たこどもらは
長い昆虫網をかかげ欅の木を仰ぐ。
静かな村がにわかに賑わって
墓場への道は
幼馴染みに出会うところ・・・・
墓碑に刻まれた先祖たちの享年を
手のひらで撫でながら
ぼくの知っている祖父も曽祖父も
人生の悟りをひらき
立派なお爺さんであった。
「おせんちゃん」と 母は周りの人々から慕われ
父は財を成し
叔父は幽玄の画風をととのえ。
それに比べて
すでに祖父の歳を越え
曽祖父の歳と同じになっても
未だ くだらない詩なんぞ書いている自分に
恥ずかしさを覚えてしまう。
ぼくは死ぬまで立派なお爺さんにはなれそうもない。
背中に覆いかぶさってくる大勢の御霊たち、
一年ぶりの里帰り。
・・・・・・さあ帰りますよ。
上空ではトンボの数がふえている。
箸を置き黙祷八月十五日