ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

言葉たち

2011-08-28 11:46:12 | 日記・エッセイ・コラム

陽ざしはすっかり秋めいて
ゆうべは初めて虫の声を聞いた。

ぬるま湯に浸り
でんわでの会話をあれこれ反芻していると
湯屋の外でコオロギが鳴く。
 ちろろ ちろろ ちろろ
未だ鳴き声も弱々しく 音程もしっかりしないが
満月の夜の本番にむけて
これから懸命にリハーサル。

湯音を立てぬよう
しばしコオロギに心を移す。

とある友人に
産みたての詩を送ったところ
「どうしてこんな不気味な作品を・・・」 と
お叱りを受けた。
そう、私の奥には少年期の
記憶の闇が渦巻いていて
そこから言葉たちが外に出たがるのです。
わたしの意思と離れて
陰翳のにおいを引きずってくるのです。

     遠花火尽きし山の端闇深む