2021/04/16
政府は13日にトリチウムを含んだ処理水の海洋放出方針を決定しました。
ゆるキャラのようなものを作ったりして、批判を浴びてすぐに削除しましたね。このあたりの発想は、一般市民とかけ離れすぎていて想像もつかないけれど。
トリチウムって何だろなと思って調べると、東京新聞では、
〈トリチウムは三重水素と呼ばれ、自然界にも存在する。放射能を帯びた水素で酸素と結合してトリチウム水になり、普通の水と分離するのは技術的に難しい。放射線(ベータ線)は比較的弱く、人体に入っても大部分は排出され、影響は小さいとされる。放射能は約12年で半減する。〉とあります。
それほど危険でないような書き方です。
こんな論文もありました。
岩波書店『科学』という雑誌に載った牧田寛氏の文章。
海洋放出する「トリチウム水」というのは、本当にトリチウムだけの水なのか。他の放射性物質は一切入っていないのか。
論文なので固いです、素人にはわかりづらいですが。
https://www.iwanami.co.jp/kagaku/Makita202002suppl.html
一部を転載させていただきますと、
「トリチウム以外の複数の核種について、環境へ放出する基準である告示濃度を数倍から 2万倍上回り残留するものが75% を占めており 、科学的にも工学的にも「トリチウム水」と 呼称することは根本的な誤りであり きわめて非科学的で不誠実な詐術と断言できる。」
・・・・・
また、米学術誌サイエンスに掲載された論文(4月13日付)
「12万人以上が加わる世界最大の科学者団体「米国科学振興協会(AAAS)」傘下の米学術誌サイエンスは13日付の掲載論文で、「ALPS(多核種除去設備)処理のプロセスでは、トリチウム以外にルテニウム、コバルト、ストロンチウム、プルトニウムといった、より放射性寿命が長くて、より危険な同位体が時折くぐり抜けてしまう。これは東京電力自体が2018年に認めたことでもある」と指摘している。こうしたトリチウム以外の核種は貯蔵タンクの71%に存在するという。」
・・・・・
このトリチウム水の放出というのは、今回の福島が初めてではないようですね。他の原発や再処理施設では、かなりの量を流していたようです。
「経済産業省によると、福島第一原発の処理水約125万トンに含まれるトリチウムは約860兆ベクレル。事故前は年間約2.2兆ベクレルを海に放出していた。
福島第一と発電方式が異なる加圧水型の関西電力高浜原発(福井県)などからは、年間18兆~83兆ベクレルを放出している。韓国の古里原発では、2016年に約45兆ベクレルを海に放出した。
再処理施設では、桁違いに増える。フランスのラ・アーグ再処理施設では1年間の排水に含まれるトリチウムは1京(1兆の1万倍)ベクレル以上。日本でも青森県六ケ所村の再処理工場(建設中)は試運転をした3年間で2150兆ベクレルのトリチウムを海に流した。」(東京新聞)
東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/article/97890
こういうことは知りませんでした。
「飲める」と言った政治家もいます。
〈麻生太郎財務相は16日の閣議後記者会見で、東京電力福島第1原発の処理水に関する自身の発言に中国側が不快感を示したことについて、「世界保健機関(WHO)基準の7分の1まで(放射性物質トリチウムの濃度を)希釈してある。飲めるんじゃないんですか。普通の話だ」と述べた。〉(JIJI.COM)
こういう発言に対しては、「じゃあ、飲んでみて」と言いたくなりますよね・・・どこかの記者さんも言ったそうですが。