はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

ほんとうに勝つということは

2021年04月20日 | フィギュアスケート

2021/04/19

 

羽生選手は世界選手権で3位、先週の国別対抗戦でも2位でしたが、本当に勝つということはどういうことなのかと、ここのところ、ずっと考えていました。

人の心を動かす、印象に残る演技、曲の世界観を表す、自分らしさも表現する、ということを考えると、やはり羽生選手が一番だったと思わずにはいられません。

フィギュアスケートで何を伝えるか、ということを突き詰めている演技だと思うのです。

本当に勝つのは、点数の高い順ではないと思います。

高難度のジャンプを多く入れれば、点数は上がります。

ジャンプを確実に回って着氷するためには、ジャンプに集中する必要があります。ジャンプの軌道と姿勢に全神経を集中していれば、確実に跳びやすくなる。

ジャンプに入る前に、他の動き・・音楽性を表現する動きや、演技的な動きは入れないほうが集中できて準備もできるというものです。

羽生選手のショート『Let Me Entertain You』、フリーの『天と地と』を見ると、さまざまな動きが最初からずっと盛り込まれ、こんなに動いて演技をしていたら、ジャンプに集中するのは難しいだろうと思うくらいです。

さまざまな動きを多くすれば、演技後半の疲れも大きくなることでしょう。

ジャンプだけに集中していたらもっと簡単に勝てるかもしれない。でもそうしないのは、彼のスケートに対する誠実さと矜持でしょう。

フィギュアスケートは単なるスポーツではない、人に感情を伝えることができるスポーツだと思っています。

フィギュアスケートの未来を考えた時に、どこまでもジャンプが高難度になっていくことはできない、人の体は壊れてしまう。それはスポーツの本来の目的ではない。

楽器演奏でもそうですが、超絶技巧で指がまわる、すごい高い声まで出せて歌えるというのは、感心するけれど、心を打つのとは違う。

だとすると、伝えられるものって何だろう。芸術といわれるもの、人間性と称されるものになるのかなあと思うのです。

ほんとうに勝つというのは、順位や点数とは違うところにあると私は思っているのです。

 

 

 

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