顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

すっかり秋、身近な花たち…

2017年10月04日 | 季節の花

ツユクサが黄金の稲穂の脇で、豊作を祝っていました。
朝咲いて昼には萎むので、朝露を連想し「露草」と名付けられたとも言われています。英名の Dayflower も「その日のうちにしぼむ花」という意味です。

ストレプトカーパスはイワタバコ科で、同じ仲間のセントポーリア同様、室内での栽培鑑賞に適した花です。ラッパ状の花を次々と咲かせ、ねじれたコヨリのような実をならせるのが名前の由来で、ギリシャ語で「ねじれた=ストレプトス(streptos)」と「果実=カルポス(karpos)」から名付けられました。

シュウメイギク(秋明菊)は、古い時代に中国から伝来し、日本の気候に合いすぎたのか増えすぎて一部に野生化しているようです。キク科ではなくアネモネの仲間、英語ではジャパニーズ・アネモネと言うそうです。

シュウメイギクの花もいろいろあります。花の色によって、白の爽やかでさびしいイメージが、豪華で賑やかにもなります。(七つ洞公園)

スズランにかわいいい実がなっています。スズランは全草に毒を持ち、特に実は強い心臓毒を持つそうなので、特に注意が必要です。

イチイ(一位)は常緑針葉樹、刈り込んで生け垣などによく植えられます。種子は毒ですが実は食べられ果実酒などにも使われます。貴族が右手に持つ細長い板「笏(しゃく)」はこの木で作り、朝廷から官位の「一位」を賜ったことから「一位」の名前が付いたと言われています。(七つ洞公園)

コルチカムはユリ(イヌサフラン)科、球根や種子に毒性を持ちますが、栽培が簡単で庭に植えておくと、急に花が出てくるのでびっくりします。
和名はイヌサフラン、この場合の「イヌ(犬)」は役に立たないというような意味でよく草花に使われます。

スイフヨウ(酔芙蓉)、朝咲いた時は白く、時間とともにピンクから紅色に変わる様子がまるで酒に酔ってるみたいです。アオイ科の落葉低木、詩歌にもよく歌われます。(七つ洞公園)

最後に一つ、身近な花のホウセンカ(鳳仙花)ですが、大変珍しく日本でもあまりない種類だと先日水戸市植物公園で紹介されたものです。自然の造形の神秘を見る思いがします。(水戸市植物公園)

枯れつゝも秋明菊に景色あり  及川貞
手にのせて火だねのごとし一位の実  飴山實
酔芙蓉よりいささかの酔おくれ  能村登四郎
海女陸にもどれば母よ鳳仙花  福田蓼汀