顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

水戸黄門 by 武田鉄矢

2017年10月13日 | 日記
味のある役者として決して嫌いではありませんが、武田鉄矢の「水戸黄門」が始まりました。テレビの連続ドラマとしては、月形龍之介、東野英治郎のカッカッカッの笑い声、西村晃、佐野浅夫、石坂浩二、里見浩太朗と放送されましたが、今回は特に異質なキャスティングの気がしました。

以前森繁久彌がシリアスな役に取り組み始めた頃、それまでの社長シリーズや駅前シリーズなどの助平でコミカルな役のイメージが視聴者に染み付いていて、それを払拭するのに時間がかかったのを思い出しました。今回も2,3作になれば、独特のキャラクターで新しい黄門を演じてくれることを信じて期待したいと思います。

さて黄門というのは、中納言という官名の唐名で、水戸藩主11代のうち7人が権中納言になりました。色んな事情で4、5、7、11代は官名を世襲できなく、それでも7人の水戸黄門がいたわけですが、2代目の光圀公だけが一躍水戸黄門として有名になりました。

おなじみ『水戸黄門漫遊記』は幕末に講談師が創作したと伝えられ、助さん格さんは佐々助三郎と渥美格之進ですが、黄門こと光圀公が始めた大日本史の編纂局の彰考館には、佐々宗淳(通称は介三郎)、安積澹泊(通称覚兵衛)という学者がおり、特に佐々宗淳は全国各地に資料収集の旅に出ていたので、漫遊記のヒントになったのではと言われています。実際には光圀公は領地内の巡遊が殆どで、遠路は鎌倉までだったようです。

晩年隠居した常陸太田市の西山荘には、机に向かっている光圀公がおりますが、なんとも上品で気高い感じで、無垢な人形には先入観はなく、どんな役者もかなわないと思いました。