ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
連載中!

激動する自動車関連ビジネス

2008年04月30日 09時10分42秒 | Weblog
首都圏では元売各社の子会社によるSS展開が急速に進行中です。

カーディラーによる「カーリース契約販売」も凄いスピードで進んでいます。
オートバックスやイエローハットなどのカー用品店の過当競争。
そしてタイヤメーカー各社による「タイヤセンター」の新規開設の急増、などなどカービジネスは専門店化と細分化により厳しい競争にさらされています。

特に、中古車市場は激戦となっています。
インターチェンジの近くにはオークション会場もあり、最近の中古車屋さんは見込み客からの要望に応じて随時好きな車を予算に合わせて落札してくるわけです。

それにしても、ディラーの中古車センターから一般業者までバイパスに並ぶ中古車展示場の車の台数と来たら凄いものです。私も仕事で全国を巡回していますが群馬の高崎、前橋ほど中古車屋さんが並ぶ地域は少ないですね。東京の世田谷や練馬などより多いようです。

このような地域ですから、SSの油外収益確保も難しい。
必然的に洗車が中心となるはずですが、最近では新しい形の「洗車センター」まで
出来ていて価格と質の競争です。

ですから、消費者はセルフSSで給油して、それぞれのニーズに応じて専門店を選ぶといった事になります。

ところで、当社へも某自動車メーカーからの「カーリース販売」の資料が来まして驚いたのは、車検費用込み、オイル交換、タイヤ年間8本、バッテリーから整備部品まですべて込みで、必要なのはガソリン代と任意保険だけという販売契約内容です。
ウィンドウオッシャー液からバッテリ-液まで無料ですから、これではSSではガソリンを入れるだけですね。

一般的には既に当たり前のことのようなのですが、私は驚きました。
個人でも期間を決めて中古車としての査定価格を見込んだこのような車両購入があるのだそうですが時代は変わったものです。

これを見たらSSで油外収益なんてなにもなくなってしまいそうです。

SSビジネスも店頭ガソリンと洗車だけで収益確保をするとしたら改めて大変な事になりそうですね。

ですから、一般SSとしては灯油配送や「ミネラル水」の宅配やら「配送・外販」に活路を見出しているところが増えているのでしょう。

ガソリンだけで商売できるのは値幅の持てる元売子会社や大手商社直営のセルフSSぐらいでしょう。

エネルギー転換が進み、灯油の消費量が落ち込んでいるなどの報道もあり一般業者で灯油配送から撤退している企業もあるわけですが、実態としては大手ディラーでは逆に「灯油配送」を切り口にしての外販ビジネスの展開が進んでいる訳で中古の灯油ローリーを買い集めているところまで増えています。

情報が溢れているようで、実は少ないのが石油業界のリテール部門なのです。
最近、石油業界紙の記者さんが何人も取材で来訪しますが、いずれも「厳しいですね・・・・」で始まります。

今日は特別な日ですから、各SSに車が並んで盛況となるはずです。
しかし、不毛なビジネスとならないように祈るばかりです。

当社としては、世に必要とされる限り石油ビジネスの「本質」に迫るソリューション開発を忠実に進めてまいります。

当面は全国の軽油税特別徴収義務者のための「D-TAX」構築に傾注して御役に立ちたいと考えています。

最新バージョンは全石連富山総会の「SSビジネス見本市」に展示する予定です。
是非ご覧ください。

これからも、お客様と「石油ビジネスの未来」を模索しながら歩んでいく所存です。
よろしくお願いいたします。

本格的スタグフレーションの時代と石油ビジネス

2008年04月30日 04時45分27秒 | Weblog
原油価格はまさに天井知らず、しかも資源を持たない我が日本国では現状全く手も足も出ない状況です。

少し前まで経済的にも不安定であったロシアなども現在では産油国としての豊かさを享受できる時代となっています。

サブプライムローンによる米国経済の低迷によるドルの信用不安。ドル建ての原油価格は当然暴騰しています。
構造的に米国経済に追従してきたわが国の経済もコストアップの波に飲み込まれ、諸物価の高騰はすでにご覧のとおりです。

世界的な環境問題への取り組みや品質管理で日本の製造業の生産コストはさらにアップすると言われており、厳しい国際競争力にさらされています。

平均給与も低迷ですから、
まさに『高物価、低所得時代』の到来です。

インフレではなく、デフレでもない。
両方の悪い部分が複合的に絡み合った本格的な「スタグフレーション」の時代が到来したのです。

かつてのオイルショック時には、物価上昇の主要因となる石油製品を取り扱う石油業界は「諸悪の原因」などと批難され政治や消費者からトバッチリ的な批判にさらされたこともあるわけですが、今回は少しばかり様相が違っています。

今回、石油業界は政治不在により被害者的な立場に置かれています。

第一次、第二次オイルショックの際にもSSに消費者の車が並び「品切れ、売り惜しみ」と批判にさらされましたが、現実は本当に一時的に需給バランスが狂ったための一時的な混乱であったといえます。

しかし、今回は税制による政治的な混乱が原因で車が並んでいるわけですから石油業界が非難される要因は全くないわけです。

今後予想される慢性的な原油価格高騰の中で、資源を持たない我が国の石油業界がどのような道を辿ることになるのか・・・・・?

今日も日本のガソリンスタンドには車が並ぶことになるはずです。
しかし、過去のように消費者による需給不安で並ぶわけではありません。

日本の政治的な混乱による「揮発油税暫定税率問題」が原因なのです。
まさに、政治的要因による需給の混乱なのです。

こんな状態で、日本の政治は本当に良いのか?

日本の石油ビジネス、エネルギー政策は一体どうなるのか?

本当に気になります。

この一ヶ月間の騒ぎは一体何だったのか?

被害者は消費者である国民と石油業界です。