なぜ、私たちは「原発がクリーン」だという話に騙されてしまったのか。その理由をしっかり勉強することをせずに、テレビや新聞からまた無批判に情報を得て信じ込んでいて大丈夫なのか。「原発プロパガンダ」(本間龍:著)は、しっかり騙された理由を検証して、私たちがもう騙されないためのヒントもくれている。
でも、「基本的には、お金が人を動かした」ということだ。
全国を覆う巨大メディアと地方に根ざしたローカルメディアを巧みにフル活用して、「原発は安全で不可欠なシステム」という考えを浸透させようと、圧倒的な巨資が投じられたのだ(約40年間で2兆4000億円)。ソニーやトヨタなどのグローバル企業でさえ国内単体の広告費では年間500億円程度⇒40年で2兆円?それに匹敵する広告費が、ローカルな電力9社から出された。なぜそんなことができたのか。
競合会社がなく宣伝を必要としないのに、広告費を使ってきたのは、チェルノブイリ以前からも事故などがあり、国民の原子力に対する警戒心を解き、原発建設を可能にするためだ。反対勢力の声を小さくするためだ。そして、それを可能にしたのは、(通常企業なら赤字が出れば、広告費は抑制されるのが、当時電力は独占企業だったため)だ。広告費を原価に計上した電気料金が設定できるため業績に関係なく予算を使えたのだ。当然ながら、その巨大な広告費は、消費者の電気料金から払われて続けていた。
でも、そんな巨額を投じられたのに「刷り込み」された印象が国民に無自覚だったのはなぜか? 本来は警鐘を鳴らすべきだった報道機関(新聞、テレビ)が、潤沢な広告費で経営を安定できるために、その多くが原発推進側の共同体となり下がってしまったこと。原子力ムラを報道機関が批判できなかったからなのだ。
*お金の怖さ。何だか、最近これには身につまされる。Go to キャンペーンで割り引き、返金、クーポンに人が動く、経済を回すと繰り広げられた狂騒曲。結果は、冬場の乾燥も手伝って、コロナ感染者の急激な上昇。今も変わらない。お金が人を動かすという現実。
そして、この本を読んでいて1番怖いと思ったのは、(プロパガンダの中心的組織がどこかひとつあったのでなく、自民党、官庁、電力会社、広告代理店・・・原発推進にこの40年で原発プロパガンダに参画した人の数は数千、数万人規模。多すぎて直接責任を問うのは困難。そして、本人達の自覚もない? 自覚がなければ、過ちは繰り返される。それは、世界大戦中、日本だけが内閣が頻繁にかわっていたのに似て、「原発推進」のテーゼは不変。推進する人は変化して、無責任、無自覚なまま進んだというところ)という指摘だ。
* 事実、小泉元首相が「自分も騙されていた。原発がクリーンなんて嘘だった!」と反省をこめて再生可能エネルギーを推薦するため全国を行脚している。戦争中に隣組や、愛国者が戦争推進者になったのと同じだろう。間違ったエネルギー政策を推し進めた推進者が、「知らなかったから許される」ということはない。その意味で、自分の責任をとろうと努力している小泉氏は誠実といえる。そして、今も「脱炭素社会を2050年に実現」といいつつ、平然と福島原発事故の反省もなく再稼働をもくろむ人たちが首相や与党の中心に居続けていること。この無自覚、無反省は、どうしたことか! そんなことを許していいのか。これを止められるかどうかは、国民が、自分たちの接している情報の仕組みに気づき、その怖さと向き合う行動を今後とれるかに否かに掛かっている。誰かが、悪意に満ちて国民を騙しただけでなく、(推進した人自身も無自覚に信じて加担して拍車をかけたことこそが怖いのだ)。そして、過去の過ちに学ばない人間は、また同じ過ちを繰り返すしかない。過去に目を覚ませなかったのなら、次にさらに最悪な原発事故が起こらない保証はない。
本では、原発推進に加担してきた有名人は誰か、騙すためにどんなテクニックが使われたのか。新聞やテレビには広告掲載の規制があり、貸金業や賭博広告と同様に原発広告も規制されていた。それが、オイルショックで広告費が削られる中で、原発広告に道を開いた新聞社があり、それに他も追随していったこと。それでも、広告と記事は別ものと頑張ってきた新聞社もあったことなど、具体例もたくさん載っている。
最初は、原子力のコメンテーターは、高木仁三郎のように反対派が多かったこと。その巻き返しのために推進派があらゆる知恵をしぼり、巧みな戦術を展開していったことも窺われる。原子力に好意的文化人をマスコミに推す、育成もしていった様子。原発広告が軌道にのってくると、反対派有名人のメディアからの排除が始まったこと。子ども達の取り込みを図るため、小中高校に向けテキストを無償配布して原子力発電のポスターコンクール実施をしたこと。報道番組は視聴率が低く(報道ステーションは別として)、スポンサーが付きにくい。その時間帯を電力会社が引き受け、ニュースに影響を与えたなどなど。巧みな戦術の具体例も。
そして、2011年に東日本大震災に伴い福島原発事故が起きた。昨日のブログで、実はすでにフライングで書いておいた天野氏の「やせ薬の広告がインチキだったとしても『ウソツキ!』『ごめん』でまあ済みますが、チェルノブイリ級の原発の事故が起きたら日本は壊滅ですから、『ごめん』ですむ問題じゃありません」とはっきりと警告を発した言葉、高木仁三郎さんの挙げた数々の話に耳を傾けることなく、悲劇を起こしてしまった日本。
しかも、この福島原発事故の発した警告を深刻に受け止めたのは、ドイツとか欧米だった。当事国の日本はというと・・・原発プロパガンダがすっかり影を顰めるところがか、2015年には再び「原発安全神話」がゾンビのように蘇り、再稼働のために復活する。
「CO2削減のためにも再稼働が必要」との説明を持ち出しているが、著者は「日本のCO2排出量は世界の4%。は国家存亡に拘わった福島事故から考え(この説明は)おかしい」とバッサリとその考えを切り捨てる。CO2以上に人間の生死に関わる放射能の大量放出、トイレのないマンション、原発事故の悲惨さ目の当たりにした日本の政治家のこの無神経さに、私は怒りを感じ、腹が立つ。
では、こんな「嘘のプロパガンダ」を前にして、皆がふたたび騙されないためには、どんな情報を頼ればよいのだろうか?
実は本間龍さんを知るきっかけになった「岩上安身氏の”IWJ”」というサイトも参考にすべき情報として紹介されていました。また、OurPlanet-TV(白石草)のような知らなかったけれど、今後見てみたいと思える情報なども載っていた。読んだ時、見落とさずにチェックして見て下さい。
*私の知らない情報については、責任を持ってここに書けないので、私の使っているよい情報源を追加しておきます。Choose Life Project、と LITERA です。
さて、今日は夫が歯が欠けてしまったというので歯科医へ同伴。結構時間がかかり、外にでると空はもう暗くなっていて、月がちょうど火星と、土星・木星ペアの真ん中にいて、「両手に花」の楽しそうな風情で私を見下ろして待っていました。でも、残念。カメラを持っておらず、携帯写真ではうまく撮れず、帰宅してみたら月のみが雲の中で「お帰り。お疲れ様」と言ってくれました。
雲の中からよく会いに出てきてくれましたねぇ~~~「有り難う!お月様」。写真を撮ったら、どうにかしっかり撮れました。
*済みません。最初アップした時、間違えて前日の月をアップしてしまっていました。23日の月と入れ替えました。
そして、時間が少し経つと、火星まで加勢して、「こんばんわ~。明日は僕たちもっと近づくからね」と声が聞こえました。
さあ、明日は月が火星に近づきますよ。晴れているといいですね。さあて、どの位近づくかな?
今日も大きな地震もなく、無事に終えることができたことに感謝して。明日もいい1日でありますように。