このブログのひとつ前に書いた<アオサギのこと調べるなら「アオサギを議論するページ」>でご紹介した松長さんが、
日本野鳥の会千葉県支部の書いたかなり昔の報告ですが、これを見ると1981年時点で県内に15ヶ所のコロニーが確認されているようです。当時と現在とではコロニーの分布も規模もかなり違っているとは思いますが、現在、県内にコロニーがひとつもないということはたぶんないのではないかと。行徳など一部のコロニーでは、以前、かなり大規模に脚輪を用いた標識調査も行われていたようです。
というコメントと共に、「千葉県におけるサギ類の生息状況調査」という情報資料も あとから追加で送って下さいました。
その一番最初に、「1980年に館山市でサギ類の大規模な有害駆除が行われて問題となったことで、調査が始まった」と書かれていて驚きました。館山で起きたとのこと、館山市出身の自然写真家・亀田龍吉先生ならご存知かもしれないと資料を添付してメールさせていただきました。
亀田龍吉先生は、『葉っぱ博物館』『街路樹の散歩道』(山と渓谷社)、『雑草の呼び名事典』『雑草観察ブック』(世界文化社)などの著書を30冊以上もつ自然写真家です。私が先生の本を手にしたのは、「バ-ドウォッチングを楽しむ本 (趣味の図鑑シリーズ 3)
すると・・・
「館山の城山のコロニーは、まさに私の野鳥写真のきっかけになったところで、射殺事件の4~5年前には週末になると撮影のため相模原から(当時まだ学生で相模原に住んでいました)館山の自宅にバイクで通っていました。その後就職してからは通えなかったのですが、射殺事件のことを聞いて、居ても立っても居られなく地元住民の話を聞きにいったのですが、その時聞いた野鳥の会と住民との確執から自分は中立の立場で客観的にことをとらえようと思いました。
さて、サギのコロニーですが、この館山のコロニーは当時遠洋漁業の基地になっていた館山港の餌用のイワシの生簀がサギが集まる原因でした。私は城山のコロニーを分散させるには、生簀に網をかけるなり、元を断つべきと考えていたのですが射殺事件には間に合いませんでした。
ここにはアオサギはおらず、射殺されたのはシラサギ類とゴイサギだったはずです。ここにかぎらず、関東地方のシラサギのコロニーにアオサギが混ざっているのを私は見た事がありません。
土浦のコロニーは一昨年から移動してしまいましたが、ここもダイサギ、チュウサギ、コサギ、ゴイサギ、アマサギ、時にアカガシラサギが入ることはありましたが、アオサギは一羽もいなかったはずです。
関東甲信越地方では、アオサギはあまり多くない単位で河川敷などの高木に巣をかけることが多いようです。
今は行徳のカワウのコロニーの糞公害が問題になっているようですね。カワウも昔からあちこちで繫殖しており、昔は千葉の大巌寺が有名でした。放っておいても糞で木が枯れれば、自然にコロニーは移動するはずですが、住民は待てないでしょうし難しいですね。なんとか鳥と人間がうまく共存できるといいのですが。
(亀田龍吉) *太線は筆者(felizmundo)が追加
北海道の松長さんが「近年は温暖化のせいか以前は見かけなかった他のサギ類も稀ではなくなりました。千葉県の場合はシラサギ類を主体にアオサギやゴイサギも混じった混合コロニーが多いと思います」と書いていたのと符号して、(アオサギが主流だった北海道に他のサギ類が混ざるようになった)というのは、本当に温暖化の影響かもしれない~)ということは、北海道のアオサギも他のサギに入れ替わり、アオサギたちはさらに北へ移動していくのだろうか?と思いました。
私としては、暑さが激しくなり、熱中症で亡くなる方のニュースをきく中で、やはり温暖化問題解決は人類の急務だと感じています。相手国を刺激するような軍拡に税金を使いうより、足下から揺るぎ始めている地球の環境問題にこそしっかり目を向け、お金や智恵を絞り、世界全体が力を合わせて本気で取り組んでいくべきと思います。
そして、市川市行徳のカワウの糞と悪臭が問題になっているとのこと。確かに以前よく湾岸線を車で走っているとき、群れで高速の上を飛んで行くカワウをみました。鳥、イノシシ、熊などが人間の居住地域にまで入るようになり、大きな問題になっていますが、地球に共に生きる人間以外のモノたちとの共存についても、これから考えていかないといけない問題ですね。
家族は大事ですが、個人、家族、国という枠を超えて、誰も落ちこぼすことなく幸せになる道を探す「SDGs:Sustainable Development Goals」(持続可能な開発目標)の理想にたどりつき、世界に広め始めていた国際社会が、「脱炭素」「エコ」「再生可能な社会」「環境保全」と口にしながら、同じ口で○○ファーストと言い、自分の狭い枠の中の利益に走り、(中にいるモノだけの幸せ)を求めるようになれば、争いが起こり、分断が生まれ、愚かな過去の歴史を人間は繰り返すだけだ、と私は思います。
あなたは、どう考えますか? 争いは、敗者に苦しみと新たな憎しみを生むだけでなく、勝者にとっても多くの犠牲と新たな争いの火種を抱える運命を背負わせるだけです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
追伸)亀田龍吉先生から温暖化についての追加メッセージを頂きました。
我が家の甘夏は4本ほどあったので多少枝を切ろうが、アゲハやクロアゲハの幼虫が育つのに支障はなかったのですが、昨年空き地だった裏の土地に家が建つことになり、枝が邪魔になる境界付近にあった3本を切ってしまい羽化する個体はだいぶ減ってしまいました。
たしかにヤマトシジミやルリタテハは減った感はありますが、温暖化の影響よりとくにヤマトシジミなどは除草剤の影響の方が大きいかも知れません。逆に花壇のビオラやパンジーの普及につれて、ツマグロヒョウモンなどは増えていますね。
*わが家は小さなレモンの木でアゲハチョウを毎年育て、現在も葉を幼虫に食べられてはまた葉を出して~と3回目の幼虫が成育中ですが、ホトトギス(ルリタテハの食草)とパンジー(ツマグロヒョウモンの食草)も育てて数年前まではルリタテハ、その後ツマグロヒョウモンが賑やかだったのですが、いまは、先生の感想と反対にこれらの蝶がまったくこないでいます。先生は君津市在住、私は東京に近い都市部の違いもありそうです。(felizmundo)
クマゼミやアオマツムシの北上は人による街路樹の移動とともに、温暖化も関係している可能性はありますね。アキアカネは暑さが苦手で夏は高原で避暑することで有名ですが、こうした虫にとっては温暖化は移動ルートが変わる原因になるかも知れませんね。
*長崎で鳴いている声の五月蠅さに仰天したクマゼミ。確かに最近は関東でも聞かれるようになっています。今年は蝉が今鳴き始めたばかりでわかりませんが、どうでしょう?(felizmundo)
鳥では以前は関東では珍鳥だったセイタカシギがふつうに繁殖するようになったのを温暖化と結びつける人もいるようです。温暖化とは関係ないかも知れませんが、最近イソヒヨドリがハクセキレイ化して、都会のビルやコンビニ、大型商業施設などに急進出しています。
温暖化に限らず、生き物は存続をかけて常に環境に適応しようとしているようです。
(何もかも温暖化を原因にして間違わないように~)と注意しながらも、やはり温暖化が生き物に大きな影響を与えていることは間違いない。でも、その中でも(存続をかけて常に環境に適応しようとしている生き物)に注目して精力的に貴重な記録としても写真を撮って残していこうと今もフィールドにでることを第1に考えて活動している亀田龍吉先生のメッセージでした。
私だけに留めておくのはもったいないのでここに追加で載せさせていただきました。