住職のひとりごと

広島県福山市神辺町にある備後國分寺から配信する
住職のひとりごと
幅広く仏教について考える

天寿を全うするために 「病気にならない生き方」を読んで1

2006年04月07日 14時24分50秒 | 様々な出来事について
新聞の広告欄で度々目にした方もあろう。アメリカで活躍する日本人医師、新谷弘実先生の新刊(サンマーク出版刊1600円)である。新刊と言っても、昨年の7月に初版が発行されているから、読まれた方もあるに違いない。はじめネットで注文したが、後日手配できずとの連絡があり、福山まで足を伸ばしたときに立ち寄った書店で手に入れた。その書店では平積みになっていたのには驚いた。

ところで、やっと手に入れ読んだ健康法の伝授書ではあるが、書いてある内容は所々仏教の教えに通じるものがあり、かなり新谷先生ご自身が仏教の教えに通達されているのか、それとも元々医学も仏教も根本的には同じ事を導き出すものだ、ということなのかもしれない。

新谷先生は、アルバート・アインシュタイン医科大学外科教授として、普段ニューヨークに住まいし、一年に数ヶ月日本に戻り診察もされているという。俳優のダスティン・ホフマン、ロック・ハドソンはじめ、日本でも政界財界の著名人を診療されている。

先生は、胃腸内視鏡外科医という肩書きで、この40年の間アメリカと日本で30万人以上もの胃腸を診てこられた。内視鏡を使って人々の胃や腸を検査し、胃腸内の様子でその人の健康状態が分かるようになったという。胃相・腸相という表現を用いて、胃相・腸相の美しい人は心身共に健康で、逆に悪い人は、体のどこかにトラブルを抱えていたという。

そして、診察の際に患者さんに答えてもらったアンケートから、この胃相・腸相に大きな影響を与えるのは食歴と生活習慣だということが分かったという。それではよい胃相・腸相を保ち、健康で長生きするためにはどうしたらよいのか。それがこの本の内容である。

先生はここで、エンザイムという言葉を使われる。エンザイムとは体内酵素のことで、動物でも植物でも生命があるところに必ず存在して物質の合成や分解、輸送排出解毒など生命を維持するために必要な活動をしてくれるタンパク質の触媒のことである。

人間は五千種以上のエンザイムが生命活動を担っており、その原型となるエンザイムをいかに補う食事をし、逆に浪費しない生活習慣を身につけるかが胃相・腸相を良くすることに繋がるという。

お酒やタバコ、食品添加物、農薬、さらには薬やストレス、環境汚染、電磁波などの影響をいやが上にも受けてしまう現代社会に暮らす私たちは、それだけでもこのエンザイムを著しく消耗させている。このことを思うと、私たちは新谷先生のいわれる食習慣、生活習慣を心して受け入れることによってしか病気をせずに天寿を全うすることが難しいのかも知れない。

先生は言う。健康のためと言われてかなり間違った健康法を私たちは頭に詰め込んでいるようだと。それは一つの場所だけでよい働きをする成分があるとして推奨されるからであり、体全体として人間の体を診ていない医学のあり方が問題であると。

そこで、世間で健康のためと思いしがちな所謂食の常識を斬り捨てる。緑茶やコーヒーを含むお茶を常飲している人の胃は胃の粘膜が薄くなり萎縮性胃炎となり、胃ガンになりやすい。肉食は成長を早める、がそれはつまり老化を早めることである。牛乳は脂肪分を均等化するために攪拌する過程で乳脂肪分が過酸化脂質、つまり錆びた油になり、さらに殺菌のために百度以上の高温にするためタンパク質を変質させ、エンザイムも死滅した最悪の飲物だと言われる。

そして、カルシウムを補給するためと推奨され牛乳を飲む人も多いが、飲むと血中カルシウム濃度が急激に上がり、その濃度を体は通常値に戻そうとして恒常性コントロールによって逆に体内のカルシウム量を減らしてしまうので、本当は骨粗鬆症のためにもマイナスであるという。

さらに腸整効果があるとされるヨーグルトを常食している人の腸相も良くない。そして、植物油だからと多用されるマーガリンも。市販されている食用油の多くは溶剤抽出法という原材料に化学溶剤を入れて抽出される。この油は悪玉コレステロールを増やしガン、高血圧、心臓疾患の原因になる。この油を用いた代表選手がマーガリンであり、またスナック菓子に使われるショートニングであるという。

またガン患者の食歴から、肉、魚、卵、牛乳など動物食を沢山摂っていた人はガンになりやすく、特に早い年齢でガンになる人ほど幼い頃から頻繁に肉、乳製品など動物食に偏っていたことが分かっているという。つづく
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