活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

電子書籍のこと 4

2011-08-29 13:38:21 | 活版印刷のふるさと紀行
 早稲田学報の特集紹介の続きですが、津野海太郎さんはいつもの主張
通り生まれたばかりの未熟な電子本がこの先どんどん力をつけて行っても
印刷本は消えることはないと力説してます。5千年の歴史のある書物史
が二分されただけであると冷静です。

 すでに19年間電子出版に携わってきた荻野正昭さんは本を時間・空間
を超えた記憶装置とするならばという仮定から、独自の電子出版哲学を論
じておられて興味深く思いました。

 また、三田誠広さんは書き手の立場から電子書籍の著作権とか印税とか
身近な懸念をとりあげておられましたが、一方で、日本語の場合の「漢字
」の問題にも触れておられる点、さすが表現者と感じました。

 いずれにしても競合説を打ち出されている人がいなかったのは何よりの感
がありますが、実際に自分がiPadで本を読んでみていちばん感じるのは充電
の面倒さです。本体はもちろん、ポケットWiFiもありますから、旅行のときも
充電用のコードを持ち歩かねばなりません。たしかに文庫本をポケットにしの
ばせて出かける手軽さは無理です。

 とにかく、iPadに限らず、いまは充電に追われる毎日ですから。携帯を
筆頭にデジカメ、掃除機つねに気を配らねばならないのですから。
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電子書籍のこと 3

2011-08-29 09:36:37 | 活版印刷のふるさと紀行
 昨年、2010年を「電子書籍元年」とするのが常識だそうです。
iPhoneがひっぱりだこになり、iPadのデビュー、海の向こうではア
マゾンドッドコムのキンドルの台頭、グーグルの世界図書館計画など
がその証左とされています。

 私自身の体験からいえば、もう10年以上前、NECやソニーが読
書用の端末を出したときが「元年」だったと思うのですが。

 それはともかく電子書籍が売れ始め、出版社がつぎつぎに電子本出
版に乗り出しているのは事実です。そうすると私が大事にしている活
版印>刷どころか「印刷本」の存在がどうなるのか気になります。

 最近では大学の校友会誌までその問題をとりあげています。早稲田大
学の『早稲田学報』6月号がそれです。特集タイトルは「本の未来、読書
の形」でした。青山 南・永江 朗・小峰紀雄氏の座談会も津野梅太郎・
荻野正飯島昇蔵・三田誠広三氏の電子書籍論も大変興味深いものでした。

 乱暴に紹介しますと青山教授のメキシコではそこいらじゅうにWi-Fi
が飛んでいて喫茶店やレストランで誰でも自由に利用できるという電子
環境の進んでいる話、永江教授の電子書籍のノンブル運命論、そういえば
電子本ではノンブルが消えています。また、小峰さんの出版社社長らしい
「版元の基本は紙でしっかりしたものを作り、読んでもらって、読者を育
んでいく観点が大事。印刷本を選ぶか、電子本を選ぶか、最後に選ぶのは
読者というのが印象的でした。(この項続く)

 
http://blog.goo.ne.jp/admin/editentry?eid=2ad8e5191da390fe647d9c03a758bd00#
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