人は必ず死にます。
子ども達に、「死」をなんと教えたらいいでしょう?
「いのち」って何でしょう?
30才を越えた私にも教えて欲しいです。
「死んだ人、見たことあるか」
小学六年生の男の子3人が始めたのは、一人暮らしの老人の家を見張ること!
「もうすぐ死ぬ」とウワサされるその老人を観察し、死ぬのを待つ子ども達!!
今回ご紹介するのは、そんな子ども達の「スタンド・バイ・ミー」的ひと夏の体験を描いた、湯本香樹実のデビュー作♪
*(キラキラ)*『夏の庭』*(キラキラ)*です☆
「死んだ人」を見たい。
そんなことを言い出す子ども達に、あなたは眉をしかめますか?
「死」は、できれば遠ざけて置きたいもの…
触れたくないもの…
辛い体験をされた方ならそう思うのも当然かも知れません。
私も、祖母を亡くしました。
でも、子ども達がそう思うのはとっても自然な感情だと思います。
知りたい。
誰の上にも訪れるのに、誰も教えてくれないこと。
同級生が学校を休み、親戚のお葬式に出席したことをきっかけに、芽生えた「知りたい」という気持ち。
でもそのことを考えると、なぜだかちょっと後ろめたい気持もする。
そんな時、母親たちのおしゃべりの中に出てきた「あそこのおじいさん、もじき死ぬんじゃないか…」という言葉。
子どもは大人の言うことをよく聞いていますよね~
めったなことは言えません。
しかし、その情報はしっかり子ども達に伝わり、ああだこうだあった後、子ども達による、奇妙な、この”死にそうな老人の監視”が始まってしまうのです☆
塾があったり、サッカースクールがあったり、家の手伝いをしなきゃいけなかったり、なにかと忙しい小学生。
だけど懲りずに集り、ブロック壁の影から老人を見張り続ける3人。
夏でもコタツは出しっぱなし、食事はコンビニのお弁当。一日中テレビを眺め、ゴミが庭にたまっていく一方の老人の生活。
子ども達と、この老人の関係がどんどん変化していくのが読み応えがあります♪
子ども達の家庭もいろいろあるみたい。
両親の仲がギクシャクしていて、母親はアルコールに逃げている。
父親は他に家庭があり、母親からは恨み言を聞かされる。
魚屋を継がせたくない母親と、働く父親の背中に密かに憧れる息子。
好きな女の子。
サッカーの合宿。
ケンカ。
いつしか、老人の家の庭の草をむしるまでになり(なぜかは読んでのお楽しみ♪)、そこに3人はコスモスの種を蒔きます☆
老人には、戦争という消化しきれない過去があります。
その老人の人生に触れ、子ども達が何を考えるのか。
そして、突然現れた「自分が死ぬのを待っている」という子ども達に老人はどう接するのか。
庭いっぱいに咲くコスモスの花。
この本を読んで、祖母の顔を思い出しました。
古い写真が出てきたので、それまで聞いたことのなかった祖母の若い頃の話をたずねたんです。
出てくる出てくる♪
私の父が幼かった頃の話。
叔母や叔父が子どもの頃。
戦時中の話。
家の話。
まだ祖母が女学生だった頃、皇族の方の前で女子生徒の先頭に立ってもんぺ姿で行進したとか☆
その翌年、祖母は亡くなりましたが、あの生き生きと話す顔を思い出すたびに、もっともっと話をきいてあげれば良かった、という気持になります。
若い人とお年寄りはもっとお互い話をするべきだ!
夏休みはやがて終わりを告げ、子ども達も中学受験をする者、新しい家族を迎える者など、様々な分かれ道に立ちます。
そして、老人とも…
教科書の中だけでは、学べないことはたくさんあります。
言葉で教えることのできないこともたくさんあります。
子ども達が何を学んだのか、この本には書いてありません。
それでも、その学んだものは伝わってきます。
共感できます。
言葉にできないものを言葉で伝える。
それ一つだけでも、充分読む価値があると思います。
この作品が作者のデビュー作だということで、確かに少しデビュー作っぽい作りにはなっていますが、そこはご愛嬌☆
映画化、舞台化もされていますので、書籍以外のメディアでも、もしかしたら目にすることがあるかも知れません。
人は、知ることで変化する動物です。
変化できる動物です。
生きるって、そいうことのような気がします☆
湯本 香樹実 著
新潮文庫
子ども達に、「死」をなんと教えたらいいでしょう?
「いのち」って何でしょう?
30才を越えた私にも教えて欲しいです。
「死んだ人、見たことあるか」
小学六年生の男の子3人が始めたのは、一人暮らしの老人の家を見張ること!
「もうすぐ死ぬ」とウワサされるその老人を観察し、死ぬのを待つ子ども達!!
今回ご紹介するのは、そんな子ども達の「スタンド・バイ・ミー」的ひと夏の体験を描いた、湯本香樹実のデビュー作♪
*(キラキラ)*『夏の庭』*(キラキラ)*です☆
「死んだ人」を見たい。
そんなことを言い出す子ども達に、あなたは眉をしかめますか?
「死」は、できれば遠ざけて置きたいもの…
触れたくないもの…
辛い体験をされた方ならそう思うのも当然かも知れません。
私も、祖母を亡くしました。
でも、子ども達がそう思うのはとっても自然な感情だと思います。
知りたい。
誰の上にも訪れるのに、誰も教えてくれないこと。
同級生が学校を休み、親戚のお葬式に出席したことをきっかけに、芽生えた「知りたい」という気持ち。
でもそのことを考えると、なぜだかちょっと後ろめたい気持もする。
そんな時、母親たちのおしゃべりの中に出てきた「あそこのおじいさん、もじき死ぬんじゃないか…」という言葉。
子どもは大人の言うことをよく聞いていますよね~
めったなことは言えません。
しかし、その情報はしっかり子ども達に伝わり、ああだこうだあった後、子ども達による、奇妙な、この”死にそうな老人の監視”が始まってしまうのです☆
塾があったり、サッカースクールがあったり、家の手伝いをしなきゃいけなかったり、なにかと忙しい小学生。
だけど懲りずに集り、ブロック壁の影から老人を見張り続ける3人。
夏でもコタツは出しっぱなし、食事はコンビニのお弁当。一日中テレビを眺め、ゴミが庭にたまっていく一方の老人の生活。
子ども達と、この老人の関係がどんどん変化していくのが読み応えがあります♪
子ども達の家庭もいろいろあるみたい。
両親の仲がギクシャクしていて、母親はアルコールに逃げている。
父親は他に家庭があり、母親からは恨み言を聞かされる。
魚屋を継がせたくない母親と、働く父親の背中に密かに憧れる息子。
好きな女の子。
サッカーの合宿。
ケンカ。
いつしか、老人の家の庭の草をむしるまでになり(なぜかは読んでのお楽しみ♪)、そこに3人はコスモスの種を蒔きます☆
老人には、戦争という消化しきれない過去があります。
その老人の人生に触れ、子ども達が何を考えるのか。
そして、突然現れた「自分が死ぬのを待っている」という子ども達に老人はどう接するのか。
庭いっぱいに咲くコスモスの花。
この本を読んで、祖母の顔を思い出しました。
古い写真が出てきたので、それまで聞いたことのなかった祖母の若い頃の話をたずねたんです。
出てくる出てくる♪
私の父が幼かった頃の話。
叔母や叔父が子どもの頃。
戦時中の話。
家の話。
まだ祖母が女学生だった頃、皇族の方の前で女子生徒の先頭に立ってもんぺ姿で行進したとか☆
その翌年、祖母は亡くなりましたが、あの生き生きと話す顔を思い出すたびに、もっともっと話をきいてあげれば良かった、という気持になります。
若い人とお年寄りはもっとお互い話をするべきだ!
夏休みはやがて終わりを告げ、子ども達も中学受験をする者、新しい家族を迎える者など、様々な分かれ道に立ちます。
そして、老人とも…
教科書の中だけでは、学べないことはたくさんあります。
言葉で教えることのできないこともたくさんあります。
子ども達が何を学んだのか、この本には書いてありません。
それでも、その学んだものは伝わってきます。
共感できます。
言葉にできないものを言葉で伝える。
それ一つだけでも、充分読む価値があると思います。
この作品が作者のデビュー作だということで、確かに少しデビュー作っぽい作りにはなっていますが、そこはご愛嬌☆
映画化、舞台化もされていますので、書籍以外のメディアでも、もしかしたら目にすることがあるかも知れません。
人は、知ることで変化する動物です。
変化できる動物です。
生きるって、そいうことのような気がします☆
湯本 香樹実 著
新潮文庫