役所広司、小栗旬出演、沖田修一監督の映画、「キツツキと雨」(2011年)を見に行って来ました。
私の住んでいる岐阜県がロケ地に使われていると聞き、興味があったんですよね。
監督の沖田修一さんの作品、「南極料理人」(2009年)も見ましたが、主演の堺雅人さんのひょうひょうとした演技が生きていました。
今回の「キツツキと雨」でも、小さな町で木こりとして暮らす役所広司さんの演技と、若い自信なさげな映画監督を演じた小栗旬くんの演技が良かったです♪
というか、派手な事件も凝ったセットも出てこないので、役者さんの演技に集中するしかない(苦笑)
ストーリーは、のどかな山に囲まれた静かな町に、突然映画の撮影隊がやって来て、役所広司さん演じる木こりや、町の人々がその映画撮影に協力するというもの。
派手な印象のある映画撮影ですが、ヘリコプターの音に邪魔されたり、通りかかる車を止めたり、エキストラが集まらなかったりで、地味に大変。しかも予算も時間も限られているし、俳優やベテランカメラマンにも気を使わなくったちゃいけない若い監督は、自分の思いを周りに伝えられずに自信喪失中(苦笑)
そんな彼等の中に、映画とは縁もゆかりもない人生を送ってきた役所広司さん演じる木こりが交じることで、ちょっとコミカルで不思議な化学反応が起こります♪
あくまで普通の日常生活の延長線上で生きる町の人々と、映画(よりにもよってゾンビ映画☆)の非日常の対比が面白く、しかも撮っているのがスゲーつまらない映画というのも(苦笑)、現実生活の厳しさを象徴しているようで面白かったです。
エンターティメントを狙った、制作費何億円というハリウッド映画とは真逆の作品。
でも、そこが魅力的だったりするんですよね。
ヒーローも美女も悪の組織も出てこない。
誰もが欠陥があるのが当たり前。完璧な人間なんていないんだから。
知っている場所がたくさん出てきて、この映画を見ると、私がどんな所に住んでいるのかだいたいわかります(苦笑)
本当に山に囲まれた田舎なんです。
ただ、あまりにも知っている場所だと、映画が素直に楽しめないことに気がつきました。背景ばかりが気になって、実際の距離を知っているものだから、シーンがつながって見えないんです。
その温泉から一番近い駅はそこじゃないよ~、とか。
スナックで飲んでるけど何十キロ移動すんのさ? とか。
役所広司さんの作るお弁当とか、朝の食事風景とか、仕事を辞めてしまった息子とのケンカのシーンは、自分にも覚えのあるものでした。
まるで本物の地元の人みたい!
やっぱり役者さんてスゴイなぁ。
社会に出て、いきなり自分の思い通りに仕事ができるなんてまれだと思います。
それでも、くさらずに、他人のせいにしないで、ちょっと耐えてみる。
待つことも時には大切。
若い映画監督と、60歳の木こりの、噛み合っているんだかいないんだか、ちょっと笑えて、ちょっと心あたたまる、ちょっと変わった映画でした。
映画の最後、次回作の撮影風景が映るのも良かったです♪
これがまた、B級映画っぽいんですよね(苦笑)