若いときは考えることも無かった季節の旬の食べ物。
それも身近な周りから時間を置かず、手に入るのが何よりも贅沢だと、こころからわかったのが今になってだ。
なんでも手に入る都会に居たときは味に差を感じなかった。
美味しい食べ物が何たるや、わかるのが遅い、遅いと自分を今頃恥じている。
移住してから野菜をみよう見まねで作り始め、形は兎も角作った野菜を口に入れ、
その味の違いが、スーパーのパッケージと違うのに安堵した。
1年1年それから園芸家としての精進を重ねる。
実際、買ったほうが安いのだが、野菜作りはそのプロセスに意味がある。
5月になって歯医者通いが始まり、日曜日は大忙しになった。
やらねばならない家事が山ほどある。
台所を中心にぐるっと見渡しただけでも、急がねば・・・と掻き立てられる。
行く先々で新たな仕事を見出し、その前は何をしていたのか忘れ、どんどんやることだけは増えていく。
普段より長距離の犬たちのお散歩もその中の重要事項だ。
折角植えた野菜の苗も霜で凍みてしまったので又買いなおしだ。
今年植えた野菜は、きゅうり、茄子、トマト、人参、枝豆、インゲン豆、絹さや、かぼちゃ
西瓜、オクラ、モロヘイヤ、じゃがいも、とうもろこし、レタス、白菜、漬け瓜、ピーマン、唐辛子、パセリやバジル、ブルーベリーもある。
あららら、いつの間にか大分種類を増やして、欲張ってしまった。
今年は近所の農家も、気温が低いので野菜が育つ以前に遅霜にやられて何度も何度も植え替えたそうだ。
庭で一日過ごした後、畑の隅から蕗や山椒の芽、三つ葉、八重桜などを取って、保存食を作った。
八重桜の塩漬け
子供の頃は口をこじ開けられても口に入れなかった、香りの強い野菜類は今になって
大好きになった。
庭先でかごを持って順番に山椒の芽を木が丸坊主になるまで全て取り尽くし、蕗は釜を持って刈った切り、八重桜の蕾は塩漬けにして、三つ葉は茹でてお浸しにした。
春の山菜は灰汁が強い。
下ごしらえの時点で指が灰汁で真っ黒になってしまう。
いずれも皆香りが強く、消毒もしていない、清浄野菜で、調理に時間がかかったが、
食卓に乗る頃は楽しみが倍増する。
蕗と山椒の佃煮