厳しい社会情勢と不況、そして未来への不安。
ちょっとした事でも、直ぐに癇癪を起こす。人を見守ろうにも迂闊には触れない。そんな時代背景。
海辺の町にある映画館で働く主人公は、つらい過去のせいで心に闇を抱えている。見守るのは同じ職場の仲間や薬。普段に微笑みが無い訳ではない。少しずつではあるが明日へと向かっている。
片や過酷な現実に道を阻まれてきた青年。自らの夢をも諦めかけていた、そんな彼にも職場の仲間たちからの優しさに守られながらも、心を通わすようになってきた。
お互いが求め合う中にも、回りからも踏み込み過ぎない相手を思いやるフォローがある。
さりげない思いやり、優しさ。'80年代の風景が華美に脚色されなくとも、その美しさを映像から見てとれた。
悲しい映画でもない、希望に満ち溢れた映画でもない、でも沈みこむ事無く、映像を見届けられる。
映画館を舞台にした映画だからこそ、映画館で見たい。